コストカットを尽くしても、国内生産はもはや限界──。 半導体大手のエルピーダメモリが「円高とDRAM不況の緊急対策」を発表した。パソコンに使う汎用品のDRAMについて、主力の広島工場から台湾子会社の瑞晶電子(レックスチップ)へ生産ラインを丸ごと移転することを検討。国内生産の最大4割が流出し、台湾の生産量が日本を上回ることになりそうだ。 「まるで水より安い値段」と社員自ら皮肉るほどに、ここ1年間のDRAM市況は低迷してきた。パソコン向けDRAM(2ギガバイト)の価格は、昨年秋に3ドル超だったが、1年間で1ドル近くまで急降下。この背景にはパソコン不況などによる供給過剰がある。1チップ当たりの製造コストは1.3〜1.4ドルと見られており、「原材料のシリコンウエハを製造ラインに投入した瞬間、赤字が確定する」(業界関係者)という消耗戦が続いているのだ。 DRAMは日韓米の4大メーカーが世界シェ