安倍晋三元首相の写真が飾られた祭壇に花を供え、手を合わせる弔問客=山口県下関市東大和町の安倍事務所で2022年7月12日午前10時6分、部坂有香撮影 政府は、安倍晋三元首相の国葬を9月27日に行うことを閣議決定した。国葬は吉田茂元首相以来、55年ぶりになるが、弔意の強制や、安倍元首相の功績の過大評価につながるとの批判が相次いでいる。国葬について研究してきた宮間純一・中央大文学部教授(日本近代史)は「国葬はかつて危険な文化装置だった。歴史的経緯を踏まえた議論が必要」と言う。【山下智恵】 政治利用されてきた国葬 「国葬は、天皇の下に国民を統合する役割を果たし、太平洋戦争中は戦争動員の装置として利用されました。今の日本社会での国葬が、必ずしも同様の役割を果たすとは思いませんが、将来的に時の政権に悪用されないとは限りません」 公文書などを通じて、明治政府による国葬の起源や成立の過程などを研究してき