目次 次へ RTGSの仕組み このように「時点ネット決済」には、(1)銀行が1行でも決済不能に陥ると全ての銀行の決済が止まってしまう、(2)決済不能の銀行に中央銀行がおかねを貸せばおさつを発行するうえで欠かせない財務の健全性が損なわれかねない、(3)しかも銀行にモラル・ハザードが発生しやすい決済手法である、という難点があります。このため、世の中における金融取引が増大し、行われる決済の金額――したがって決済リスクの額――が増大する中にあっては、中央銀行において銀行間の「時点ネット決済」を続けることは決済の安定を損なうものである、という考え方が世界各国で共有されるに至ったのです。「時点ネット決済」に代わって採用された手法が、先ほどお話ししたRTGS――即時グロス決済――です。 RTGSというのは、「銀行から振替の指示を受けた中央銀行が、指示を受け次第、直ちにその振替を実行する」という極めて単純