私はこの9月30日まで日本学術会議会員を2期6年務めた。会議の活動に携わってきただけに、今回の菅義偉首相による任命拒否に強い衝撃と憤りを覚えた。(明治大学政治経済学部教授=西川伸一) ▽押し通した法律違反 日本学術会議法をみてみよう。17条は「日本学術会議は(略)優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し(略)内閣総理大臣に推薦するものとする」と規定する。そして7条2項には「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とある。 菅首相は会議が「優れた研究又は業績がある科学者」とみなした6人の研究者の任命を拒否した。彼らはそれに当たらないと判断したということだ。しかし、6人がそれぞれの学問領域で顕著な業績を挙げてきた研究者であることに、だれも異を唱えないだろう。この点だけを取っても、首相の行為は会議法に反している。 また、首相は6人を除外する前の推薦