ガラパゴス状態だった「男性更年期障害」への対応 ――なぜ近年、男性の更年期障害が注目されているのでしょうか。 男性の更年期障害は、医学的には「LOH(late onset hypogonadism)症候群」(加齢男性・性腺機能低下症)と呼ばれています。男性ホルモンの「テストステロン」の減少によりさまざまな不調が起こる疾患ですが、決して新しい病気ではありません。 例えば東洋医学では、腎臓や生殖器などを表す「腎」はエネルギーを蓄積する場所と考えられており、昔から男性が中高年になり急に元気を失う状態は「腎虚(じんきょ)」と呼ばれていました。男性の大厄が42歳であるのも、江戸時代に「隠居後の42歳頃に腎虚になる」と考えられていたからだそうです。これはまさに男性の更年期であり、古くから現象としては認識されていたといえます。 堀江重郎(ほりえ・しげお) 順天堂大学大学院 泌尿器外科学 教授 男性ホルモ