<岩田昌征(いわたまさゆき):千葉大学名誉教授> 2021年6月8日から10日、セルビアの日刊紙『ポリティカ』の主要記事は、旧ユーゴスラヴィア多民族戦争のBiH(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)段階、すなわちボスニア戦争(1992年4月-1995年9月)の最終局面、1995年7月11日からの1週間に突如勃発したスレブレニツァ虐殺事件の最高かつ最終責任者とされたボスニア・セルビア人軍総司令官ラトコ・ムラディチに対するハーグ旧ユーゴ国際刑事法廷残余機構(2017年末に閉鎖された旧ユーゴ国際刑事法廷の後始末担当組織)控訴審の判決である。 第一審(2017年11月)の判決は終身刑。人道に対する罪、根絶、殺害、追放、非人道的移動、対文民犯罪、対住民テロ、対文民攻撃、国連要員人質、戦争法慣習違反の故に有罪。スレブレニツァとサライェヴォへの軍事作戦と国連要員人質に関する共同犯罪企画(共謀)罪。スレブレニツァ