5月中旬、ドイツ北部の港町ハンブルクの日は長い。ガラス張りのイベントスペースは、午後6時でも昼間のような明るさだ。仕事を終えた人たちがやって来た。静かに音楽が流れる空間でハグをかわし、カウンターで飲み物を注文し、グラスや瓶を手におしゃべり。ただ、ここでの「仕事終わりの1杯」は全てノンアルコール。ソフトドリンク、ノンアルビール、ノンアルカクテルから選ぶ。 バーカウンターで、ノンアルコールカクテルを注文する参加者たち=2024年5月16日、ドイツ・ハンブルク、中川竜児撮影 午後7時過ぎ、イベントが始まった。DJブースに3人が立ち、それぞれがテクノやポップス、ヒップホップを流す。参加者はヘッドホンを装着。聴きたいDJのチャンネルを選び、音に身をゆだね、体を揺らす。サビにあわせて歌ったり、飛んだり、一気に盛り上がる。トムさん(25)は「酒もドラッグもやめたから3年以上、クラブに行っていなかった。で