スマートフォンから電気自動車(EV)まで広く使われているリチウムイオン電池について、材料や製造工程を変えることで、生産コストの9割削減と安全性向上の両立に挑もうとする起業家がいる。 全樹脂電池を開発するAPB(東京都千代田区)を2018年に設立した堀江英明社長だ。日産自動車でEV「リーフ」の電池開発に携わった経歴を持ち、今年3月には大林組や横河電機、帝人などの企業グループから約80億円を調達した。 堀江氏はインタビューで、リチウムイオン電池の生産を、工程が複雑で高度な専門技術が必要な半導体のような構造から比較的単純な鉄鋼生産のようにすることが目標だと述べた。業界常識としては少額な投資でも21年の量産化には十分と説明。中部地方に工場を建設し、23年までに生産能力を1ギガワット時に高める計画だ。 金属製の電極と液体の電解質を基本材料とする現在のリチウムイオン電池の生産には、超低湿度など厳格に管