東京は、あらゆる計画をいつも裏切ったまちだ。(磯崎新『空間へ』) ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である。(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』) はじめに なぜいま「アイドル論」なのか? テン年代の前半くらいに、アイドル論やアイドル批評といったものが盛り上がりを見せたことがあった。いくつか具体例を列挙してみる。2011年、太田省一『アイドル進化論』。2012年、濱野智史『前田敦子はキリストを超えた』、小林よしのり・中森明夫・宇野常寛・濱野智史『AKB48白熱論争』。2013年、さやわか『AKB商法とは何だったのか』、安西信一『ももクロの美学』。2015年、香月孝史『「アイドル」の読み方』など。 こうしたアイドル論の盛り上がりが生じたそもそものきっかけは、やはりゼロ年代の後半に、AKB48が目覚ましい活躍を見せていたことだっただろう。「RIVER」でオリコンウィークリーチャートの