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批評 新海誠と「国民の物語」―『すずめの戸締まり』と七〇年代/渡邉大輔|文學界
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1 「国民の物語」としての「閉じていく物語」 三年ぶりとなる新作アニメーション映画『すずめの戸締... 1 「国民の物語」としての「閉じていく物語」 三年ぶりとなる新作アニメーション映画『すずめの戸締まり』(二〇二二年)の公開に先立つこと一年前の二〇二一年一二月一五日、監督の新海誠は、最初の製作発表会見の席で、本作のコンセプトについて以下のように語っている。 「扉を開いていく物語」ではなく、「扉を閉じていく物語」を作りたいということ。[…]僕たちの、少子高齢化が進んでいくようなこの国にとっては、いろんなできごとが始めることより閉じていくことのほうが難しいのではないかというふうに感じることが多くなってきました。ですので、いま作るべきは、いまもしかしてお客さんが見たいのは、いろんな可能性をどんどん開いていくような物語ではなくて、一つひとつの散らかってしまった可能性を、もう一度きちんと見つめて、あるべき手段できちんと閉じていく。そのことによって、次に進むべき新しい場所を、本当の新しい場所を見つける