応仁の乱に始まり、川中島、桶狭間、そして関ヶ原。「戦国時代」といえば、華やかで勇壮な合戦場のイメージが浮かぶ。しかし、「戦い」は陸上でのみ起きていたのではなかった。新刊『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』(上田信著、講談社選書メチエ)で見えてくるのは、「海に始まり、海に終わる」新しい戦国時代の姿だ。 「戦国時代」は日本人だけじゃない! 本書で取り上げられる中国の文献『日本一鑑』は、1556年、倭寇対策の使命をおびて訪日した中国人、鄭舜功(ていしゅんこう)による見聞記だ。ここには、政治・外交から、人々の生活、自然環境まで、戦国時代の日本のありさまが様々に記録されているが、船の航路にかんする記述も実に詳しい。 中国人が目にする日本とは、まずは海に浮かぶ大小の島々であり、船を着ける港の賑わいであった。そして、それらの港町を支配するのは誰か、航路の治安を保つのはどんな勢力で、関所は