展開する翼と衛星誘導装置を取り付けた粗製の滑空爆弾は、ロシアがウクライナで拡大して25カ月たつ戦争の決定的な兵器になっていると言っていいだろう。 ロシア軍がここへきて多用している滑空爆弾はもしかすると、爆薬を積んだFPV(1人称視点)ドローン(無人機)よりも決定的な兵器かもしれない。さらに言えば、伝統的に戦闘で最も重要とされてきた大砲よりも決定的かもしれない。 現時点で、ウクライナ側には対抗できる手段がほとんどない。ウクライナ軍の最良の防空ミサイルやその発射機は絶望的なまでに不足している。ウクライナ軍の旧ソ連製の戦闘機は、ロシア軍の爆撃機を迎え撃つにはミサイルなどの射程が短すぎる。交戦できる可能性があるのは欧州諸国から供与されるF-16戦闘機だが、まだウクライナに届いていない。 ロシア空軍のスホーイは、最大で65kmほど離れたところから誘導滑空爆弾(編集注:汎用の大型爆弾であるFAB-15