かつては「プロとアマの差が最も大きい競技の一つが将棋である」と言われていたこともあるが、小山さんの快進撃は、その実力差が縮まったことを示す一つの例だろう。改めてアマプロ戦の歴史を振り返ってみたい。 プロ棋士に3連勝する猛者も──将棋アマプロ戦の歴史 江戸時代は将棋にも家元制度があった。家元の御三家(大橋本家・大橋分家・伊藤家)に属する棋士がプロ、属さない在野の棋士がアマだったという区別はできなくもないだろうが、彼らが名乗る段位はいずれも家元による認定だったため、現在と異なり段位としてアマとプロの区別はなかったといえる。 現在のようにプロとアマの区別が明確になった時期は断定しにくいが、現在の日本将棋連盟に至る組織が創立されたのは1924年9月8日であるため、ここを一つの起点として考えたい。 日本将棋連盟創立以降のアマプロ戦で、まず思い浮かぶのは1944年に行われた花村元司九段のプロ試験だろう