医療技術の進歩で「人生100年」とも言われる時代。 iPS細胞を使った再生医療をはじめ、かつては「夢の治療法」と呼ばれた治療法も実用化に向けた開発が進みつつある。 ただ、先端医療に携わる医師たちからはこんな声も上がる。 「いくら研究しても患者に届く治療にならない」。 「もっと早く患者に使えないのか」。 せっかく開発された医療技術が患者のもとに届かない現実があるというのだ。 愛知県の藤田医科大学病院で、医師から検査結果について説明を受ける50代の女性。女性が受けたのは「がん遺伝子パネル検査」。がんの原因となる遺伝子異常を調べ、効果的な治療法を探す新たな検査だ。4年前の2019年に公的な医療保険の対象となった。 乳がんの治療を続けてきたこの女性は検査の結果、特定の遺伝子に異常が見つかり、それに作用する治療薬の開発試験を行う医療機関が県内にある、と知らされた。 女性は今の自分の体調で試験に参加し