今回の登山のきっかけは、8月に早月尾根経由で剱岳に登ったときまで遡ることになります。 剱岳の頂上からは後立山連峰や穂高連峰など、360°どの方角を見ても名だたる山々が見渡せる素晴らしいシチュエーションでした。そしてそこで話題に上がったのが、黒部ダムから下流に沿って続く下ノ廊下の存在。 「下ノ廊下(しものろうか)、別名日電歩道」とは、北アルプスにある黒部湖を境にして黒部川の下流にあたるエリアのことで、一般的には黒部ダムから仙人谷ダムまで南北にのびる黒部川沿いのルートを指します。このルートは黒部峡谷の中心部に位置しており、全行程を通して滑落の危険が高いルートとなります。 阿曽原温泉小屋からトロッコ電車で有名な欅平までの道は通称「水平歩道」と呼ばれており、こちらも高度感を楽しめる崖沿いの道を歩くことができます。途中にエスケープルートもないことから、下ノ廊下と水平歩道はセットで歩くのが一般的です。