こんな声で話す柴山さんを聞いたことがなかったので、「よろこんでいるんだなあ」「筑摩書房のみなさんにようやくお礼が言える」と思いました。共同研究者のひとりでもある岸政彦さん、『地元を生きる―沖縄的共同性の社会学』(ナカニシヤ出版)チームのメンバー、今やっている若年出産女性チームのメンバーにようやく恩返しができると思って、とにかくうれしい気持ちで電話を切りました。 それからもずっとドタバタと過ごしていて、その後、歴代の受賞者の方のお名前や作品を見て、「本当にとんでもない賞をいただくことになったなあ」と思いました。でも選んでくださった方々は、書店員のみなさん。要するに、沖縄の今に対する書店員のみなさんからの応援なんだなと思いました。この賞は私が受けたのではなく、沖縄に対する賞であり、沖縄で暮らしている私が調査した子たち――本当にしんどい思いで生きていますけれど、その子たちに向けたはなむけのような