6月、東京エリアと東北エリアが市場分断するという珍しい現象が発生した。普段は同じ価格がつく両エリアの価格と約定量の差が明らかに。ここから大手電力が自主的取組の一環で実施している「グロスビディング」の影響について考える。市場価格に中立と言われるグロスビディングだが、それは本当だろうか。 6月の卸電力取引市場で興味深い現象が見られた。 6月11~15日の5日間、東京・東北間の連系線(相馬双葉幹線)工事に関連して連系線容量が低下した結果、普段はめったに起きない東京エリアと東北エリアの間で夜間時間帯を中心に市場分断が発生した。それぞれのエリアで異なる市場価格がついたのである。 今回はこの珍しい現象を手掛かりに、大手電力(旧一般電気事業者)が市場活性化策として実施している「グロスビディング」が市場に及ぼしている影響について考察したい。 日本卸電力取引所(JEPX)は、市場分断が発生すると、それぞれの