並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

481 - 514 件 / 514件

新着順 人気順

内田樹の検索結果481 - 514 件 / 514件

  • NewYork Times 3月2日の記事から - 内田樹の研究室

    アメリカの対日世論はしだいに疑惑と不信の論調に傾きつつある。 New York Times の昨日の記事「安倍氏の危険な歴史修正主義」を訳してみた。 安倍首相の「真意」を記者が読み切れないのは、つねづね申し上げているとおり、「対米従属を通じての、対米自立」という自民党の伝統的な戦略の「意味」と、それを支える「心性」がアメリカ人には理解しにくいものだからである。 記事は首相の真意を「hard to decipher」と評しているが、decipher というのは「意味不明の言葉・暗号・古文書などを解読する」というかなり特異な含意の動詞である。 首相の対米姿勢は友好的なのか対立的なのか、よくわからないという先方の当惑がよく伝わってくる記事である。 なにより「does not want to be dragged into a conflict between China and Japan」(ア

    • 坂本龍馬フィーヴァー - 内田樹の研究室

      朝刊を開いたら、一面の下の書籍広告がぜんぶ坂本龍馬関係の書籍だった。 書店に行っても坂本龍馬関係の本ばかりがずらりと並んでいる。 私たちの国では、システムや価値観のシフトが時代の趨勢としてやみがたいという「雰囲気」になると、ひとびとは幕末に眼を向ける。 地殻変動的な激動に対応した「成功例」として、私たちが帰趨的に参照できるものを明治維新のほかに持たないからである。 日本人がある程度明確な「国家プラン」をもって集団的に思考し、行動した経験は維新前夜だけである。 それはアメリカ人が社会的激動に遭遇するたびに「建国の父たち」を想起するのと似た心理機制なのかも知れない。 司馬遼太郎によると、坂本龍馬の名前はひとにぎりの旧志士たちのあいだでこそ知られていたが、明治中期にはもうほとんど忘れ去られていた。 それが国民的な知名度を得たのは、日露戦争前夜の1904年、皇后の夢枕に白衣の武士が立ち、来るべき戦

      • 内田樹と村上春樹に見る神戸的性格について

        陰気でねちねちしていて甘えており、俗物だが目立ちたがりで、人を人とも思ってないくらい人格ができていない売文屋。あの人たちもう60代でしょう。おまけに容姿もそっくりだ。2人の共通点は出自のなかで神戸で生活してるということだから、神戸人の性格なのかと思ってる。共通部分はそれしかない。なお実際、内田樹は村上春樹オタクで村上春樹を絶賛し続けている第一人者。地元が同じだから育ちも似ていて、馬があうのだろうか。もう一人、似ている人としてやはり神戸育ちの浅田彰を挙げられる。性格はみんな悪いし、見た目も格好悪い。悪文で他人を陥れたり、社会風俗を悪くしてはした金を儲け、虚栄にはやるのがデフォルト。3つも同じ例があるから偶然ではない。ツイートする

        • AO 入試が始まった - 内田樹の研究室

          AO入試の第一次選考。 これから3月半ばの後期試験の判定教授会まで、半年にわたる長い入試シーズンが始まる。 入試部長として、この入試業務の全体を統括しなければならない。 もちろん実務は入学センターの職員がやってくれるので、決定したことについて(とくに失敗したことについて)責任を取るのが私の仕事である。 立場上責任を取ったり謝ったりすることはさっぱり気にならない。 世の中には、「立場上」であれ、責任をとることを好まぬ人もおられるけれど、「立場上」というのは要するに「命までは取らない」ということである。 そういう機会に「取れるものは取っておく」というのはずいぶんと大事なことである。 予定納税のようなものである。 そのうち「どかん」と来るかもしれないものを小出しに払っておくと後で助かる。 私が「わりとどうでもいい局面」ですぐに謝るのは、「絶対譲れない局面」で絶対謝らないための「貯金」をしているの

          • Amazon.co.jp: 日本辺境論 (新潮新書 336): 内田樹: 本

              Amazon.co.jp: 日本辺境論 (新潮新書 336): 内田樹: 本
            • 経済成長不要?内田樹先生、だから鰻重食っただけで炎上するんですよ  田中秀臣の超経済学

              朝日新聞では見えにくい学生の苦悩と救い方 「コロナ禍で休退学5千人超」。今年4月以降、休学や退学した大学生らに関する朝日新聞の報道に疑問の声が相次いだ。全体で見れば昨年度より減少したにもかかわらず、コロナ禍を機に増加したかのような印象を与えかねない「見出し」だったからだ。学生の悩みの本質を読み解くとともに、有効な救済策を提言する。

                経済成長不要?内田樹先生、だから鰻重食っただけで炎上するんですよ  田中秀臣の超経済学
              • 内田樹の研究室: うなぎくん、小説を救う

                2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

                • 内田樹の研究室 : オリジナリティについての孔子の教え

                  2024 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 2023 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2022 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5月 - mai 6月 - juin 7月 - juillet 8月 - août 9月 - septembre 10月 - octobre 11月 - novembre 12月 - décembre 2021 1月 - janvier 2月 - février 3月 - mars 4月 - avril 5

                  • 英国のEU離脱について - 内田樹の研究室

                    英国のEU離脱についてある通信社からコメントを求められた。すこし長めのものを書かせてもらったので、ここに採録する。 EU構想の起源は16世紀のルネサンス期に誕生した「文芸共和国」に遡る。その当時、ヨーロッパ各国の学者たちは、それぞれの学術研究の成果を、彼らの共通語であるラテン語でしたためて、頻繁な手紙のやりとりを行った。 そうして形成されたクロスボーダーな「人文主義者のネットワーク」はそれから後も形態を変えながらヨーロッパにつねに存在し続けいる。クーデンホーフ=カレルギー伯爵の「汎ヨーロッパ主義」も、オルテガ・イ・ガセットの「ヨーロッパ合衆国」構想も、ピエール・ド・クーベルタン男爵の「近代五輪」構想も、いずれも「文芸共和国」のアイディアに由来している。共通するのは、「そういうこと」を考え出す人たちがみな「貴族」だったということである。 ヨーロッパにおいて、「貴族たち」は国民国家内部的な存在

                    • コピーキャット社会 - 内田樹の研究室

                      『こんな日本でよかったね』(バジリコ)がもうすぐ発売される。 まだ書店には配架されていないが、すでに重刷が決まったそうである。 ネット「青田買い」してくださる読者のみなさんのおかげである。 自分でいうのもなんですけれど、たいへん面白いです。 ところが、読んでいるうちにすごい誤記を発見する。 261頁に「ナチスドイツの宣伝相であったゲーリングは」とあるのだが、これは誰が何と言っても「ゲッベルス」の間違いである。 ゲーリングはゲシュタポと空軍の創設者の方である。 「ゲーリング」ヴァージョンを買ってしまった方は、稀覯書を手に入れたと思ってください。三刷りからは直しておきます。 (と書いたあとにネットで調べたら、amazonで46位、bk1では全体で3位、社会で1位になっていた。もう書店に並んでいるのであろう。1位というのははじめてのことなので、これはたいへんうれしいです。お買い上げのみなさん、あ

                      • 「存在しないもの」との折り合いのつけ方について - 内田樹の研究室

                        ニ期倶楽部というところがやっている「山のシューレ」という催しに呼ばれて、那須高原で二日過ごした。 能楽師ワキ方の安田登さんが対談の相方にお呼び下さったのである。 お題は「能の身体性、能の霊性」。 これまで安田さんとは能楽について何度か対談している。そのつど、だんだん話が深くなる。 先方は玄人、こちらは馬齢は重ねても所詮素人であるから、専門的なことはよくわからない。 けれども、二人とも興味があることが近い。 それは「存在しないもの」とのコミュニケーションである。 「存在しないもの」、端的には「死者」のことあるが、より広く「絶対的他者(Autrui)」と呼ぶこともできる。 神も悪魔も、すべての神霊的なもの、天神地祇、妖精も鬼も河童も山姥も含めて、「存在しないもの」と呼ぶことができる。 「存在しないもの」は「存在するとは別の仕方で」(autrement qu'être) 私たちに「触れてくる」。

                        • 残留率と楽観主義 - 内田樹の研究室

                          入試業務で毎日出校。 入試部長というのが、これほど打ち合わせと会議の多い仕事だとは思わなかった。 これがあと一年続くと思うとうんざりするが、これもあと一年で終わると思うと気持ちが軽くなる。 ものが考えようである。 つねづね申し上げている通り、なんでも「カウントダウン」にするというのが私の年来の流儀である。 カウントダウンすると、どうでもいいような日々のできごとが「かけがえのないもの」に思えてくるからである。 これでおしまい、二度とないと思うと、わずか10分で終わるセンター利用入試の合否判定教授会のために土曜日に稽古を休んで出校するのもまた楽しからずや(負け惜しみ)。 これまでのところ本学の今年度入試の出願状況は堅調である。 周辺校が軒並み60−80%台で前年比割れをしているなかで、前年比99.7%というのは、たいへんよい数字である。 今年どこの大学も志願者を減らしたのは、不況のせいである。

                          • 英語ができんが、何がいかんとや - 内田樹の研究室

                            英語公用語化について批判的なコメントをブログに書いたら、いろいろなメディアから取材が来た。 「これはちょっとまずいんじゃないか・・・」とみんな思っているんだけれど、どうしてまずいと思うのか、その自分自身の直感の根拠がよくわからない。 まあ、直感なんだから根拠がわからないのは当たり前なのだけれど、こういう「暗黙知」的なアラームには耳を傾けた方がいいと私の経験は教えている。 公用語化には、いろいろなレベルでの「ひっかかり」を感じるけれど、いちばん問題なのは現に「英語嫌い」の子どもたちが構造的に生まれつつあることに配慮していない点である。 英語ができない学生がほんとに多いのである。 先日の「英語で合気道」は結局受講生全員(といっても 3 人だけ)日本人。アシスタントは合気道部と杖道会の学生なのでもちろん日本人。それに松田先生と国際交流センターの北川さん(通訳も兼務)。 What should I

                            • 労働について - 内田樹の研究室

                              ブログのサーバが故障しちゃったので、しばらく日記の更新ができない。 困ったなあと思っていたが、そういえばミクシーがあったじゃないか。 ミクシーに日記なんか書いたことないから、たぶん誰も気がつかないと思うけど、まあ、そういうこともあるわね。 では二日前の日記から 四回生のゼミと大学院のゼミの間に取材が一つ。 「仕事について」。 働くモチベーションをどうやって維持するか。 このところよく訊かれる。 よほど働くモチベーションを維持することがむずかしい時代のようである。 私は「働くモチベーションがなくなった」経験がない。働くのはとりあえず生きるためであり、「生きるモチベーションがなくなる」ということは私の場合にはこれまでなかった(先のことはわからないが)。 だから、いつも仕事を探していた。 「なんか仕事ありませんか?」と知り合う人ごとに懇請するのが、久しく私の基本的な社会的態度であった。 今でもあ

                              • 大学ブランドランキング - 内田樹の研究室

                                いささか旧聞に属するが、日経 MJ の 10 月 9 日号に「大学ブランドランキング」と言うものが掲載された。丸の内ブランドフォーラムという会社が大学進学希望者と企業の採用担当者を対象にアンケート調査を行ったものである。 ブランド力のランキングは地域によって異なる。 関東圏だとベスト10は 1位 東京大 2位 慶応義塾大 3位 早稲田大 4位 京都大 5位 上智大 6位 青山学院大 7位 筑波大 8位 御茶の水女子大 9位 東京工業大 10位 東京芸術大学 なるほど・・・という納得のランキングである。 で、関西圏における調査結果はというと 1位 京都大 2位 東京大 3位 大阪大 4位 関西学院大 5位 神戸大 6位 慶応義塾大 7位 関西大 8位 同志社大 9位 立命館大 10位 早稲田大 これまたなるほど・・・という調査結果である。 関西ではブランドイメージは東大よりも京大が上、慶應よ

                                • 「株式会社という病」を読む - 内田樹の研究室

                                  平川くんの『株式会社という病』(NTT出版)のゲラが届いたので、東京へ向かう新幹線の車中で読み始める。 平川くんはブログ日記で、この本を書くのにずいぶん苦労したと書いていた。 彼が「苦労する」というのはどういうことだろう。 言いたいことをはやばやと書ききってしまったので、残りの紙数を埋めるのに苦労するということは学生のレポートのような場合にはよくあることである。 だが、平川くんのような書き手の場合に「書くネタが尽きる」ということはありえない。 ということは、彼がこの本で「手馴れた道具」では論じることの困難な種類の主題を扱っているということである。 平川くんをして困惑せしめる主題とは何であろう。 一読して、その困惑が少しだけわかったような気がしたので、そのことについて書きたい。 彼は久が原の町工場の長男として育った。 その少年時代の親たちの働きぶりや、彼のまわりにいた工員たちの姿を活写すると

                                  • 『時局』インタビュー - 内田樹の研究室

                                    名古屋で出されている『時局』という雑誌でインタビューを受けた。掲載誌が送られた来た。あまり手に取る機会のない媒体であるはずなので、一部加筆修正した上で掲載する。 ―― 大学を退職後の昨年十一月に合気道道場「凱風館」を開かれましたが、内田先生にとって合気道はどんな存在ですか。 内田 大学卒業後、25歳から始めて、稽古に打ち込むようになったのですが、「稽古ばかりやっていてはダメだ」と大学の先生からは言われました。研究者になるつもりなら、寝食を忘れても研究に打ち込んだらどうか――と。でも、夕方六時になると、どうしても全部放り出して稽古に行ってしまう。そんな生活を十五年続けていました。 合気道の稽古と専門の研究の間には本質的な繋がりがあるということを、本人は確信しているんですけれど、言葉では説明できない。三十年くらいやったところで、「研究でやってきたことと、道場でやってきたことは、実はまったく一つ

                                    • 歴史記述について - 内田樹の研究室

                                      歴史研究者協議会というところから講演依頼があり、「国民の歴史」について話すことにした。 レジュメの提出を求められたので、こんなことを書いた。 実際には字数の制約があって、もっと短いのだが、ブログ用に少し書き足した。 歴史認識問題というものが存在する。 平たく言えば、歴史の認識が「国ごと」に違っているということである。 最近では日中・日韓・日米の「歴史認識」の違いが外交関係をぎくしゃくさせている。 あらゆる国民国家は自国の起源を有史以前の遠い過去に遡らせようとし、未来永劫に存在し続けるものとして表象する。 平成25年は皇紀2673年であるから建国は紀元前660年。隣国の壇君朝鮮はもっと早くて紀元前2333年の建国という話になっている。 同じく、どの国も永遠に存続するという前提を採用している。 中央銀行が発行する紙幣の価値を担保するのは「未来永劫に続く国家」だけだからである。 どこの国も、自分

                                      • 内田樹 on Twitter: "前に平田オリザさんが言ってました。「地方移住者を増やしたければ、若い女性がくつろげる『おしゃれなイタリアン』が必要だ」と。別にイタリアンでなくてもいいんです。「私たちはあなたたちを歓待する。たいせつにする」というメッセージを発信することが重要なんだ、と。"

                                        前に平田オリザさんが言ってました。「地方移住者を増やしたければ、若い女性がくつろげる『おしゃれなイタリアン』が必要だ」と。別にイタリアンでなくてもいいんです。「私たちはあなたたちを歓待する。たいせつにする」というメッセージを発信することが重要なんだ、と。

                                          内田樹 on Twitter: "前に平田オリザさんが言ってました。「地方移住者を増やしたければ、若い女性がくつろげる『おしゃれなイタリアン』が必要だ」と。別にイタリアンでなくてもいいんです。「私たちはあなたたちを歓待する。たいせつにする」というメッセージを発信することが重要なんだ、と。"
                                        • 論争するの、キライです - 内田樹の研究室

                                          『考える人』の春号が届いたので、開いてみると、「聖書特集」にレヴィナスについてのインタビューが出ていて、「日本の身体」第十回で大相撲の松田哲博さんとの「シコとテッポウ」対談が出ていて、なかほどには福岡伸一ハカセとの「動的平衡と贈与経済」についての対談が出ていた。 いくらなんでも季刊誌の同じ号に別のトピックで三回登場させるというのは、「番組編成」上無理があるのでは・・・ いや、私はいいんですけどね、もちろん。原稿料いただけるわけですから。 でも、読者の方々がどうお思いになるか。 「げ、またウチダだよ。おい、この本、どうなってんだよ」 そういうリアクションがただいま日本全国津々浦々でなされているのではないか、と。 いや、私はいいんですけどね。もちろん。 そりゃ、『Sight』のような渋谷くんの個人誌の場合であれば、「源ちゃん、まだ来ないみたいだから、待ってる間に、ウチダさん、『婚活』話で一本取

                                          • 50代男性のための雑誌に書いた結婚論 - 内田樹の研究室

                                            『困難な結婚』についてインタビューがあった。50代男性のための媒体で、「そういう人たちにアドバイスを」というリクエストだったので、「発想を切り替えないとこの先は生き延びられませんよ」ということを書いた。ちょっと口ぶりがきつ過ぎたかも知れないけれど、インタビューに来た編集者たち(全員女性)は深く頷いていた。 雑誌に書いたものをすこし添削したものをここに掲載しておく。 そもそも結婚は、幸せになるためにしているのではありません。夫婦という最小の社会組織を通じた「リスクヘッジ」であり、安全保障の仕組みなのです。病気になったり失業したり、思いがけない事態になったときに、1人では一気に生活の危機に追い詰められますが、2人なら何とか生き延びられる。お互いがサポートできる。それが結婚の第一の意味です。 かつては、地域社会や血縁集団が確立していて、その中で夫婦という単位が機能していました。普段は不満の多い夫

                                            • 2017.11.5 『内田樹の生存戦略』⑦ - カメキチの目

                                              カメキチの目 Q 「いじめ」はなくなるのでしょうか? A 競争原理の中にいる限り、「いじめ」はなくなりません。 でも、今「いじめ」というのは学校の中だけの現象ではなくて、日本社会全体を覆い尽くしているものだから、ある意味ではどこまで逃げても逃げられないのかもしれません。 … 60年代からの高度経済成長によって日本はいつのまにか経済大国になってしまった。するとそれまで日本人同士支え合っていた互助精神が希薄になり、鮮烈な「パイの奪い合い」が始まります。 「いじめ」については、いろいろな立場にある人がさまざまなことをいわれている。 人により「いじめ」の定義をどうするか、どう位置づけるかによってさまざまな「いじめ論」がでてくる。 けれども、 私としては正直、「いじめ」の定義の議論はどうでもいい。 誰もが人間としてごく自然に、これは「いじめ」なんだろう…と感じるようなイヤな、不快なものごとがあれば、

                                                2017.11.5 『内田樹の生存戦略』⑦ - カメキチの目
                                              • 効率とリスクヘッジについて - 内田樹の研究室

                                                大谷大学に鷲田清一先生の就任記念の講演『震災と哲学』を聴きに行く。 その前に読売新聞の西田さんから「大阪都構想」について、賛否の両論を掲載するのでインタビューしたいというお申し出があったので、大谷大学構内で1時間ほどお話をする(大谷大学は学外者が学外の仕事をするのに空いている部屋を貸してくださって、おまけにお茶まで出してくださった。なんという寛仁大度。さすが仏教系大学)。 大阪都構想「そのもの」について私は別に反対ではない。 大阪府と大阪市の二重行政を一元化しようという動きはすでに40年前からあり、前任者の太田府知事もその唱道者であった。 それが40年間はかばかしい成果を上げていないのは、大阪市がその権限と財源を府に委譲することによって、どのような「よきこと」が大阪の地に起るのか、その見通しがはっきりしなかったからだろう。 政策の適否はつねに計量的なものであって、「絶対に正しい政策」とか「

                                                • エマニュエル・レヴィナスによる鎮魂について - 内田樹の研究室

                                                  大学院のゼミも残すところ3回。 今期は私の書きものを一冊選んで、それについて発表者がコメントするという形式を採っている。 昨日は前田さんが『困難な自由』を選んで、発表してくれた。 『困難な自由』はレヴィナスの著作で、私の書きものではないが、私が最初に手に取ったレヴィナスの著作であり、それにうちのめされてやがて「弟子入り」に至る、私にとってはまことにエポックメイキングなテクストである。 個人的にはきわめて思い入れのある本なので、1985年と2008年と二回翻訳を出している。 前田さんが著作の紹介と、その中の「来るフレーズ」のご披露のあと、訳者への質問をご用意くださったので、それにお答えするかたちでゼミを進めることになった。 おおかたのゼミ生は『困難な自由』そのものを読んでいないので、本についての注釈ではなく、もっぱら、私がこの著作からどのような影響を受けたのかというパーソナルな話題に終始した

                                                  • 内田樹氏が明かす「安倍首相は28日に辞意表明の確率高い」として政権総括の原稿依頼/デイリースポーツ online

                                                    内田樹氏が明かす「安倍首相は28日に辞意表明の確率高い」として政権総括の原稿依頼 拡大 神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏が26日、ツイッターに新規投稿。健康不安が取り沙汰されている安倍晋三首相が28日に記者会見する予定になっていることを受け、同日にも「辞意表明の確率が高い」として「新聞社二社から原稿を頼まれた」ことを明かした。 内田氏は「新聞社二社から相次いで『安倍政権の総括』原稿を頼まれました。28日に辞意表明の確率が高いということでの予定稿です」とツイート。その上で「村上春樹ノーベル文学賞受賞の予定稿は毎年書いてますけれど、安倍総理辞任の予定稿ははじめてです」とつづった。 リプ欄には「予定稿が無事掲載されますように」「辞めないと思います」「辞任と騒がれているが、実はそうではなく、内閣改造するぞの会見じゃないかと。五輪開催と憲法改正にはもの凄く執着がある御仁ですからね」「いつも重

                                                      内田樹氏が明かす「安倍首相は28日に辞意表明の確率高い」として政権総括の原稿依頼/デイリースポーツ online
                                                    • 20世紀の倫理-ニーチェ、オルテガ、カミュ - 内田樹の研究室

                                                      『ペスト』がいきなり売れ出したということで、集英社の伊藤さんからカミュ論の旧稿をウェブに上げたいという提案を頂いたけれど、これがとてもそのままではお目にかけられるようなクオリティではない。その時にHDの筐底から「こんなもの」が出て来た。たぶん1995年くらいに大学のリレー講義の一部で、「20世紀の倫理」というのを3回くらい担当したことがあって、その時に作ったノートである。そのあと大学の紀要に載せたのだけれど、単行本には採録されていないと思う。カミュ論の部分はのちに改稿して『ためらいの倫理学』という論文になって、同名の論集に収録されている。前半の「倫理についての思想史的概説」は学生向けに書いたので、たいへんにわかりやすい。 1・倫理なき時代の倫理 神戸の小学生殺人事件のあと、あるトーク番組で「なぜ人を殺してはいけないんですか?」と発言した中学生がいて、物議をかもしたことがあった。おそらく、彼

                                                      • 小国寡民のエネルギー政策 - 内田樹の研究室

                                                        先週、中津川市加子母というところを訪れた。 凱風館の工事をお任せしている木造建築専門の中島工務店の中島紀于社長にお招き頂いたのである。 中島工務店は「知る人ぞ知る」木造建築技術のトップランナーであるが、私はもちろんそういうことをまるで「知らない人」なので、光嶋くんから「こういう業者もありますけど」と紹介してもらって知ったのである。 そのとき、中島工務店がこれまで作ってきた建築物のカタログを見せてもらって、「おおお、ここだ」と内心勝手に決めてしまった。 どこがどう「びびび」と来たかのかを言うのはむずかしい。 あえて言えば中島工務店の作る建物には「もどかしさ」があったのである。 何かひどく「言いたいこと」があるのだが、与えられた条件ではそれがうまく言えないので、じたばたと地団駄踏んでいる・・・というような感じがしたのである。 われわれが外国語で話すときに、言いたいことがうまく言えないで、もどか

                                                        • 毎日新聞のインタビュー - 内田樹の研究室

                                                          3月5日の毎日新聞朝刊にインタビューが載りました。 お読みでないかたのためにオリジナル原稿をアップしておきます。ちょっと紙面とは文言が変わっているかも知れませんが大意はそのままです。 ー中国、韓国との関係改善が進まず、米国も懸念しています。 内田 長い歴史がある隣国であり、これからも100年、200年にわたってつきあっていかなければならないという発想が欠けている。安倍政権は外交を市場における競合他社とのシェア争いと同じように考えているのではないか。韓国や中国との「領土の取り合い」と経済競争における「シェアの取り合い」は次元の違う話だということを理解できていないように見える。 昨年12月の靖国神社の参拝も、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移転先の名護市辺野古への埋め立てについて沖縄県知事との話し合いがついた直後に行われた。米国に「貸し」を作ったので、今度は米国が厭がることをする「権利」が発

                                                          • アメリカ抜きの日本外交はありうるか? - 内田樹の研究室

                                                            沖縄タイムズから「日本外交は対米従属から抜け出せるか?」というお題を頂いた。 許された字数が1200字なので、とても書ききれない。 問いに対する答えはもちろん「No」である。 そもそも日本外交が「対米従属である」と思っており、それを「何とかしなければいけない」と思っている人は日本の外交政策の決定過程には存在しない。 存在しないのだから、「アメリカ抜きの日本外交」が構想されるはずがないし、実施されるはずもない。 構造的に「そのことについて考える」ことが禁じられているのである。 一国の外交戦略について、これほどの抑圧がかかっているのは歴史的に見ても例外的な事例であろう。 独仏は普仏戦争から70年間に3回戦争をして、延べ数百万人の同胞を犠牲にした。独仏国境に「満目これ荒涼惨として生物を見ない」惨状を見た両国民が「もう戦争をしない」ために手作りした同盟関係がEUである。 誰に強制されたわけでもない

                                                            • 「政治的に正しいこと」は正しいのか? - 内田樹の研究室

                                                              バリ島海水浴でばりばりに日焼けした上にスキー焼けしたので、季節感のない色黒男になってしまった。 むかしはこういうのを「くろんぼ大会」と称したのであるが若い人はご存じないであろう。 1960年代までは夏休み明けに一番黒く日焼けした子どもを学校で表彰していた。 たいへんよい企図のものであったと思うのだが、「くろんぼ」がご案内のとおりポリティカリーにコレクトではないということで使用禁止用語となり、ついでに「よく遊んだこと」を肌の黒さを基準に考量し、これを讃えるという風儀もまた失われたのである。 ポリティカル・コレクトネスによる用語制限によって私たちが得たものと失ったものはどちらが多いのか、ときどき疑問になる。 自分の語法に伏流するイデオロギー性を自己検閲する習慣を定着させたという功績はむろん高く評価されねばならぬ。 だが、PC の難点は「自分の語法に伏流するイデオロギー性を自己検閲する習慣に伏流

                                                              • キャリア教育再論 - 内田樹の研究室

                                                                大学教授会研修会。 キャリア教育について。 私は大学のキャリア・デザイン・プログラム委員会のメンバーで、今回の現代GPの起案者のひとりであるので、「大学教育におけるキャリア教育の意味」について基調報告を行う。 話はわりと簡単である。 なぜ、文科省は「キャリア教育の充実」を高等教育機関に求めるのか。 前に書いたように、これは「入り口」における「リメディアル教育」と対をなしている。 「リメディアル教育」が大学教育にキャッチアップできない学生たちに対する補習であるのと同じように、キャリア教育は大学を卒業したあとにうまく就労することができない学生たちに対する「補習」である。 人間はどうして労働しなければならないのか。 この社会にはどのような職種が存在するのか。 あなたにとっての適職は何か。 その職業に就くためには在学中にどのような知識やスキルを身につけなければならないのか。 まあ、そういうことを「

                                                                • 内田樹氏が「天皇主義者」となった理由を聞いて、天皇制を許してはならないという確信がさらに強くなった。 - 読む・考える・書く

                                                                  自ら「天皇主義者」であると宣言した思想家・内田樹氏が、キリスト教系の月刊誌『福音と世界』で、そのように宣言した意図についてインタビューを受けている。(以下、内田氏のブログに転載されたもの[1]から引用する。) 「天皇主義者」と自称してはいても、氏はもちろん戦前のような天皇絶対の国家体制を支持しているわけではない。そうではなくて、氏は、所詮天皇制は政治的フィクションであることを認めた上で、戦後日本の象徴天皇制は「統治システム」として非常によく機能しており、これを現代日本社会を「より暮らしやすいものにしていく」ためのリソースとして活用していくべきだと提言しているのだ。 「焦点が二つある」統治システムが「土建国家」ニッポンを作った 天皇による「鎮魂」と「慰藉」は政治責任逃れのトリック 天皇は徹底的に「記号化」されるべき 逆立ちした議論になるのは統治者目線に立っているから 「焦点が二つある」統治シ

                                                                    内田樹氏が「天皇主義者」となった理由を聞いて、天皇制を許してはならないという確信がさらに強くなった。 - 読む・考える・書く
                                                                  • Japan Times の記事から「安倍訪米」を前にした内外からのコメント - 内田樹の研究室

                                                                    Japan Times が4月11日に安倍首相訪米を前にしての、内外のウオッチャーからの安倍政治への評価を報じた。 予想通り、評価はきわめて手厳しいものである。 けれども、問題はむしろ内外の温度差である。 なぜ、国際的には、同盟国の人々からさえもこれほど評価の低い政治家が国内的には50%近い支持率を誇っていられるのか。私はそれに興味がある。 政策に対する支持率が低いのにもかかわらず、内閣支持率が高いということは、日本国民は政策以外の点で安倍晋三を支持しているということになる。 論理的にはそれ以外にない。 では、「政策以外の点」とは何か。 日本人が心に思っているけれど、心理的抑圧があって容易には言挙げできないことと言えば、二つのタブーについてしかない。 アメリカと天皇制である。 たぶん日本人に安倍がアピールする最大の理由は安倍がこの二つの禁忌に挑んでいるからだと私は思う。 安倍は対米従属のポ

                                                                    • 2017.10. 『内田樹の生存戦略』③ - カメキチの目

                                                                      カメキチの目 Q 子どもにやらせるのなら、合気道と柔道、どっちでしょう? (じつは著者は古武術家で、長いこと合気道をやっておられ、達人の域に達しておられます) (グーグル画像さんから借りました) A ものを学ぶときは、学び始める前にあまり予備知識を持たない方がよい。これは僕の経験的確信です。… (注 著者は大学の先生で、教え子のなかの)その学生たちは、効率よく有用で換金性の高い知識や技術を手に入れることよりも、自分が何者であるのかを知りたがっていた。自分の中には、自分自身も知らない、知的可能性が眠っていることをぼんやり感じとっていた。 もちろん、内田さんは「合気道(もしくは柔道)がいいです」なんてことは言わない。 スポーツではない「習いごと」のQでもいっしょだろう。 (モノになってほしいと高望みするのは別にしても)やってよかったと満足できるくらいにはなってほしい、と親ならだれでも願う。わが

                                                                        2017.10. 『内田樹の生存戦略』③ - カメキチの目