見返り巨人は、途上にて輝く 冒頭のおなじみの渦巻きクレジットから(いや厳密に言えばその前に古式ゆかしい「東宝映画」のクレジットに始まり)、全篇これオマージュとそこからの飛躍、アダプテーションのつるべ打ちである。原点のテレビ映画シリーズ『ウルトラマン』をまるで見たこともない世代がこの作品を観たら、むしろすっきりとしたものに感じるのかもしれないけれども、軽快なテンポのなかにこれでもかと畏敬に満ちたオマージュとなるほどという翻案が反復されていて、満腹感を通過してちょっとくたくたになるくらいだ。 もちろんそんな『ウルトラマン』や『ウルトラ』シリーズ的記憶を持ち合わせていなくても楽しめるわかりやすい映画には違いないし、そんな観客を排除するような映画では全くないのだが、せめて今回の挿話の原点となったテレビ版のエピソードくらいは見てみたほうがこの作品の敬虔さとやんちゃさがいっそう愉しめるのは確かだろう。