中世キリスト教世界で唯一とされる女性歴史家を主人公にしたマンガ「アンナ・コムネナ」(星海社)が2月に完結した。東地中海世界で栄華を誇ったビザンツ帝国を舞台に、当時は「男の学問」とされていた歴史叙述に…
村上春樹さん訳による米作家、ティム・オブライエン氏の長編小説「虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ」(ハーパーコリンズ・ジャパン)が2月末、出版された。トランプ現象が席巻する米国に対する痛烈な批判をこめた架空の物語だ。コミカルだが、SNS(ネット交流サービス)などで「虚言」がまかり通る悲惨な社会の描写は、現実と重なって見える。原著刊行から1年半足らずでの邦訳の出版は、トランプ大統領の政権復帰直後ともなった。翻訳に取り組んだ思いから、米社会や世界の現状への見方まで、村上さんに聞いた。【構成・棚部秀行、大井浩一】 <主な内容> ・アナログとデジタル組み合わせの怖さ ・みんなウソをつかれたがっている… ・壁を築き、地域戦が頻発する時代 後編 「浅いウソは必ず劣化」 単独インタで語った社会の分断 虚言に動かされる社会「悲劇的笑劇」 ――原著は2023年10月の刊行です。日本語訳で600ページを超え
考古学者たちは、ハンガリーのサーレトゥドバリ村の古代墓地で弓矢類と共に埋葬されていた10世紀の人骨が、高齢の女性のものであることを確認した。(Illustration by Luca Kis) 1980年代、ハンガリーの10世紀の墓から、人骨と共に、弓と矢じりと宝飾品という不可解な組み合わせの副葬品が発見された。当初の研究では、墓に埋葬されていた人物は男性だと推測されていたが、この人骨を新たに調べてみたところ、女性だったことが判明した。論文は2024年11月26日付けで学術誌「PLOS One」に発表された。 「彼女を『戦士』と呼びたいところではありますが、その点については保留することにしました」と、論文の筆頭著者であるハンガリー、セゲド大学の生物考古学者バラージュ・ティハニ氏は説明する。
Vatanabeus @nabe1975 バターは冷蔵しないと劣化が非常に早く進行する食品で、中世に作られていたバターは現代人からすれば相当塩辛いものであったらしい。 1305年、イングランドのウィンチェスター司教領の記録によれば、バター10ポンド(約4.5キロ)につき塩を1ポンド(約450グラム)使うことになっていたという。 pic.x.com/QGNS4Rihdm 2025-03-27 19:55:36 Vatanabeus @nabe1975 中世のバターは、食べられる前に水に晒して塩抜きされるのが通例だった。全体の塩分量をマイルドにするため、作りたての塩を加えないフレッシュバターを混ぜる方法も多く採られた。古いバターは黄色味が抜けて白くなるため、着色目的で塩漬けの黄色い花が加えられたともいう。 pic.x.com/FtPVbaazlP 2025-03-27 19:59:08
中世ヨーロッパの騎士たちが着用したきらびやかな鎧(よろい)は、もともとは剣などの武器から身を守るために作られたものです。そんな鎧で銃弾を防ぐことが可能だったのかについて、サイエンス系ニュースサイトのLive Scienceが複数の専門家に尋ねました。 Was medieval armor bulletproof? | Live Science https://www.livescience.com/archaeology/was-medieval-armor-bulletproof 「中世」がいつからいつまでを指すのかは場合によりけりですが、Live Scienceは西暦500~1500年を中世としました。この時代区分は大抵ヨーロッパに関連付けられますが、一部の歴史家は中東や中国にも当てはめています。 また、鎧は世界中でさまざまな種類のものが開発されてきましたが、最も有名なのは連結された金
これまでの各章担当者による担当章の深掘りに加えて、今週から隔週で4名の方に、「実践編」と題して、現代日本における西洋中世文化や『西洋中世文化事典』の実践の実例を紹介していただきます。トップバッターは、羊皮紙工房の八木健治さんです。どうぞお楽しみください。(編集委員長・小澤実) ※本文中にあるカッコ書きの指マーク(☞)は、『西洋中世文化事典』の関連項目です。もっと知りたい方はご参照ください。 羊皮紙工房の八木健治と申します。中世ヨーロッパで使われていた「羊皮紙」にあこがれ、2007年に自宅の風呂場で羊皮紙づくりを始めました。現在は主に海外から輸入した羊皮紙をネットで販売するとともに、羊皮紙や写本に関する講演や執筆活動も行っています(著書:『羊皮紙のすべて』(青土社 2021年)、『羊皮紙の世界』(岩波書店 2022年)、『羊皮紙をめぐる冒険』(本の雑誌社 2024年)など)。『西洋中世文化事
中世ヨーロッパは、ローマ時代に存在した高度な衛生システムを失い、いわゆる「最悪の時代」とも言われています。 特に「トイレ」に関するインフラが反映する生活環境は、現代の私たちに大きな衝撃を与えます。 【謎】ベルサイユ宮殿にトイレがなかった?ベルサイユ宮殿にトイレがないと聞くと信じられない人もいるかもしれませんが、これは半分正しく半分誤りです。 正確には、トイレ自体はありましたが、現代のような水洗式ではなく、「ガルドローブ」と呼ばれる壁に穴を開けた簡易的なものでした。 その穴から掛けた泥場には泥が湧き、尿精の流れは不卯な臭いを放ちていました。 現代人の感覚だとめちゃくちゃ不衛生で野糞と変わらないと感じてしまいます ぼっとん便所以下だったからめちゃくちゃ不衛生 ベルサイユ宮殿は17世紀初頭にルイ13世の狩猟用の小さな城館として始まりました。 つまり17世紀、約300年前という比較的近い時代であっ
中世ペルシア風の異世界を舞台に、王太子アルスラーンと仲間たちの活躍と成長を描いたファンタジー小説『アルスラーン戦記』(著:田中芳樹)。その壮大な世界観を、西洋史を専門とする研究者が読み解く! 仲田公輔 岡山大学 文学部/大学院社会文化科学学域 准教授。セント・アンドルーズ大学 歴史学部博士課程修了。PhD (History). 専門は、ビザンツ帝国史、とくにビザンツ帝国とコーカサスの関係史。1987年、静岡県川根町(現島田市)生まれ。 東ローマ(ビザンツ)があの有名小説家の作品に!? 以前インタビューを受けた際に、東ローマ(ビザンツ)史を専門とする私自身の専門に近いところをモチーフにした作品があればぜひ扱ってみたいとコメントしたことがある。言っておいて、果たしてそんなマイナーなトピックを扱っているものがあるのだろうかと思っていたのだが、あまりに有名な大作で扱われているのを見落としていた。
フランス中央部のドルドーニュ川ほとりに立つカステルノー城(「新しい城」という意味)は、カトリック教会とカタリ派との戦いで破壊されたが、1200年代に現在の姿に建て直された。(De Lagasnerie/GTRES) 自分の身を守るために、塀や堀の後ろ、または丘の上に隠れたくなる人間の本能は昔から変わらない。中世の時代、武器や戦争の進化に伴い、こうした本能はヨーロッパの人々を要塞の建造へと駆り立てた。やがてヨーロッパは要塞建築の黄金時代を迎え、歴史上かつてなかったほど完成度が高く複雑な要塞が数多く建てられた。(参考記事:「“アーサー王生誕の地”に要塞跡、英「暗黒時代」に光」) 初期の頃の要塞は、後の時代に登場する立派な城とは大きく異なっていた。9~10世紀の要塞は木造で、主に人工的に作られた丘の上に建てられた。 北フランスのノルマンディー公ウィリアム(ウィリアム1世)によるイングランド征服後
ファンタジー物語では、魔法が発生する契機として、言葉(呪文)や文字(魔法陣)が登場しがちです。じつは、言葉や文字を媒介とする魔法の歴史は古く、西洋の中世期にもそのような考えが存在しました。 今回は、西洋中世期における「言葉」と「文字」に宿る霊性について紹介します。 魔法の媒介としての言葉と文字 モルガン・ル・フェ、William Henry Margetson, 1914年 私はファンタジージャンルの小説が好きなので、ファンタジーに欠かせない(※)「超自然的な力」が物語でどのような設定になっているかよく考えています。その際に、言葉や文字が超自然的な現象を媒介していることが多いと感じます。 ※ここで言うファンタジーの定義についてはおとぎ話とファンタジーの違いを参照。 言葉による魔法は、例えばJ.K.ローリング『ハリー・ポッター』やアーシュラ.K.ル=グヴィン『ゲド戦記』に記されています。具体
西洋史上、最もメジャーだった、花の中の花はバラです。バラは、古代期から現代にいたるまで、西洋文化圏で不動の人気を誇る花で、日本で例えると梅や桜の立ち位置に似ています。 本記事では、西洋の中世期を中心とした、バラ文化を紹介します。 西洋バラの五大先祖 『健康全書』の挿絵。赤バラと白バラの花冠をつくっている。14-15世紀。 バラは古来、西洋文化圏で最も人気な花の1つです。おそらく花の中で最も品種の多い花で、なぜ品種が多いかというと、バラを愛する人がさまざまな品種をつくってきたからです。現在のバラの品種は、一説によると10万種を超えるとも言われています。 現代の私たちは「バラ」と聞くと、花びらが幾重にも重なった、華やかなバラを想像します。ところが、品種改良が活発になる前の、前近代のバラはもう少し素朴でした。そこでまずは、西洋において最も古いとされる、5種類のバラを紹介します。その後、バラの文化
教皇選挙(コンクラーヴェ)は、「〜を持って」を表すラテン語cumと「鍵」を意味するclavisを合わせた単語を語源とします。つまり、枢機卿による互選で教皇が決定するまで、システィーナ礼拝堂に鍵をかけて、外部に情報が漏れないよう、また外部から余計な情報が入り込まないように、密室を保つからです。選挙の末次期教皇が決定した場合、煙突から白煙が上がります。外で待っている人たちは、その白煙を見て、次の行動に移ることになります。こうした一連のプロセスは、現在通用している教会法で規定されています。 映画は現代のバティカン市国を舞台にしていますが、教皇選挙は古代末期から中世に遡る歴史のある制度です。ここではその起源にたちかえり、西洋中世の観点から『教皇選挙』を振り返ってみましょう(従来日本ではPapa / Popeを「法王」と訳すことが多かったのですが、今回は「教皇」となりました。英断だと思います)。 映
考古学者たちは、ハンガリーのサーレトゥドバリ村の古代墓地で弓矢類と共に埋葬されていた10世紀の人骨が、高齢の女性のものであることを確認した。(Illustration by Luca Kis) 1980年代、ハンガリーの10世紀の墓から、人骨と共に、弓と矢じりと宝飾品という不可解な組み合わせの副葬品が発見された。当初の研究では、墓に埋葬されていた人物は男性だと推測されていたが、この人骨を新たに調べてみたところ、女性だったことが判明した。論文は2024年11月26日付けで学術誌「PLOS One」に発表された。 ギャラリー:「実は女性戦士だった」発見 写真と画像8点 ハンガリーの墓の副葬品も 「彼女を『戦士』と呼びたいところではありますが、その点については保留することにしました」と、論文の筆頭著者であるハンガリー、セゲド大学の生物考古学者バラージュ・ティハニ氏は説明する。 同氏は、当時のハン
2025年(令和7年)1月3日(金) 年末年始ヨーロッパ5ヶ国を巡る旅に出掛けました。ベルギーの首都ブリュッセル、ポルトガルの古都ポルト、スペインの世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラへも訪れ、4ヶ国目イタリアのミラノに滞在。夜にはイタリアを離れます。前回は空港のあるミラノ近郊のベルガモの旧市街チッタアルタの「MINI」でのランチの話を書いています。 fuwari-x.hatenablog.com ランチを終えたあとは、チッタアルタの散策を再開。ラジョーネ宮の階段を上ったときに見えたのが左のピンク色の建物、コッレオーニ礼拝堂。右は洗礼堂。 コッレオーニ礼拝堂は白・赤・黒の多色の大理石をひし形上に組み合わせたファサードと、正面にバラ窓が配置されているのが特徴の凝ったデザインです。 ベルガモ領主Bartolomeo Colleoni(バルトロメーオ・コッレオーニ)が、自身とその娘のために建
「法の支配」より「人の支配」、「人質司法」の横行、「手続的正義」の軽視… なぜ日本人は「法」を尊重しないのか? 【写真】日本人の死刑に関する考え方は、先進諸国の中では「特異なもの」だという事実 瀬木比呂志『現代日本人の法意識』(講談社現代新書)では、元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴きます。 本記事では、〈なぜ日本人は「法」を遵守しないのか?…日本人の深層心理に張り付いた「日本的法意識」にひそむ「闇」〉にひきつづき、法意識論の前提として、「現代日本人の法意識」について考えることの意味とその重要性について論じていく。 ※本記事は瀬木比呂志『現代日本人の法意識』より抜粋・編集したものです。 日本における近代的法意識の未熟さ『現代日本人の法意識』第2章で論じるとおり、明治時代に近代的法制度が導入されるまでは、日本には、現在の民法、商法等に相当するまとまった民事系の
当研究所は早稲田大学のプロジェクト研究所に所属し、ヨーロッパの中世・ルネサンス期における文化の諸相を学際的に研究することを目的に、2009年10月に発足しました。 2025年3月、紀要『エクフラシス』第十五号が刊行されました(最終更新日2025年3月20日)。 執筆者は以下の通りです(掲載順、敬称略)。 甚野尚志 皆川 卓 三浦清美 渡邉裕一 西間木 真 清野真惟 白幡俊輔 『エクフラシス』は電子ジャーナルとしてweb上でのPDF配布をしております。 下のリンクよりダウンロードしてください。 『エクフラシス』第十五号(電子ジャーナル)
「寺内町(じないまち)」とは、中世後期に出現した自治都市・自治集落のこと。浄土宗系の寺院を中心に形成された都市は、その周囲を濠や土塁でめぐらせ、戦国乱世の世においても自立した都市としてあり続けました。商工業が発達していた大阪平野でも多くの寺内町が成立しましたが、大阪府八尾市の「久宝寺(きゅうほうじ)」は、その遺構を現代に伝える貴重な街。今回は寺内町の遺構を現代に伝える「久宝寺」を旅してみましょう。 かつて寺内町として発展した「久宝寺」は、現在の大阪府八尾市の西部に位置していますが、その発祥は古代にまでさかのぼります。当地は、古代、大狛連の居住地であったことから「巨麻荘」と呼ばれており、現在も地区の一画には「許麻神社(こまじんじゃ)」が存在します。許麻神社は、いわば、久宝寺発祥の社といっていいでしょう。 ちなみに、「久宝寺」の名は、聖徳太子によって建立された「久宝寺観音院」という古代寺院がか
「法の支配」より「人の支配」、「人質司法」の横行、「手続的正義」の軽視… なぜ日本人は「法」を尊重しないのか? 瀬木比呂志『現代日本人の法意識』(講談社現代新書)では、元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴きます。 本記事では、〈なぜ日本人は「法」を遵守しないのか?…日本人の深層心理に張り付いた「日本的法意識」にひそむ「闇」〉にひきつづき、法意識論の前提として、「現代日本人の法意識」について考えることの意味とその重要性について論じていく。 ※本記事は瀬木比呂志『現代日本人の法意識』より抜粋・編集したものです。 日本における近代的法意識の未熟さ『現代日本人の法意識』第2章で論じるとおり、明治時代に近代的法制度が導入されるまでは、日本には、現在の民法、商法等に相当するまとまった民事系の法典はなく、江戸時代には、各奉行ないしその配下にある司法官僚が適宜の裁判を行ってい
『キングダムカム・デリバランス』日本語版の発売に先駆け、本作の舞台となったチェコ共和国を巡るメディアツアーが開催された。 今回のメディアツアーでは、開発会社のWarhorse Studiosに取材を行ったほか、ゲームにも登場するおなじみの街や名所を散策。そして、このメディアツアーは、チェコ政府観光局(チェコ大使館)が全面的に支援しており、ゲームの舞台のほかにも、チェコ各地のさまざまな観光スポットを訪れることができた。 チェコには数百の城が現存し、いずれの街にも中世の雰囲気がそこかしこに残っている。中世ヨーロッパ好きにはたまらない、またビール好きにもとってもたまらない、魅力あふれる国で、筆者もすっかり魅了された。このコーナーでは、そんなチェコの魅力をお伝えしていく。
少女マンガの現在地 なぜ今“中世ヨーロッパ風”ファンタジーが人気? 昭和の名作『ベルばら』と電子コミックとの違いは 昨今、ますます勢いを増す電子コミック。男性向けでは、根強い人気の異世界転生やレベルアップ系の作品からヒットが生まれている。一方で女性向けでは、中世ヨーロッパのような世界を舞台とした西洋風ロマンスファンタジーが人気。こうした設定の少女マンガは『ベルサイユのばら』など昭和に流行したが、平成以降はリアル志向になっていたような…。原点回帰かノスタルジーか? 電子コミックという最先端のエンタメで何が起こっているのか。女子マンガ研究家・小田真琴氏が、歴史や背景を語る。 【マンガ】“ベルばら”とどう違う? 令和で人気の少女マンガ ■「花の24年組」も…、昭和の少女マンガにあった“海外への憧れ” 明治・大正時代から存在していた少女小説が、形を変えて少女マンガとして開花したのは戦後のこと。その
初めまして、今回の担当は「8章 身体と衣食住」を紹介する山辺規子(専門:食文化史、イタリア史)です。 本章については、『身体の中世』(ちくま学芸文庫、2001年)の著者で、メインの編集担当である池上俊一先生に書いていただくのがベストです。そうすれば、身体がどう認識されていか(☞「髪」☞「身体の知」)、火と水との関わり(☞「身体と水」☞「火と陽」)といった項目について、イメージが広がる紹介がおこなわれたでしょう。立派な建造物については13章に譲るとして、生活の場である民家(☞「町家と農家」)や庭園(☞「庭園と菜園」)については違った視点から論じてくださったと思います。ただ、池上先生は、既に第1章で登場されているので、同じく編集に関わった山辺が担当することになりました。 この8章は、かつての歴史学の研究では研究対象とされなかった日常生活、また身体に関わるものです。この分野は、被服や調理などとい
オープンワールドRPG『Kingdom Come: Deliverance II』の現地とゲームのマップを比較する映像がIGN USより公開された。本作は1403年ごろのボヘミア王国を舞台にしたゲームだ。現在で言うところのチェコ西部・中部が舞台となっており、リアルな世界がゲームで再現されている。 動画では、ゲームで探索できる都市のひとつであるクトナー・ホラの都市が登場している。動画は現地のクトナー・ホラの都市の映像のあとに、ゲームの映像が流される格好だ。 動画の冒頭では、噴水広場のような場所が登場する。現実世界では15世紀後半に「石の泉」と呼ばれる貯水用の建物が建造されたそうで、見た目がだいぶ変わってしまっているが、本作は緻密な取材をもとにして作られているので、過去には噴水だったのだと思われる。そのあとは広場周辺の映像も登場する。現実世界では自動車があるし建物も変わっているが、道路の構造は
中世RPG『Mount & Blade』シリーズの公式Xアカウントは何らかの発表を匂わせる意味深なポストを投稿しました。 大きな動き無い1年を経ての意味深投稿にファンの期待大!『Mount & Blade』シリーズは中世風の広大なワールドで、血しぶき飛び交う戦闘はもちろん、政治、生産、交易等あらゆる側面から領土の拡大、征服を楽しめるストラテジー・アクションRPGです。最新作『Mount & Blade II: Bannerlord』は執筆時点で20万件以上のレビューを集めての“非常に好評”評価を獲得している他、2月にはローマ帝国を舞台とした大型Modが開発されるなど長きに渡り愛される人気シリーズとなっています。
海に国境のない時代―中世。山陰地方の西端のまち益田は、その地理と地域資源を活かして、大きな輝きを放っていました。 人々は、中国や朝鮮半島に近い地理と、中国山地がもたらす材木や鉱物などの地域資源を活かして、日本海交易を進めました。領主益田氏は、自らも交易に積極的に関与し、優れた政治手腕を発揮して平和を実現しました。経済的繁栄と政治的安定のもと、東アジアの影響も受け、どこにもない文化が花開きました。 現在の益田にはその歴史を物語る、港、城、館の遺跡と景観、寺院や神社、町並み、庭園、絵画、仏像などの一級品がまとまって残っています。 このように、時代と地域の特性を活かして輝いた益田は、中世日本の傑作と言え、全国でも希有な中世日本を味わうことのできるまちです。 山陰地方の西端に位置する益田市は、奥深い中国山地を抱え、日本一の清流・高津川と益田川が豊かな山あいを流れ出て沖積平野を形づくり、海岸線には美
舞台は1401年のイングランド。ウェールズのイングランド王国に対する反乱「グリンドゥールの反乱」が勃発していた。史実では物量に勝るイングランドがウェールズを圧倒したが、プレイヤーが現代兵器を駆使してこの歴史を覆していく。 映像では本作の特徴として、兵士たちの物量と豊富な破壊要素が紹介された。時には数千ともなる巨大な軍隊は、すべての兵士が一人ずつAIによってシミュレートされているという。また、すべての建物、城壁、門は破壊可能。グレネードや空爆、さらには戦車などによって、物理計算された破壊を楽しめる。本作では、物理計算の速度を重視して最新のUnreal Engine 5ではなく「あえて」Unreal Engine 4を選択したということも語られた。 本作はシューティングにストラテジー要素を持ち込んだ作品であるとしており、軍隊の強化や拠点の建築といった要素も紹介されていた。また、最大4人でのマル
2025年(令和7年)1月3日(金) 年末年始ヨーロッパ5ヶ国を巡る旅に出掛けました。ベルギーの首都ブリュッセル、ポルトガルの古都ポルト、スペインの世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラへも訪れ、4ヶ国目イタリアのミラノに滞在。夜にはイタリアを離れます。前回は空港のあるミラノ近郊のベルガモの旧市街チッタアルタで教会群を回った話を書いています。 fuwari-x.hatenablog.com 世界遺産の要塞都市から新市街チッタバッサへ下りてきました。あれ、移動遊園地がある。ベルガモでもまだクリスマスマーケット開催中のようです。 いい雰囲気の建物があったので撮ったのですが、この建物の内側の中庭にサンタマルタの回廊と呼ばれる600年以上も前の回廊があるそうなの。左側にあるのがたぶん入口となるアーチ。帰国後にこういった見逃しを発見するのはいつものことだけど、ほんと残念。 隣にあるのが市庁舎。チッ
2025年(令和7年)1月2日(木) 年末年始ヨーロッパ5ヶ国を巡る旅に出掛けました。ベルギーの首都ブリュッセル、ポルトガルの古都ポルト、スペインの世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラへも訪れ、4ヶ国目イタリアのミラノに滞在中です。前回はミラノから日帰りで訪れているパルマのパルメジャーノ・レッジャーノ専門店の話を書きました。 fuwari-x.hatenablog.com 本格的にパルマの散策に入ります。チーズ専門店を過ぎると、サンタ・マリア・デッラ・ステッカータ教会(Basilica di Santa Maria della Steccata)が見えます。 14世紀には小さな教会であったのを、1539年にルネサンス様式の教会として建設。スイスの国旗のように横木と軸木が同じ長さのギリシャ十字の平面図です。 後陣のフレスコ画は、パルマ生まれの画家パルミジャニーノ(Girolamo Fra
みなさま、初めまして。第10章の編集を池上俊一先生、小澤実先生とともに担当した久木田直江と申します。専門は中世末に生きた女性が自ら著したり、筆記者を雇って口述した書物の研究です。特に女子修道院に伝わる神秘主義的テクストやその影響を受けた俗世の女性が残した著作に「憑りつかれ」、中世の身体論、医学史、ジェンダー論へと関心は広がりました。大雑把ではありますが、中世キリスト教世界に生を受けた女性たちが「いかなる思い抱き、いかに生きたか」という問いを長年持ち続けています。NewsPicksでは、15世紀初頭のイングランドで富裕商家の女性が口述で著した、現存する英語で書かれた最古の自伝、The Book of Margery Kempe(『マージェリー・ケンプの書』)の人生サイクルに重ね、本章を紹介したいと思います。 数年前にこの章の案を練った際、中世を語りつつ、現代に引き寄せて考えられる話題を提供し
2月11日(火)、京都ハリストス正教会で「冬季セミナー」が開催され、妻と京都まで行ってきました。 冬季セミナーとは西日本教区主催の行事で、毎年2月に講師を京都または大阪教会に呼んで講演会を行うものです。 私自身も2022年に講師として、イスラームと正教会の比較神学的なお話をしたのですが、コロナ禍の真っ最中だったため、オンライン開催となってしまいました。 frgregory.hatenablog.com 京都ハリストス正教会に到着 今回の講師は美術史家でセルビア中世美術史が専門の嶋田紗千先生。セルビアで洗礼を受けた正教徒でもあります。(公開イベントのため実名で記載します) 私はセルビア正教会に関心があり、嶋田先生とも、それこそ彼女が洗礼を受ける以前の10年以上前から知り合いだったので、今回喜んで講演を聴きに行ったのです。 私はこれまで何回もセルビアを訪ね、現地の歴史的な聖堂を訪ねて古いフレス
キリスト教世界での興亡 本文のポイントを下記に示します👇 ローマ帝国によるユダヤ王国の滅亡: 紀元70年にローマ帝国によりユダヤ王国は滅ぼされ、ユダヤ人の活動は制約された。 初期のキリスト教もローマ帝国によって弾圧を受けていた。 キリスト教のローマ帝国における国教化: 380年、皇帝テオドシウス1世がキリスト教を国教に定める。 帝国の東西分裂(395年)後、ユダヤ人の状況が一変。 ユダヤ人に対するキリスト教の態度: 初期にはキリスト教はユダヤ人に対して敵対的ではなかった。 キリスト教徒の記録にはシナゴーグの焼き討ちが描かれるが、考古学的調査では焼け跡は少なく、シナゴーグが教会に転用される事例も確認される。 アウグスティヌスの影響: 4〜5世紀のキリスト教の教父アウグスティヌスは『神の国』の中で、歴史を「神の国」と「地上の国」の対立と抗争として捉える。 イエスの到来により、ユダヤ人は「神の
2025年(令和7年)1月3日(金) 年末年始ヨーロッパ5ヶ国を巡る旅に出掛けています。ベルギーのブリュッセル、ポルトガルのポルト、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを経て4ヶ国目イタリアのミラノに滞在中です。前回は食の宝庫パルマから戻り、夕食をミラノ中央駅でテイクアウトした話を書きました。 fuwari-x.hatenablog.com ミラノ最終日です。人の多いミラノの観光を避けることに決め、前日はパルマへ行きました。もうひとつ候補に挙がっていたのは空港のあるベルガモです。片道55分で行けるので、駅から中心部まで遠いベルガモはホテルに荷物を置いたまま出掛けることも一案でした。ただ天気予報が前日が雨模様、翌日が晴天だったので、景色を楽しむベルガモを2日目にする必要がありました。出国日ならばわざわざ戻るよりも荷物持参がふつうでしょう。 ミラノ中央駅からベルガモ駅までは6EUR(1,
イングランド王ウィリアム1世が、イングランド北東部のピカリングに建造を命じた木造の要塞は、今は残っていない。このイラストは、13世紀に建てられた石造要塞の名残を参考にして、元の木造要塞を描いた想像図。(Illustration by Jaime García Carpintero; Based on research by Jesús Molero, David Gallego, and Cristina Peña) フランス中央部のドルドーニュ川ほとりに立つカステルノー城(「新しい城」という意味)は、カトリック教会とカタリ派との戦いで破壊されたが、1200年代に現在の姿に建て直された。(De Lagasnerie/GTRES)
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く