並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

361 - 400 件 / 421件

新着順 人気順

内田樹の検索結果361 - 400 件 / 421件

  • 「『差別』も『ファウル』と同じように考える 根絶できなくとも抑制できる」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)

    哲学者 内田樹 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * 差別的な発言をまきちらしている国会議員がいる。その非常識な言動でレイシスト層からの政治的支持を期待してそうしているのだろう。この人を見ていると、差別を根絶することはたぶん不可能だろうと思う。仕方がない。差別は人間的未成熟から生まれるものだからだ。「子ども」を根絶することはできない。 「だったら、差別し放題でいいじゃないか」という極論にいきなり飛びつく人がいる。そういう単純な切り替えしかできないことが「子ども」の証拠なのである。未熟から生まれる悪徳はかように始末に負えない。 だから、差別に向きあう時、私たちは忍耐強く「さじ加減」を見計らわねばならない。ある程度までの差別は「見逃し」、受忍限度を超えた差別には「注意を促し」、それでも矯正されない差

      「『差別』も『ファウル』と同じように考える 根絶できなくとも抑制できる」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)
    • 日本の大学院は院生にひたすらストレスをかけてふるい落とす…内田樹が指摘する日本の教育に足りないもの 「磨けば光るはずの原石」を捨てている

      教える側は「親切」を心がけるべき 【内田】人に教えるのって、教える側にとってもすごくよい勉強になるんですよね。自分が習得した知識や情報の「入力」は自分の言葉で「出力」することによって初めて身につくものだし、教える過程で自分固有のメソッドも出来上がってくる。 だから、「教えてやってる」というよりは「教える機会をいただいている」と考えるべきだと僕は思います。「アカデミックな訓練」というと、ふつうの人は徒弟修業のような理不尽でつらいものを想像するかもしれませんけれども、本当に良質な弟子を育てようと思うなら、教える側は「親切」を心がけるべきです。 日本のアカデミアでは、「親切」という美徳が非常に軽んじられています。日本の大学院ではひたすら院生たちにストレスをかけて、それに耐えられない者を脱落させて、ストレステストに生き残った人間だけで学問をやろうとする。でも、これは日本全体の知的パフォーマンスを見

        日本の大学院は院生にひたすらストレスをかけてふるい落とす…内田樹が指摘する日本の教育に足りないもの 「磨けば光るはずの原石」を捨てている
      • 内田樹 on Twitter: "信濃毎日の原稿送稿。今年最後の原稿は武蔵野市の条例案否決について書きました。人口の急減局面を迎えるのは日本だけではありません。中国も韓国も台湾も、これから生産年齢人口の急減期に入り、「海外からどうやってマンパワーを集めるか」の競争が始まります。"

        信濃毎日の原稿送稿。今年最後の原稿は武蔵野市の条例案否決について書きました。人口の急減局面を迎えるのは日本だけではありません。中国も韓国も台湾も、これから生産年齢人口の急減期に入り、「海外からどうやってマンパワーを集めるか」の競争が始まります。

          内田樹 on Twitter: "信濃毎日の原稿送稿。今年最後の原稿は武蔵野市の条例案否決について書きました。人口の急減局面を迎えるのは日本だけではありません。中国も韓国も台湾も、これから生産年齢人口の急減期に入り、「海外からどうやってマンパワーを集めるか」の競争が始まります。"
        • この世には「読むと魂が汚れるテクスト」が存在する…内田樹が「SNSの荒野」を歩くときに必ず守っていること 「呪いの言葉」には命を奪うだけの力がある

          ナースには「特殊な能力」を持つ人がいる ずいぶん前にですけれど、ある大学の看護学部の先生のナースたちと看護をめぐって対談したことがありました。僕はその時に、ドクターというのは自然科学者だけれども、ナースというのは魔女の系譜を引き継ぐ呪術的な医療者であり、この二つの医療原理が習合しているところが近代医療の妙味であるというようなことを話したのです。その話がナースの方の気に入ったらしく、実はナースの中にはいろいろな特殊な能力を持つ人がいるという「ここだけの話」をしてくれました。 僕が対談したナースの方は「死期近い人のそばにゆくと屍臭がする」という能力をお持ちでした。だから、夜勤で病室を巡回する時、病室のドアを開けた時に屍臭がすると「この患者は朝までもたない」とわかる。同僚に似たような能力を持つ人がいて、その人の場合は、「死期近い人のそばにゆくと鐘の音がする」のだそうです。でも、二人がそんなことを

            この世には「読むと魂が汚れるテクスト」が存在する…内田樹が「SNSの荒野」を歩くときに必ず守っていること 「呪いの言葉」には命を奪うだけの力がある
          • 『生きづらさについて考える』単行本あとがき - 内田樹の研究室

            みなさん、こんにちは。内田樹です。 最後までお読みくださってありがとうございます。 ご覧の通り、これはさまざまな媒体に書いたエッセイのコンピレーション本です。『サンデー毎日』に何年か前から不定期に長文の寄稿をしておりまるので、そこにこれまで書き溜めたものがベースになっています。その他は新聞や雑誌に書いたままハードディスクの底に眠っていたものを集めて、一冊にしました。 頭から書き下ろしたものとインタビューを添削したものが混在しているので、文体もタッチもひとつひとつで違って、統一感を欠く憾みはありますが、まあ、それも気分転換になって読みやすいかも知れません。 今回、単行本にまとめるにあたってゲラを通読しましたが「ううむ、暗いなあ」と思いました。時事的なものを書くとどうしても暗くなっちゃうんですよね。他のエッセイ集でしたら、ところどころで武道や宗教の話、映画や文学の話も出てて、ちょっと「コーヒー

            • 『複雑化の教育論』まえがき - 内田樹の研究室

              みなさん、こんにちは。内田樹です。 『複雑化の教育論』は教育についての講演録です。2020年の夏から2021年の3月まで3回にわたって行った講演を書籍化しました。 日本各地に赴いて、現地の学校の先生たちを前にして、僕が講演してから、フロアの先生方と対話をするという企画でしたが、コロナ禍のために対面での講演が難しくなり、全国ツァー計画は放棄せざるを得なくなりました。代わりに3回とも神戸の凱風館(僕が主宰している道場・学塾)で行うことになりました。 10人から15人ほどの聴衆においで頂き、その方たちの前で僕が2時間ほど話をして、それから質疑応答をするというやり方です。少人数ではありましたが、とにかく「人前で話す」というかたちだけは整えることができました。聴講者の募集・会場の設営・録音・文字起こしなどは東洋館出版社の刑部愛香さんに仕切って頂きました。お骨折りに感謝いたします。 「複雑化の教育論」

              • 小田嶋さんの思い出 - 内田樹の研究室

                小田嶋隆さんの訃報が届いたのは、禊祓いの行をしている途中だった。メールを読んでから道場に戻って行を続けた。小田嶋さんは、こういうのが大嫌いな人だったと思いながら、身勝手ながら供養のつもりで祝詞を上げた。 僕が最初に小田嶋さんの文章を読んだのは70年代終わりか80年代初めの、東京の情報誌『シティーロード』のコラムでだった。一読してファンになった。「若い世代からすごい人が出てきたな」とか「端倪すべからざる才能である」とか思って驚いたわけではない。ただ、「この人のものをもっと読みたい」とだけ思った。それだけ中毒性のある文章だった。それから彼の書くものを探して、むさぼるように読むようになった。 実際に拝顔の機会を得たのはそれから20年以上経ってからである。当時毎日新聞社にいた中野葉子さんが憲法九条をテーマにしたアンソロジーを編みたいというので僕に寄稿を依頼してきた。他に誰か書いて欲しい人がいますか

                • 「僕が死んだあと、私有地も道場も“面倒な”コモンにする」 内田樹が門徒に苦労させるワケ | 文春オンライン

                  新型コロナウイルスの危機はグローバル資本主義のあり方に急激なブレーキをかけ、疑問符を投げかけた。今後、アンチグローバリズムの流れで地域主義が加速すると分析する思想家の内田樹が、新著『コモンの再生』にこめた日本再建のビジョンを語る。(全2回の2回目。前編はこちら) ◆◆◆ ――そもそも〈コモン〉とはなんでしょうか? 内田 「コモン(common)」というのは、「共有地」のことです。ヨーロッパの村落共同体には、みんなが、いつでも使える共有地がありました。そこで家畜を放牧したり、魚を釣ったり、果実を摘んだり、キノコを採ったりした。しかし、コモンは生産性が低かった。土地を共有していると、誰も真剣にその土地から最大限の利益を上げようと考えないからです。 それならむしろ共有地を廃して、私有地に分割した方がいい。そういう考えで、コモンが廃され、私有地化したのが「囲い込み(enclosure)」です。その

                    「僕が死んだあと、私有地も道場も“面倒な”コモンにする」 内田樹が門徒に苦労させるワケ | 文春オンライン
                  • サコ先生との対談本の「あとがき」 - 内田樹の研究室

                    中央公論新社からウスビ・サコ先生との対談を中心にした本が出ることになった。ゲラはもう戻して、最後に「あとがき」を書いた。 ウスビ・サコ先生との対談を中心にまとめた本を出すことになりました。サコ先生は日本ではじめての「アフリカ出身でムスリムの学長」です。多様な出自の人々を同胞として迎える心構えにおいて日本社会はまだまだ十分な成熟に達していないと僕は思いますけれども、それでもサコ先生のような人が登場してきたこと、サコ先生の言葉に耳を傾ける人がしだいに増えてきたことは、日本の未来について僕を少しだけ楽観的な気持ちにさせてくれます。僕が日本の未来について「楽観的になる」ということはほとんどないのですけれど、サコ先生は僕にその「ほとんどない」経験をさせてくれる稀有の人です。 この本で、僕たちは主に日本の学校教育について論じています。学校教育が僕たち二人の「現場」だからです。僕はもう定期的に教壇に立つ

                    • 内田樹 on Twitter: "たっぷり金さえ払えば沖縄の基地を撤収してもいいとトランプはたぶん本気で思っています。安部政権はいきなり危機に直面します。「沖縄に米軍基地がある地政学的必然性は別にない」って、米大統領に言われちゃったら、これまで沖縄県民に言ってきた… https://t.co/f3XaQnMuay"

                      たっぷり金さえ払えば沖縄の基地を撤収してもいいとトランプはたぶん本気で思っています。安部政権はいきなり危機に直面します。「沖縄に米軍基地がある地政学的必然性は別にない」って、米大統領に言われちゃったら、これまで沖縄県民に言ってきた… https://t.co/f3XaQnMuay

                        内田樹 on Twitter: "たっぷり金さえ払えば沖縄の基地を撤収してもいいとトランプはたぶん本気で思っています。安部政権はいきなり危機に直面します。「沖縄に米軍基地がある地政学的必然性は別にない」って、米大統領に言われちゃったら、これまで沖縄県民に言ってきた… https://t.co/f3XaQnMuay"
                      • 内田樹氏「この後、生きるか死ぬかは自己責任」という意味 都民に向けて投稿(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

                        神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏が13日までにツイッターに投稿し、東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議が12日に「制御不能な状況」「自分の身は自分で守る」などの発言があったことに、戦時下の指揮官の言葉を引用して解説した。 内田氏は「戦線が崩壊したり、船が沈没したりするときに指揮官は最後にSauve qui peut 『生き延びられる者は生き延びよ』を宣言します。『もうこのあとはいかなる指示にも従う必要はない。この後、生きるか死ぬかは自己責任』という意味です。『制御不能、自己防衛』というのはそういう意味です」と記した。 別のツイートで内田氏は「東京の皆さんは緊急事態宣言ではなく、Sauve qui peut の宣言下にあるという自覚を持った方がいいと思います。皆さんが感染しても、重症化しても、後遺症が残っても、死んでも、国も都も『これから後は自己責任だ』という告知はした とい

                          内田樹氏「この後、生きるか死ぬかは自己責任」という意味 都民に向けて投稿(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
                        • 朴先生からのご質問「宗教について」 - 内田樹の研究室

                          こんにちは。 今回は「宗教」や「宗教性」などについての質問です。 今まで内田先生と釈先生の共著で書かれた「霊性」や「宗教」や「宗教性」についてのご著作はぜんぶ読んできたような気がします。 『聖地巡礼シリーズ』をはじめ『日本霊性論』『現代霊性論』や『 はじめたばかりの浄土真宗』 『いきなりはじめる仏教入門』から『日本宗教のクセ』までどれも面白くて非常に勉強になりました。 このご著作通読してみて、いまのところ、僕の言葉ではまだうまく言えないのですが、なんとなく「真に知性的であろうとすれば、人間はどうしても宗教的にならざるをえない」というような感じがしてしまいました。 で、一番目の質問ですが、内田先生にとって「知性的」と「宗教的」の間の関係性の理路というか、ダイナミックスはなんなのかぜひ聞かせて頂けば幸いです。 僕はいちおう「無神論者」ですので、信仰をもっている人と話していると、次第にいらいらし

                          • 『岸田政権は何をしようとしているのか - 内田樹の研究室』へのコメント

                            ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

                              『岸田政権は何をしようとしているのか - 内田樹の研究室』へのコメント
                            • 「村上春樹は夢を見ない 私が散歩できない理由」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)

                              哲学者 内田樹 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 *  *  * 散歩をしたことがない。そう言うとびっくりされる。ほんとうにそうなのだ。子どもの頃には「犬の散歩」というものを毎朝していたが、あれは犬が散歩しているわけで、私はその付き添いである。 当てもなくふらりと旅に出るということもしたことがない。若い頃、同世代に「バックパッカー」という人たちがいて、海外をあてもなく旅行していたが、どうすればそんな旅ができるのか、動機も方法もわからなかった。バイクや車で「あてもなくふらりと旅に出る」ということもしたことがない。私はバイクも車も大好きだけれど、それはあくまで目的地に最短時間で到着するための快適な手段として好きなのであって、目的地を決めずにツーリングやドライブに出かけたことは一度もない。 そうカミングアウトした

                                「村上春樹は夢を見ない 私が散歩できない理由」内田樹 | AERA dot. (アエラドット)
                              • 『桜を見る会再論 内田樹さん』

                                もうこの話をするのにも飽き飽きしている。「桜を見る会」についての話である。 どうして「飽き飽き」しているかというと、ふつうの人間の受忍限度を超えて、この話が続いているからである。 続く理由は簡単で、ふつうは申し開きのできない証拠をつきつけられて「申し訳ありませんでした。私がやりました」として「犯人」が白状して、火曜サスペンス劇場が終わるところで、ぜんぜんドラマが終わらないからである。 でも、「私がやりました」と言わないというのは、ある意味では「合理的な」ふるまいなのである。 昔、東京地検に勤めていた友人から、推理ドラマはあれは嘘っぱちだという話を聴いたことがある。検察官に供述の矛盾を衝かれて、顔面蒼白となって、「もはやこれまで」と自白するのは「自分が知性的な人間である」ということにおのれの存在根拠を置いている人間だけだというのである。 「そんな人間は実はめったにいないんだよ。そんなのはね、

                                  『桜を見る会再論 内田樹さん』
                                • 内田樹 on Twitter: "この10年間で一番衰退したのは日本の資本主義かも知れないですね。権力と結託すればいくらでも金が儲かるものだから、イノベーションもできず、政治的に正しい「ふり」をして世論を味方につける知恵も働かなくなった。" / Twitter

                                  • 日本共産党創建100年に寄せて - 内田樹の研究室

                                    日本共産党から創建100周年を迎えるにあたってコメントを求められたので、こんなことを書いて送った。 日本共産党創建百年は一つの「偉業」である。同一の政党が100年歴史の風雪に耐えて生き抜いたということは世界史的に見ても例外的なことだからだ。それが可能であったのはなぜか。共産党への個人的な賛否好悪の立場を脇に置いて、その問いに向き合うことが私たちには必要だと思う。 日本共産党という党名を変更すべきだという議論がある。私は党名変更には反対である。別に「老舗の暖簾」に価値があると思っているからではない。共産党を名乗る政党は20世紀に世界中に存在した。その興亡と遷移を観察する「比較共産党史」が近代政治史の重要分野だと思うからである。 ロシア革命後、アジアにはインドネシア共産党、中国共産党、日本共産党、高麗共産党、ベトナム共産党が次々と建党された。その中で今も存続し、「マルクス主義政党」を名乗れる政

                                    • 現代における信仰と修業 - 内田樹の研究室

                                      韓国の朴東燮先生が「内田樹研究」のために熱心に資料を集めている。読みたいものがあるのだけれど、韓国の図書館では見つからないということだったので筐底を漁ってみたら出てきた。2013年の4月に書いたものである。読み返してみたら、なかなか興味深い内容であった。朴先生に送るついでにブログにも上げておくことにした。 23年間、神戸女学院大学というミッションスクールで教師をしていた。それまでキリスト教との接触はほとんどなかったが、在職中はチャプレンと語らい、礼拝に出て、ときには奨励で聖書を論じた。ユダヤ教哲学を専門にしていたので、ノン・クリスチャンではあったが、『聖書』は学生時代から繰り返し読んでいた。 私が研究していたのはエマニュエル・レヴィナスというフランスのユダヤ人哲学者である。リトアニアに生まれ、フランスとドイツで哲学を学び、ホロコーストを生き延び、タルムード解釈学を相伝され、その学知によって

                                      • 日仏右翼を見比べると - 内田樹の研究室

                                        前にも書いたが、権藤成卿の『君民共治論』が復刻されるので、その解説を書いている。この一年間ほど権藤の著作や研究書、周辺の人々-内田良平、頭山満、福澤諭吉、金玉均、宮崎滔天、北一輝などなど―の本を読んで来た。 私は大学院時代にはフランス19世紀の極右思想(ファシズムと反ユダヤ主義)を研究していた。論文も書いたし、研究書も訳した(ベルナール=アンリ・レヴィの『フランス・イデオロギー』とノーマン・コーンの『シオンの議定書』)。半世紀近く経ってからほぼ同じ時期の日本の右翼の書き物を読んでいる。不思議な符合だ。 彼らの語る「物語」には東西の違いはそれほどない。「原初の清浄」がさまざまな「異物」の混入によって穢され、衰退している。だから、「異物」を摘示し、それを抉り取れば、再び集団はその活力と豊かさを回復するという物語である。フランスでは回帰すべき「ほんとうのフランス」にはやはり王が君臨する。日本の場

                                        • 2021年総選挙の総括 - 内田樹の研究室

                                          総選挙の後にいろいろなメディアに選挙の総括を書いた。 「争点は何か?」「野党共闘をどう評価するか?」「女性議員はなぜ少ないのか?」「若者はどうして投票しないのか?」という4つの視点から書いた。 「選挙の争点」AERA11月4日 選挙前にいくつかのメディアから「総選挙の争点は何でしょう?」と訊かれた。コロナ対策が喫緊の争点になるはずだったが、8月中旬をピークに感染者は急減した。どうしてこんなに減ったのか、医師に会うたびに訊くのだが、皆「わからない」と首を振るばかりである。感染が収束した理由がわからないのだから、政府のコロナ対策の適否について科学的な判断を下すことはまだできない。だから、コロナ対策は争点にならない。 野党は経済的な指標を取り上げて、日本の国力が急激に低下しているのは過去9年の安倍・菅政権の政策の失敗が理由だと論じたが、与党はこれに取り合わなかった。与党が「経済政策は成功だった」

                                          • 緊急事態を生きる:目に見えないウイルスが可視化した「成果主義の弊害」と「失敗から学ばない政治文化」 内田樹さんに見えたもの | 毎日新聞

                                            緊張が続く。新聞もワイドショーも日々、暮らしや医療現場の苦闘ぶりを奔流のように伝えるけれど、「100年に1度」ともされる今回のコロナ禍である。角度を変えて考えたい。目に見えないウイルスが可視化したものがあるのではないか。それは何だろう。思想家の内田樹さん(69)と考えた。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

                                              緊急事態を生きる:目に見えないウイルスが可視化した「成果主義の弊害」と「失敗から学ばない政治文化」 内田樹さんに見えたもの | 毎日新聞
                                            • 最悪の事態を想像することについて - 内田樹の研究室

                                              年頭なので「2023年はどうなるんでしょう」といろいろな人から訊かれる。そういう場合には「起こり得る最悪の事態」を語ることにしている。 去年の年頭に「ロシアがウクライナに侵攻する」と予測していた人はきわめて少なかった。「ウクライナが徹底抗戦する」と予測した人はもっと少なかったと思う。なぜ予測がはずれたのか。両国の軍事力・経済力・外交力は比較可能であった。そこから推理して、侵攻後数日から数週間でウクライナは屈服し、指導者は亡命し、親ロ傀儡政権ができると多くの人は予測した。でも、現実はそうならなかった。実際に現実変成力を発揮したのはウクライナ国民の「気持ち」であり、それは数値的には考量できないものだったからである。私たちの予測がしばしば外れるのは「人の気持ち」に強い現実変成力があることを勘定し忘れるからである。 ロシアは核兵器を使うだろうか。可能性はゼロではない。ウクライナや近隣諸国を破壊し、

                                              • 『コロナ後の世界』(文藝春秋)まえがき - 内田樹の研究室

                                                まえがき みなさん、こんにちは。内田樹です。本をお手に取ってくださってありがとうございます。 この『コロナ後の世界』は「ありもの」のコンピレーションです。素材になったのはブログ記事やいろいろな媒体に発表した原稿です。でも、原形をとどめぬほどに加筆しておりますので、半分くらいは書き下ろしの「セミ・オリジナル」と思ってください。 かなり時局的なタイトルになっていますが、それはいくつかの論考が今回のパンデミックで可視化された日本社会に深く蝕んでいる「病毒」を扱っているからです。それについて思うところを書いて「まえがき」に代えたいと思います。 僕は今の日本社会を見ていて、正直「怖い」と思うのは、人々がしだいに「不寛容」になっているような気がすることです。 言葉が尖っているのです。うかつに触れるとすぐに皮膚が切り裂かれて、傷が残るような「尖った言葉」が行き交っている。だから、傷つけられることを警戒し

                                                • 朴先生からのご質問に答えるシリーズ 「宗教の本領」とは何か? - 内田樹の研究室

                                                  第三番目の質問です。去年刊行された『日本宗教のクセ』で釈先生が、「まえがき」で書かれた一節がずっと気になっています。釈先生は「まえかき」でこう書かれています。 「 内田先生と宗教話をしていると、また少し宗教の本領に近づいた気になる。」 内田先生にとって、「宗教の本領」ってなんだと思われますか。 さあ、困ったなあ。「宗教の本領」って、釈先生が言われたことですよね。釈先生が何を考えて「こんな言葉」を口にされたのか、それを釈先生に代わって内田がお答えしてよいものでしょうか。でも、質問されたので、僕の考えを申し上げます。 僕の理解する宗教的知性とは、「超越」や「他者」や「外部」など、要するに自分の手持ちの知的なフレームワークには包摂できないものに立ち向かい、その対面がもたらす緊張を通じて、自己刷新を遂げようとする知性のことです。 これまでにも同じことを何度か書きましたけれど、僕は「連続的な自己刷新

                                                  • 内田樹 on Twitter: "リプを読まないので気がつかなかったけれど三日前に竹田恒泰氏から「名誉毀損で訴える」というツイートが来ていました。山崎雅弘さんの裁判を支援するのがお気に入らなかったようです。呼びかけ人60人を全部名誉毀損で訴えるのか、「一罰百戒」で代表の僕ひとりだだけが標的なのか。"

                                                    リプを読まないので気がつかなかったけれど三日前に竹田恒泰氏から「名誉毀損で訴える」というツイートが来ていました。山崎雅弘さんの裁判を支援するのがお気に入らなかったようです。呼びかけ人60人を全部名誉毀損で訴えるのか、「一罰百戒」で代表の僕ひとりだだけが標的なのか。

                                                      内田樹 on Twitter: "リプを読まないので気がつかなかったけれど三日前に竹田恒泰氏から「名誉毀損で訴える」というツイートが来ていました。山崎雅弘さんの裁判を支援するのがお気に入らなかったようです。呼びかけ人60人を全部名誉毀損で訴えるのか、「一罰百戒」で代表の僕ひとりだだけが標的なのか。"
                                                    • 7年8カ月かけて「政治の私物化」にならされた私たち…内田樹がそれを「野蛮」と呼ぶ理由 | AERA dot. (アエラドット)

                                                      長期政権後の菅新政権が幕を開けた。7年8カ月に及ぶ前政権の“置き土産”について、「文明」と「野蛮」の視点から読み解くその正体とは? 「一冊の本」11月号(朝日新聞出版)に掲載された、最新刊『コロナと生きる』(岩田健太郎氏と共著)が好評の思想家・内田樹氏による寄稿を、特別にお届けする。 *  *  * ■野蛮な時代の正体 政治権力を公共の福利のためではなく、政治家自身が私利私欲のため、あるいは個人的な政治的イデオロギーの実現のために用いることを「私物化」と呼ぶのだとしたら、今の日本では政治過程のほぼすべてが「私物化」されている。けれども、国民たちは別にこれを「決してあってはならないこと」だと思っているようには見えない。権力者というのは「権力を私的な目的のために濫用することができる人」のことだと多くの日本人は思っているからである。 一般市民がなした場合には法律上の罪に問われるようなことでも、権

                                                        7年8カ月かけて「政治の私物化」にならされた私たち…内田樹がそれを「野蛮」と呼ぶ理由 | AERA dot. (アエラドット)
                                                      • 内田樹 on Twitter: "「桜を見る会」には複数の層があります。(1)公金を私的な後援会活動に利用したこと(2)その違法性を指摘されても適当に言い逃れられると思っていたこと(3)批判を浴びても「官邸周辺はいかなる違法行為をしても処罰されない」という「いつも… https://t.co/Yj6XJMaPTF"

                                                        「桜を見る会」には複数の層があります。(1)公金を私的な後援会活動に利用したこと(2)その違法性を指摘されても適当に言い逃れられると思っていたこと(3)批判を浴びても「官邸周辺はいかなる違法行為をしても処罰されない」という「いつも… https://t.co/Yj6XJMaPTF

                                                          内田樹 on Twitter: "「桜を見る会」には複数の層があります。(1)公金を私的な後援会活動に利用したこと(2)その違法性を指摘されても適当に言い逃れられると思っていたこと(3)批判を浴びても「官邸周辺はいかなる違法行為をしても処罰されない」という「いつも… https://t.co/Yj6XJMaPTF"
                                                        • 安倍政権の総括 - 内田樹の研究室

                                                          『自民党失敗の本質』(宝島社、2021年)に収録されたインタビュー(2021年8月に行われた)。もう3年近く前のものだけれど、自民党政治の内在的批判としては今でも有効だと思う。 ―菅内閣の支持率は下落の一途を辿り、2021年8月の報道各社の支持率は30%を切りました。この1年間の菅政権の動きをどのように評価されていますか。 内田 随分長く日本の政治を見てきましたけれども、正直言って、最低の部類に入るんじゃないかと思います。ひと昔前だったら内閣が吹っ飛んでしまうような事態が、第二次安倍権以降何度もあったけれども、ここまでひどい内閣というのは過去に例がなかった。 たとえば2021年8月6日、広島での平和祈念式典でのスピーチが象徴的でした。菅さんは丸々1ページ、核廃絶に向けた日本の立場を示す約120字の原稿を読み飛ばしてしまい、結果的には意味の通じないセンテンスを発語してしまいました。 僕が一番

                                                          • 内田樹「高齢化上位国に並ぶのは第2次世界大戦の敗戦国という驚くべき結果」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                            内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数 ※写真はイメージ(gettyimages) 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * 日本がこれからどうなるかを考える場合には、人口減少と高齢化が基本的な与件になる。数字を示すと、目を丸くして驚く人が多い。 総務省の予測では、2100年の日本の人口は高位推計6400万人、中位推計4770万人、低位推計3770万人。中位でもこれから80年で人口が8千万人減る勘定である。その時点での高齢化率は40パーセン

                                                              内田樹「高齢化上位国に並ぶのは第2次世界大戦の敗戦国という驚くべき結果」 | AERA dot. (アエラドット)
                                                            • 内田樹 on Twitter: "松井府知事は6年前に「はっきり言っときます。IR、カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と断言。吉村知事も民間が全額負担と明言。でも昨年12月にカジノ予定地夢洲の土壌汚染対策790億円全額を大阪市が… https://t.co/sc3RuA7EqR"

                                                              松井府知事は6年前に「はっきり言っときます。IR、カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と断言。吉村知事も民間が全額負担と明言。でも昨年12月にカジノ予定地夢洲の土壌汚染対策790億円全額を大阪市が… https://t.co/sc3RuA7EqR

                                                                内田樹 on Twitter: "松井府知事は6年前に「はっきり言っときます。IR、カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と断言。吉村知事も民間が全額負担と明言。でも昨年12月にカジノ予定地夢洲の土壌汚染対策790億円全額を大阪市が… https://t.co/sc3RuA7EqR"
                                                              • 内田樹「政権延命をはかる『戦争カード』は失政から国民の目をそらす」〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

                                                                哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * 政府は国家安全保障戦略ほかの安全保障関連3文書を閣議決定した。「反撃能力」保有が明記され、日本は「戦争ができる国」に向けてさらに一歩を進めた。同盟国に対して防衛費をGDPの2%以上にすることを求めていた米国に対して岸田首相は防衛費増額を約束していた。実現すると日本は米国、中国に続く世界第3位の軍事大国となる。 2015年の集団的自衛権の行使容認で日本は平和主義放棄へと大きく方向転換したが、この閣議決定で日本が戦争の当事国になるリスクは戦後最高レベルに達した。だが、その危機感が政府には感じられない。 戦争の切迫を実感していれば、戦争を回避する外交的な手立てが何より先に論じられてよいはずだが、誰も論じていない。万一戦端が開かれた時には、どうやって国民と国土を守る

                                                                  内田樹「政権延命をはかる『戦争カード』は失政から国民の目をそらす」〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
                                                                • 内田樹×内田るん 親子対談「シングルファーザーと娘、離婚して30年経って向き合えば」 思い出のアーカイブをつくると、家族は豊かになる|人間関係|婦人公論.jp

                                                                  〈発売中の『婦人公論』6月23日号から配信!〉小学1年生のときに両親が離婚することになり、父・内田樹さんについて行くことを決心した娘のるんさん。るんさんが高校を卒業するまで、父娘2人で暮らしました。当時を振り返りやり取りした往復書簡が、このたび本に。今だから言えることとは──(構成=古川美穂 撮影=本社編集部) かみ合わないからこそ対話は楽しくなる 樹 今回の「親子の往復書簡」、こんなに長くやり取りをするのは初めてだったね。 るん うん。一昨年のパリ旅行に連れて行ってもらったときに、お父さんから提案されたのを覚えている。でもよく私との往復書簡をやろうと思ったよね? いつも仕事で忙しくて大変なのに。 樹 るんちゃんも同じだと思うけれど、普段ブログやSNSではそれぞれの場所で自分のキャラクターを設定して、不特定多数の人へ向けて発信するでしょう。今回はそういうバーチャルなキャラクターではなく、リ

                                                                    内田樹×内田るん 親子対談「シングルファーザーと娘、離婚して30年経って向き合えば」 思い出のアーカイブをつくると、家族は豊かになる|人間関係|婦人公論.jp
                                                                  • 内田樹「感染症対策の失敗を認めない政権の“視線”は、次の選挙の得票だけ」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                                    哲学者 内田樹 ※写真はイメージ(gettyimages) 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * パンデミックの渦中で国民の国内移動を奨励するというあり得ない政策が行われている。それが「あり得ない」ものだということは素人でもわかる。感染症対策の基本は「感染経路の遮断」である。マスクをする、手指消毒をする、人と距離をとる、みなそうだ。都市封鎖もスケールは違うが原理は同じである。 不要不急の外出を抑制すべきときに政府は全国規模の外出奨励策を採った。そして専門家が警告した通り、各地で医療崩壊が始まった。だが、政府はGoToと感染拡大の因果関係が証明されていないと言い張って、政策の誤りを認めていない。 感染がいつ収まるか見通せないが、日本政府は最後まで感染症対策の失敗を認めないだろう。個々の政策の適否の

                                                                      内田樹「感染症対策の失敗を認めない政権の“視線”は、次の選挙の得票だけ」 | AERA dot. (アエラドット)
                                                                    • 内田樹「今の若者にとって変化は劣化以外の意味を持たない」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                                      内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数 ※写真はイメージ(gettyimages) 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * 参院選では歴史的な低投票率のおかげで絶対得票率が2割を切った自民党が「勝利」を宣言した。そして、外交でも経済政策でも見るべき成果を上げていない総理大臣が在任期間の史上最長を記録しそうである。どうしてこんな「不思議なこと」が起きるのかと訊(き)かれた。 私にもうまくは説明できない。ただ、私くらいの年齢の人間と30歳以下

                                                                        内田樹「今の若者にとって変化は劣化以外の意味を持たない」 | AERA dot. (アエラドット)
                                                                      • 内田樹 on Twitter: "あなたが「雑務」をされないと他の教員が自分の研究時間を削ってその分を負担することになります。同僚の研究より自分の研究が優先されるべきだと根拠なく主張する方はいささか知性と倫理性に問題があるようですので…と説明すべきだったかな。"

                                                                        あなたが「雑務」をされないと他の教員が自分の研究時間を削ってその分を負担することになります。同僚の研究より自分の研究が優先されるべきだと根拠なく主張する方はいささか知性と倫理性に問題があるようですので…と説明すべきだったかな。

                                                                          内田樹 on Twitter: "あなたが「雑務」をされないと他の教員が自分の研究時間を削ってその分を負担することになります。同僚の研究より自分の研究が優先されるべきだと根拠なく主張する方はいささか知性と倫理性に問題があるようですので…と説明すべきだったかな。"
                                                                        • 中国最新事情 - 内田樹の研究室

                                                                          『シン・中国人』(ちくま新書)を出したばかりの北京在住のジャーナリスト斎藤淳子さんが凱風館においでになった。最新中国事情を拝聴しているうちに時間を忘れた。 中国の生活者の肉声はなかなか日本には届かない。取材活動にきびしい制約が課されているし、市民も口が重い。どこで、誰に会って、何を話したのか、それを政府はすべて把握している(と市民は信じている)。実際に監視されていなくても、市民が「監視されているかも知れない」という不安を抱いている限り「パノプティコン(一望監視装置)」は効果的に機能する。 中国には社会的信用評価システムというものがある。政府がビッグデータを活用して、全国民の社会的信用(平たく言えば「体制への忠誠度」)を格付けしているのである。このスコアが低い人は「ホテルの予約がとれない」「列車のチケットがとれない」というような仕方で日常的にペナルティを受ける。反体制的傾向は日常生活で思い通

                                                                          • (3ページ目)「無策な安倍政権」をいまだに支持し続ける人がいる理由――内田樹の緊急提言 | 文春オンライン

                                                                            コロナは世界各国に配布された「センター試験」 今回の新型コロナウィルスによるパンデミックは「センター試験」のようなものだと僕は思っています。コロナウィルス禍にどう適切に対応すべきかという「問題」が世界各国に同時に配布された。まだ誰も正解を知らない。条件は同じです。他の問題でしたら、外交でも財政でも教育や医療でも、国ごとに抱える問題は違います。だから、簡単に比較することはできません。でも、このパンデミックは違う。すべての国が同じ条件で適切な対応を求められている。 そして、アジアでは、今のところ台湾、韓国、中国が感染拡大を阻止することに成功しているらしい。そして、「こうすれば感染拡大は防げる」という教訓を開示した。都市封鎖、感染者の完全隔離、個人情報の開示と徹底的な検査……とそれぞれにやり方は違いますが、とにかくほぼ抑え込んだ。 でも、日本は何一つ成功していません。世界に「こうすれば、抑えられ

                                                                              (3ページ目)「無策な安倍政権」をいまだに支持し続ける人がいる理由――内田樹の緊急提言 | 文春オンライン
                                                                            • 『コモンの再生』文庫版のためのまえがき - 内田樹の研究室

                                                                              みなさん、こんにちは。内田樹です。 『コモンの再生』文春文庫版をお手に取ってくださってありがとうございます。 単行本は2021年刊行。『GQ』という月刊誌に2016年7月から2020年6月まで連載していた「人生相談」コーナーをまとめたものです。ですから、最初のものはもう今から8年近く前の話になります。東京五輪もコロナもまだ始まっていない頃の話です。 「そんな昔の話、今ごろ読んで面白いんですか?」という疑問が当然湧き上がると思います。湧き上がって当然です。でも、読んでみたら割と面白いんです。 どうして時事性をも持たない文章がまだ読むに堪えるのか? それについて私見を申し述べたいと思います。 時事的なトピックを扱った文章が何年にもわたってリーダブルであるためには、何が必要か? そこで書かれていた未来予測が当たることでしょうか。それもあると思います。本文を読めばお分かりになりますが、僕がこの中で

                                                                              • 被査定マインドを解除する - 内田樹の研究室

                                                                                合気道という武道を教えている。稽古を始めて半世紀、教えるようになってから30年経った。数百人の門人を育てて分かったことは、今の日本社会が「非武道的な人間」を量産するための仕組みだということである。分かりにくい話なので、少していねいに説明する。 誤解している人が多いが、武道は勝敗強弱巧拙を競うものではない。ふつうの人は武道というのは、競技場にいて、ライバルと対峙し、勝敗を争ったり、技量を査定されるものだと思っている。たしかに、サッカーやボクシングやフィギュアスケートはそうである。でも、武道は本来はそういうものではない。というのは、「査定」されるというのは「後手に回る」ことだからである。「後手に回る」ということは武道的には「遅れる」ということであり、それは勝敗を競う以前に「すでに敗けている」ということである。 わかりにくいと思うが、武道修業の最終目標は「天下無敵」である。具体的に言えば「場を主

                                                                                • 「内田樹の研究室」より「現状分析と展望」 - 爽風上々のブログ

                                                                                  「内田樹の研究室」に掲載されていたもので、内田さんがどこからか依頼されて書いた文章ですが、言い足りないところがあるので書き足したロングバージョンです。 「現状の分析」ということです。 blog.tatsuru.com大事なところは強調して表示されているという、分かり易いものになっています。 最初にあるのが、安倍内閣やその支持者たちの信奉する「新自由主義」について。 新自由主義といえば「選択と集中」です。 コロナ禍でわかったのは、「選択と集中」戦略はパンデミックのような社会的に危機に対してはまったく役に立たないという事実です。 まあ一言で終わってしまうようなものですが。 もちろん本文ではその根拠や詳細も触れてあります。 リスクに対処するというのは、幸いにもそれが来なければ無駄になりますので「選択と集中」派から見れば不要に見えるものなのでしょう。 しかし、何もなければ無駄になるところだった韓国

                                                                                    「内田樹の研究室」より「現状分析と展望」 - 爽風上々のブログ