カーン、カキーン……。新宿・区役所通りの一角にそんな音が響き渡る。新宿バッティングセンターである。同店は年中無休で、毎日午前から翌朝空が白むまで営業している。筆者が訪れた18時ころは、若者や外国人、水商売関係者風の男女などでにぎわっていた。 バッティングの腕は人それぞれだが、誰もが真剣な表情でバットを振り、ボールをかっ飛ばし(あるいは空振りやボテボテのゴロを放ち)、子どものような笑顔を浮かべる。見学している人々も同様に楽しげだ。 「歓楽街」「野球」という不思議な取り合わせ さまざまな娯楽がある歌舞伎町だが、アナログかつレトロな魅力があり、訪れる人を童心に帰らせるこのような場所は多くない。 だがよく考えると、「歓楽街」「野球」は不思議な取り合わせに思える。どのような経緯でオープンし、この地に根付くようになったのか。また、利用客はどのような思いで足を運んでいるのか。本社の部長として、同店の運営