奇跡なのだ。ラグビーの世界一決定戦、ワールドカップ(W杯)が日本で開かれているのは。日本代表やニュージーランド代表、アイルランド代表などの熱戦を取材しながら、つくづくそう思う。 だって、1987年にNZ・オーストラリア開催で始まったラグビーW杯はずっと、ラグビー伝統国ばかりで開かれていた。その第一回大会からすべてのW杯を取材しているノンフィクション作家として、本当に日本で開かれるなんて、これっぽっちも考えていなかった。でも、早稲田ラグビー部の先輩にあたる奥克彦さんは違った。ラグビー部は2年の夏合宿で辞めたけれど、ラグビーへの情熱は変わらなかった。 奥克彦さんは猛勉強し、在学中に超難関の外務省公務員上級試験に合格した。1981年、外務省に入省後、英国オックスフォード大学に留学。ラグビー部に入り、日本人として初めて一軍選手として公式戦に出場した。 「ラグビーワールドカップを日本でやろう」と、奥