今日の東京の最高気温、26.7℃。 玄関のドアを開けた瞬間の匂いはあまりにも夏に接近していて、皮膚にまとわりつくあの熱気は、何度夏を経験しても慣れることはありません。 そんな空気にあてられて、ふと、ある五日間のことを思い出しました。それは、自分ひとりで旅行をしたひと夏の記憶であり、自分は同性が好きであるという確信を深めていった戦いの五日間でもありました。 大学二年生の夏、僕は悩んでいました。それは、自分が同性を好きであると気付くか気付かないかという時期の真っ只中で、もっと正確にいうと、自分が同性を好きであるという事実を、事実として認める準備をしていた時期でした。 その頃の僕は、自分のセクシュアリティを認めようとしては傷つき、失敗し、全てが何かの嘘であってくれればいいのにと願いながら眠り、絶望しながら目を覚ましていたように思います。 そんな日々が数ヶ月続いて精神も磨耗し、このまま自分の部屋で