(このエッセイは最初は「村上春樹とわたし」という題名で書いていたが途中で方針転換した。そのため、序盤ではわたしが村上春樹の作品に出会ってきた経緯を書いているが、途中からは別の話題に切り替えて書いている。) はじめに村上春樹の本に触れたのは中学生のときで、『うずまき猫のみつけかた』というエッセイだ。わたしは小学生の頃は青い鳥文庫などの児童向けミステリーを読んでいて、中学に上がってからは新潮文庫などで大人向けのミステリー小説も読み始めていたのだが、ある段階で「ミステリー小説なんてどれもこれも同じだ」と気付いて嫌気が差してしまった。しかし、当時はミステリーやSFなどのジャンル小説ではない小説の存在によく気付いておらず、何を選択すればいいのかもわからなかったので、しばらく本を読んでいない時期が続いていたのだ。そんな時期に、見かねた父親が新潮文庫の『うずまき猫のみつけかた』を買ってくれたのだ。ただし