刑務所から送られてきた心情等伝達結果通知書を手に思いを語る釜谷美佳さん(画像の一部を加工しています)=京都市右京区で2024年7月20日、加古信志撮影 理不尽に息子の命を奪った相手に何を伝えるべきか――。両親は14年間、罪と向き合わない加害者の姿勢に苦しんだ。「息子のこと、私たち家族のことをどう思っているんや」。新設された国の制度を利用し、男性受刑者に思いを伝えた。3週間後に刑務所から届いたのは、1157文字の「伝言」だった。 2024年7月、釜谷美佳さん(58)は京都市右京区の自宅で、机上に立てかけられた小さな遺影に目を落とした。写っているのは長男圭祐さん(当時19歳)。家族思いで心優しい圭祐さんは14年前、暴行事件に巻き込まれ突然この世を去った。 「思い込み」で事件に 事件は10年10月、神戸市内の路上で起きた。元専門学校生だった圭祐さんはこの日の夜、友人や途中で合流してきた女性ら5人