先日、『冴えない彼女の育てかた Fine』を見る機会があり、そこで目にしたのは、まんが・アニメ的リアリズムの終焉、いわゆるリアルへの接近だった。ギャルゲーのパロディ的なラブコメとして始まった冴えカノであるが、『Fine』においてはキャラクターが現実の人間に接近している。例えば、ヒロインが食べかけのサンドイッチを一瞬捨てようとし、すぐに思い直して口に含むシーン。また、主人公とヒロインがためらいながらも指を絡ませて恋人繋ぎにするシーン。些細な動作が繊細に描き込まれており、現実にあり得そうな人間の動きである。したがって、これらは自然主義的リアリズムと言うことができる。ギャグシーンでのキャラクターの表情の変化はまんが・アニメ的な雰囲気なのだが、真面目なシーンでは以上に「リアル」な描写が印象を残し、自然主義的リアリズムが作品の中心になっているように見える。 また、ヒロインをゲームよろしく「選択する」