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  • 第1回 自分にしか書けないものにこだわった ―異色の機械学習書誕生の裏側 | gihyo.jp

    2021年8月に発売される『機械学習を解釈する技術』の著者である森下光之助氏と、『施策デザインのための機械学習入門』を共著した齋藤優太氏、安井翔太氏の3人による対談を3回にわたってお届けします。第1回は、書籍執筆のモチベーションのお話から。 それは個人的な興味から始まった 安井:では僕から振ったほうがいいでしょうか。じゃあとりあえず執筆のモチベーションと裏話みたいなところから伺っていきたいのですが。 安井翔太(やすいしょうた)2013年にNorwegian School of Economicsにて経済学修士号を取得しサイバーエージェント入社。入社後は広告代理店にて広告効果検証等を行い、その後2015年にアドテクスタジオへ異動。以降はDMP・DSP・SSPと各種のアドテクプロダクトにおいて、機械学習に関する業務やデータを元にした意思決定のコンサルティングを担当。現在はAILabの経済学チー

      第1回 自分にしか書けないものにこだわった ―異色の機械学習書誕生の裏側 | gihyo.jp
    • 物語を書く人・楽しむ人のバイブル『面白い物語の法則』

      面白い物語には法則がある。 剣と魔法の冒険譚であれ、銀河帝国の逆襲であれ、身分違いの恋物語であれ、面白いとされる物語に共通する法則だ。 そんな魔法みたいなものがあるのか? もし面白さを形式化できるなら、AIに学ばせることだってできるだろう。眉唾しつつ読んだら腑に落ちた。確かに、面白い物語には法則がある。 『面白い物語の法則』は、ハリウッドの第一線の脚本家による、実践的な指南書だ。『美女と野獣』『ライオンキング』の一流のストーリーテラーが使っている手法が惜しげもなく解説されている。 物語やシナリオ、ネームを書く人のみならず、出来上がった映画やドラマ、小説作品を味わう人にとっても役に立つ。なぜなら、「その作品がなぜ面白いのか」を言語化することで、作品をより深く味わい尽くすことができるから。 テーマとログライン 最も私に刺さったのは、テーマとログラインだ。 テーマを決める、なんて当たり前のことに

        物語を書く人・楽しむ人のバイブル『面白い物語の法則』
      • Engineering Manager になってから身に沁みた12のアイデアと言葉 part2 - これはただの日記

        2019/12 にこんな記事を書きました。 kths.hatenablog.com あれから一年たち、日々積み上げた新しいアイデアをみなさんとも共有したいと思います。 システム操作性スコア 私が勤めるスタディストでは、一部のサービスがマイクロサービスとして稼働しています。また、それ以外にも稼働している別プロダクトがあったりと、徐々に組織の管理対象となるサービスの数が増えつつあります。また、今後もその数は増加していくことが予想できます。 2020/12/26に発売されたばかりの書籍『モノリスからマイクロサービスへ』では、マイクロサービスが引き起こす可能性のある痛みの一例として、孤児サービスという言葉が登場します。これは文字通り、所有権や責任を負う人がいなくなってしまったサービスのことで、孤児サービスに対するトラブルシューティングは困難になることが予想されます。単に一部機能の停止で済めばマシで

          Engineering Manager になってから身に沁みた12のアイデアと言葉 part2 - これはただの日記
        • 国力の限界を超えて戦争に突き進む国家では独特な政治的力学が働いている:『帝国の神話』の書評|武内和人|戦争から人と社会を考える

          世界の歴史を調べていると、自らの国力で対処できる限界をはるかに超えて勢力の拡大を図る過剰拡張(overexpansion)によって失敗した国家が決して少なくないことに驚かされます。 一部の国は勢力を拡大する機会を見つけても、それが軍事的に失敗したときのリスクや、国際社会の反応を予想し、開戦を踏みとどまります。しかし、一部の国は果てしない戦争に自ら飛び込み、勝つ見込みがないまま戦い続けることになります。第二次世界大戦における日本の対外政策も、典型的な過剰拡張の事例と解釈することができるでしょう。 アメリカの政治学者ジャック・スナイダーの著作『帝国の神話:国際的野心の国内政治(Myths of Empire: Domestic Politics and International Ambition)』(1991)はこのような一見すると不可解な対外政策が採用される理由を説明する理論を示した研究成

            国力の限界を超えて戦争に突き進む国家では独特な政治的力学が働いている:『帝国の神話』の書評|武内和人|戦争から人と社会を考える
          • 人生で落ち込んだときに読むといい本「一生使える一冊」

            [質問] 身内の不幸やそれに関する揉め事など何かと落ち込む出来事が数年続き、取り敢えず生きてはいるけれど今後も悪いことが続くのではないか、怖いことが起きるのではないかと考えるとどうしようもなく身動きの取れない気持ちになります。こういう気持ちの時に読むのにおすすめの本はありますでしょうか。 私も落ち込んだときによく使います [読書猿の回答] 『いやな気分よ、さようなら コンパクト版』でしょうか。 認知療法のセルフヘルプ本で、最も有名なものです。一生使えます。下記は、私が邦訳第1版を読んで自分で作った索引です。ページ数はコンパクト版と違っていますが、中身の参考にどうぞ。 37,「耐えられない」は恐怖の拡大解釈 49,うつ病者は自分が評価に値するものを持っていないと信じ込む 49,貧困な自己イメージは欠点を拡大する 53,自己否定する時こそ自己認識を 54,自己否定する時に多いのが「全てか無か」

              人生で落ち込んだときに読むといい本「一生使える一冊」
            • 2019年読んで良かった本ベスト10を紹介しています。 - ゴミ本なんてない

              もう2020年も3月になってしまいましたが、2019年の個人的ベスト本を10冊紹介します!その内の半数が実は「世界文学を100ヶ国分読んでみた」の記事で既に紹介済みのもののため、内容が一部被っているのですが、そこはご愛嬌。この特集を組んでみようと思わなければ出会えなかった本に沢山出会えた年でした。 読了した冊数は88冊。4月に転職してバタバタしていたのと、大学時代に読んで好きだった作品の再読などを重点的にしたので、2019年の新規読了数はそこまで多くなったです。 早速その中でも特に好きだった作品を紹介。順位は相変わらず「敢えてつけるなら」なもので、特に深い意味はないです。当たり前に全部好き。 第10位「名もなき人たちのテーブル」マイケル・オンダーチェ 名もなき人たちのテーブル 作者:マイケル・オンダーチェ 発売日: 2013/08/27 メディア: 単行本 大大大好き!な作家の小説。まだま

                2019年読んで良かった本ベスト10を紹介しています。 - ゴミ本なんてない
              • 世界を決定的に変えてしまう技術や出来事が描かれるSF短篇が集まったアンソロジー──『フォワード 未来を視る6つのSF』 - 基本読書

                フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) 作者:ブレイク クラウチ,ベロニカ ロス,N K ジェミシン,エイモア トールズ,ポール トレンブレイ,アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『フォワード 未来を視る6つのSF』は、アンディ・ウィアー、N・K・ジェミシンなど今欧米圏で話題の作家ら6人が短篇を寄せたアンソロジーになる。 編者は自身も本作に短篇を寄せているブレイク・クラウチで、テーマとしては急速な変化と技術の進歩、その中で育つことの意味について。また数々の変化が世界をどのように変えてしまうのか。変えるべきなのか、変化を防ぐべきなのかといった「未来」について──といったあたりで、けっこうざっくりとしている。 とはいえ、上記の3人にベロニカ・ロス、エイモア・トールズ、ポール・トレンブレイを加えたベテラン&人気作家の計6人が、人間以上の存在となったAI、遺伝子改変、量子コン

                  世界を決定的に変えてしまう技術や出来事が描かれるSF短篇が集まったアンソロジー──『フォワード 未来を視る6つのSF』 - 基本読書
                • 書評「機械学習を解釈する技術」

                  森下光之助(@dropout009)著「機械学習を解釈する技術」を献本頂きました。 8月4日から8日までの間に、暇を見つけては開いて読了。せっかくなので全体的な感想をまとめておきたいと思います。読む最中の感想はTwitterのスレッドに綴りました。本稿では蛇足になると判断して省略する部分も多いので、気になる人は覗いてください。 どんな人におすすめか 一言にすれば、機械学習を利用していて、モデルの解釈方法を知りたい、整理したい人向けでしょう。 本書は目次からも察せられる通り、 3章: 特徴量の重要度を知る 4章: 特徴量と予測の関係性を知る 5章: インスタンスの異質性をとらえる 6章: 予測の理由を考える といった具合に、モデルをマクロな視点から解釈し、不足を補う形でミクロな視点を導入していきます。数あるアルゴリズムから4つに絞って紹介することで、解釈の指針を与えてくれます。この点はアルゴ

                    書評「機械学習を解釈する技術」
                  • フィクションの哲学のニューウェイブ: エイベルの『Fiction: A Philosophical Analysis』 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

                    Fiction: A Philosophical Analysis (English Edition) 作者:Abell, Catharine発売日: 2020/06/10メディア: Kindle版 まえおき: フィクションの哲学の現状 最近出版されたキャサリン・エイベルのFiction: A Philosophical Analysisという著作を紹介したいのだが、最初に「フィクションの哲学」と呼ばれる分野の現状について簡単に紹介しておく。 わたしがやっている分析哲学系のフィクションの哲学という分野は、大まかには形而上学・言語哲学系統のものと、美学系統のものに分けられる。 美学系統のフィクションの哲学は九十年代に確立された。もう少し詳しく言うと、九十年代初頭に出た三冊の本、すなわちケンダル・ウォルトンのMimesis as Makel-Believe、グレゴリー・カリーのThe Natu

                      フィクションの哲学のニューウェイブ: エイベルの『Fiction: A Philosophical Analysis』 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
                    • ジョン・ル・カレ×クリストファー・プリーストと評された、EUが崩壊したヨーロッパを舞台とするSFスパイスリラー──『ヨーロッパ・イン・オータム』 - 基本読書

                      ヨーロッパ・イン・オータム (竹書房文庫) 作者:デイヴ・ハッチンソン竹書房Amazonこの『ヨーロッパ・イン・オータム』は本邦初紹介のイギリス作家デイヴ・ハッチンソンによるSFスパイ長篇となる。本作は西安風邪の蔓延によってEUが崩壊し、みながみな好き勝手に小国を設立するようになったカオスなヨーロッパを舞台にしたその先見性のある内容と巧みな筆致も相まって(刊行は2014年)著者の出世作となり、〈分裂ヨーロッパ〉シリーズとしてその後も続篇・スピンオフが続いている作品である。 EUが崩壊し小国が乱立するようになったヨーロッパを舞台にしたスパイ小説、それもジョン・ル・カレ✗クリストファー・プリーストと評される──などと聞けばそれは期待も高まるが、読んでみればたしかにこれはおもしろいしプリースト感もある! 読み始めたばかりの頃は、運が悪く能力も微妙な新米スパイが、それこそル・カレなどを引き合いにだ

                        ジョン・ル・カレ×クリストファー・プリーストと評された、EUが崩壊したヨーロッパを舞台とするSFスパイスリラー──『ヨーロッパ・イン・オータム』 - 基本読書
                      • 読書は人間から逸脱していくプロセスに他ならない。#闇のSF読書会①|Hayakawa Books & Magazines(β)

                        闇の自己啓発会は3月某日、#闇のSF読書会をオンラインで行いました。今回の読書会は主に早川書房から刊行されているSF諸作について語るものですが、各作品の感想に入る前に、まずはメンバーそれぞれのSFを読むきっかけやモチベーションについて意見交換を行いました。ル・グィンやマーク・フィッシャーに触れつつ、「この肉体を捨てたい」「記憶の外部化」「脳内アプリ」などのテーマについて思い思いに話しているので、今回の記事ではその部分を公開します。 ■参加者一覧 役所【暁】 編集者。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』に魂を囚われている。自粛中に読んで印象的だった作品は、小川一水『天冥の標』。 【江永】泉 物体。ホラーゲーム実況動画を視聴していたら朝が来てしまう。自粛中に読んで印象的だった作品は、酉島伝法『るん(笑)』。 【木澤】佐登志 文筆家。生き物と死に物の中間を占める。好きな作家は矢部嵩。 【ひで】

                          読書は人間から逸脱していくプロセスに他ならない。#闇のSF読書会①|Hayakawa Books & Magazines(β)
                        • [読書]スタニスワフ・レムによる『ストーカー』(ストルガツキー兄弟) 論 - ゴールデンレトリバー撫でたい

                          (※諸事情で再公開です) 裏世界ピクニックのアニメやってますね。僕はまだ観てないけど元ネタのストルガツキー兄弟の『ストーカー』は読んだ。 ストーカー (ハヤカワ文庫SF) 作者:アルカジイ ストルガツキイ,ボリス ストルガツキイ 発売日: 2018/01/31 メディア: Kindle版 ストーカーについても特に書きたいこともないけど、そういえばこれはスタニスワフ・レム大先生が短い評論を書いてたのを思い出した。レムについては一度書いときたかったのでちょうどいいかな。 これに収録されています。 高い城・文学エッセイ (スタニスワフ・レム コレクション) 作者:スタニスワフ レム 発売日: 2004/12/01 メディア: 単行本 1. 僕がレムを初めて知ったのは哲学関係の本で、フッサールの現象学における意識の考え方について書かれていた部分で『ソラリス』が引かれていたことがきっかけだった。実際

                            [読書]スタニスワフ・レムによる『ストーカー』(ストルガツキー兄弟) 論 - ゴールデンレトリバー撫でたい
                          • Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

                            プリファードネットワークス、通称PFN。 2019年、日本ベンチャー大賞受賞。日本屈指のユニコーン企業。2014年の創業(2006年にPFI創業、2014年にPFN創業)以来、錚々たるリーディングカンパニーの数々と共同研究を重ね、自動運転、ロボット、がん診断にはじまるバイオヘルスケア等々の課題解決に挑む、天才技術者集団――。 新聞や雑誌で語られるPFN像といえば、こんなところだろう。 しかし、実際のところPFNは何をしているのか。若き創業者たち(本書の著者、西川徹社長と岡野原大輔副社長)は何を考え、どんな未来を描いているのか。 本書では2人の創業者が、ベールに包まれていたPFNの仕事、そこで働く人々の描く未来、深層学習の可能性をつまびらかにする。 ・天才集団とすら呼ばれているのに、なぜ「Learn or Die 死ぬ気で学べ」なのか 彼らは答える。PFNが挑戦しているのは変化の大きな分野で

                              Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦
                            • 著書『21世紀の道徳』が出版されます - 道徳的動物日記

                              Amazonの予約ページはこちら。 初の著書が出版されます。帯文は東浩紀さんからいただきました(現代哲学を「政治的正しさ」の呪縛から解放する快著、とのことです)。 このブログにいままで書いてきたことをブラッシュアップして、本格的な論考にして、本として読みやすくおもしろいものに仕上げた内容になっています。 【目次】 ■第1部 現代における学問的知見のあり方 第1章 リベラルだからこそ「進化論」から目を逸らしてはいけない 第2章 人文学は何の役に立つのか? 第3章 なぜ動物を傷つけることは「差別」であるのか? ■第2部 功利主義 第4章 「権利」という言葉は使わないほうがいいかもしれない 第5章 「トロッコ問題」について考えなければいけない理由 第6章 マザー・テレサの「名言」と効果的な利他主義 ■第3部 ジェンダー論 第7章 フェミニズムは「男性問題」を語れるか? 第8章 「ケア」や「共感」

                                著書『21世紀の道徳』が出版されます - 道徳的動物日記
                              • 神林長平の最前線の境地が堪能できる、《戦闘妖精・雪風》13年ぶりの最新巻──『アグレッサーズ』 - 基本読書

                                アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風 作者:神林 長平早川書房Amazonこの『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』は、神林長平を代表する《戦闘妖精・雪風》シリーズの第4作めにして実に13年ぶりの新刊となる。シリーズの既作とその刊行時期を振り返ると、1984年に第一作『戦闘妖精・雪風』が刊行(02年に改訂版『戦闘妖精・雪風〈改〉』)、1999年に『グッドラック』、09年に『アンブロークンアロー』、今年に本作が──と、実に10数年ごとに着実に巻数を重ねてきたことになる。 近年の神林長平作品は「老い」を作品の中のテーマとして入れるようになってくるなど人間、10年も経てば考え方も感性も変化していく。雪風は常に神林長平のその時々のテーマ、思索が盛り込まれていて、十数年ごとのの集大成を体験することができシリーズだ。巻数表記はないが、作品は明確に前巻から流れが繋がっているので、まだ未読の人で興味がある人はぜひ『

                                  神林長平の最前線の境地が堪能できる、《戦闘妖精・雪風》13年ぶりの最新巻──『アグレッサーズ』 - 基本読書
                                • 『薔薇戦争 イングランド絶対王政を生んだ骨肉の内乱』陶山 昇平 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

                                  日本中世の終わりの始まりとなった「応仁の乱」(1467~77)。日本を二分した戦乱でありながら諸勢力が入り乱れ複雑な様相を呈したことで良く知られ、最近では、呉座勇一氏による解説書『応仁の乱』が大ベストセラーとなったことで非常に注目を集めた。この「応仁の乱」と同時期、イングランドでも、国を二分しながら諸勢力が複雑に入り乱れて争う、「応仁の乱」と実によく似た戦乱が巻き起こっている。「薔薇戦争」(1455~87)である。 呉座勇一著『応仁の乱』は「地味すぎる大乱」という惹句で話題となったが、これは「薔薇戦争」にも言えそうだ。本書はその中世イングランドの地味すぎる大乱「薔薇戦争」について、近年の研究動向を大いに反映させながら概説した一冊である。 ところで、上で薔薇戦争の始期と終期を1455年から1487年までとしたが、実は諸説ある。終期は、かつてはヘンリ7世がリチャード3世を破ったボズワースの戦い

                                    『薔薇戦争 イングランド絶対王政を生んだ骨肉の内乱』陶山 昇平 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
                                  • ジョン・ガッテニョ「SF小説」(文庫クセジュ) SFは方法とテーマの文学。人間や社会にペシミスティック出会っても科学への信頼は揺るがない。 - odd_hatchの読書ノート

                                    これを読むと、ミステリ(探偵小説)は形式の文学だなあと思う。形式は犯罪→探偵→捜査(解決)で構成される。そこにはしばしばテーマはない。形式を踏まえていれば、何の内容もなくてかまわない。量産されるミステリ(探偵小説)はそういうものだ。また作品はしばしば超歴史的。どこでだれがどのような状態で書いたかというのは、形式を検討するときに問題にされない。なので、19世紀の短編は21世紀の短編と形式において比較可能になる。 一方、サイエンス・フィクション(SF)は方法とテーマの文学だ。方法は科学的思考(ここでは知識と推論で代表される。別のなにかでいえそうだが、自分には見つからない)。その方法でいくつかのテーマを扱う。無理やりに統合すると予測(仮説とか外挿とかでもいいような気がするがぴったりすることばが見つからない)。このふたつがとりあえずそろっていれば、形式なぞなくてもSFは可能になる。とはいえ、19世

                                      ジョン・ガッテニョ「SF小説」(文庫クセジュ) SFは方法とテーマの文学。人間や社会にペシミスティック出会っても科学への信頼は揺るがない。 - odd_hatchの読書ノート
                                    • 「史上最高の本リスト」をいろんな切り口で知ることができるサイト - YAMDAS現更新履歴

                                      Boing Boing 経由で James Wallace Harris の「遂に『戦争と平和』を読み終えた――が、それをお勧めできるか?」を読んでいて、The Greatest Books というサイトを知った。 thegreatestbooks.org このサイトは、本文執筆時点で129ものブックリストを集計したサイトで、要は「史上最高な本」リストのサイトということですね。そのリストは例えば、米アマゾン選定「一生のうちに読むべき100冊」リストや英アマゾン編集者選定「一生のうちに読むべき100冊」リストや Guardian が選ぶ21世紀最高の本リストを含むわけだが、その129ものリストをすべて平等に扱っているわけではないようだ。ともかくこのサイトにおける集計によると、「史上最高の本(フィクション)」上位20作は以下のようになる。 マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(asin:

                                        「史上最高の本リスト」をいろんな切り口で知ることができるサイト - YAMDAS現更新履歴
                                      • 常に既にあるデモクラシー|n-1

                                        1.システム・共同性・連帯『後期資本主義における正統化の諸問題』においてユルゲン・ハーバーマスは、国家(政治システム)と市場(経済システム)の分離が建前である自由主義的資本主義から、市場の失敗を回避すべく国家が積極的に市場に関わることが期待される後期資本主義への変遷を主張する。国家と市場は一体となって複雑なシステムを形成し、それに大きな影響力を持つ権力者や資本家、あるいはその部下であるテクノクラートがシステムを運用する一方、市民は政治から疎外され、脱政治化されていく。 その後、福祉国家体制が批判され、新自由主義的な改革が各国で進んだが、デイヴィッド・グレーバーが『官僚制のユートピア』で指摘するように、このシステムの複雑性は「縮減」されるどころか、ますます増大している。 このようなシステムの肥大化に対し、市民の政治参加を取り戻そうとする(民主化する)理論の形成が試みられた。これらの理論は、い

                                          常に既にあるデモクラシー|n-1
                                        • 祝・ラファティ・ルネサンス! ラファティ・ラブ・エッセイ再録①――伴名練「幻の短篇集」|Hayakawa Books & Magazines(β)

                                          待望のR・A・ラファティベスト短篇集《ラファティ・ベスト・コレクション》第一巻の『町かどの穴』が刊行されました。ラファティを愛するラファティアンなあなたも、ラファティのことよく知らないけどなんだかおもしろそう! なあなたも、どなたでも手に取りやすい短篇集になっております。 ここではSFマガジン2021年12月号に掲載されました、《ラファティ・ベスト・コレクション》刊行によせてお書きいただいたエッセイを再録します。第一弾は『なめらかな世界と、その敵』や《日本SFの臨界点》でおなじみ、伴名練さんによるエッセイです。 幻の短篇集 伴名練《今、この腕の中で、静かに寝息を立てているのが、美亜羽なのか、それとも美亜羽なのか、自分には分からない。》──伴名練「美亜羽へ贈る拳銃」 《その空虚は、クレムのもののほうがクレムのものよりずっと大きかった。》──R・A・ラファティ「クロコダイルとアリゲーターよ、ク

                                            祝・ラファティ・ルネサンス! ラファティ・ラブ・エッセイ再録①――伴名練「幻の短篇集」|Hayakawa Books & Magazines(β)
                                          • 新書の役割――「ナチスは良いこともした」と主張したがる人たち(田野 大輔)

                                            入門書の役割 全体的に見れば、本書の内容はおおむね「教科書的」で奇をてらったところがなく、「斬新」な印象を与えるものではないかもしれない。 だが最新の研究成果をふまえつつ、誰もが手引きとすることのできるスタンダードな本を書くというのは、熟達した専門家にしかできない仕事である。 ナチズムのような社会的関心の高いテーマの入門書には、歴史的事実として確定していることは何か、学界で定説とされている解釈はどういうものかを伝えることがもとめられる。そうした手引きがなければ、インターネット上で怪しげな情報に接したときに、真偽を確かめることもできない。 とくに初学者が手に取ることの多い新書で信頼できる情報を提示することは、間違った俗説の流布を防ぐ上でも重要である。「入口」として信頼できる本はどれか、どの本を読めば正しい知識が得られるのかを示すことは、専門知識をもつ研究者の責務と言える。 筆者に寄せられた膨

                                              新書の役割――「ナチスは良いこともした」と主張したがる人たち(田野 大輔)
                                            • 【スタッフ厳選】絶対に読みたいおすすめファンタジー小説50選!

                                              ファンタジー小説ってどんなもの? みなさん、ファンタジー小説と聞けばどんな作品を思い浮かべますか?『ハリー・ポッター』を代表するような剣と魔法を使ったファンタジー、またはドラゴンなど架空の生き物が出てくるような小説を連想する人が多いのではないでしょうか。子供の頃は読んでいたけれど、大人になるにつれて読まなくなってしまった…という声も多く聞かれます。 でも実は、ファンタジー小説ってとても奥が深いんです。大人でも楽しめるようなちょっぴりダークなファンタジーだったり、必ずしもハッピーエンドで終わるわけではないものも数多く存在します。また近年では和製ファンタジーも大人の読者を中心に人気を集めており、ファンタジー小説はまさに群雄割拠の時代。 「一体何から読めば良いのかわからない!」という人のために、古本店『もったいない本舗』のスタッフsakuraが厳選した、国内外のおすすめファンタジー小説50作品を

                                              • 海外「日本やギリシャをモチーフにしたファンタジー小説のお勧めを教えてほしい!」日本がモデルの海外ファンタジー小説に対する海外の反応 : すらるど - 海外の反応

                                                2020年06月01日20:25 海外「日本やギリシャをモチーフにしたファンタジー小説のお勧めを教えてほしい!」日本がモデルの海外ファンタジー小説に対する海外の反応 カテゴリ漫画・本 sliceofworld Comment(135) image credit:The Sword of Kaigen/M.L. Wang 日本のファンタジー小説は西洋をモデルにした世界のものが多くありますが、西洋にはその反対に日本をモデルにした世界が舞台のファンタジー小説があります。日本をモデルにしたファンタジー小説のお勧めはないかと海外の掲示板で語り合っていました。 引用元:reddit.com スポンサードリンク ●投稿主日本/ギリシャにインスパイアされたファンタジー。もし知ってる人がいたら教えてほしい。スコット・リンチの『The Lies of Locke Lamora』を読み終わったとこで、この本はイ

                                                  海外「日本やギリシャをモチーフにしたファンタジー小説のお勧めを教えてほしい!」日本がモデルの海外ファンタジー小説に対する海外の反応 : すらるど - 海外の反応
                                                • アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』

                                                  「知らないけど、間違いなく面白い本」を読むには、どうすればいい? 世間で評判のベストセラーなら、少しは期待してもよいだろうが、「私が」面白いかどうかは別だ。プロ書評家が「これを読め」なんて誉めても、”Not For  Me” (私には向いてなかった)なんてザラである。 そんなとき、どうするか? 面白い本を、「これ面白かった!」と叫べばいい。 すると、「それが良いならこれなんてどう?」なんてレスポンスがもらえるときがある。 ブログ記事に残されたメッセージだったり、twitter のリプライだったり、はてなブックマークでのコメントだったりする。そんな返事をくれる人は、鉦や太鼓で探すべきだし、オススメは果敢に手を出すべき。 なかでも、はてなブックマークのコメントは有難く、知らないけれど、面白い本に出会うきっかけを何度も貰った。どんなに感謝しても感謝しきれないくらいである。 今回は、d-ff さん

                                                    アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』
                                                  • 国家の解体 - 東京大学出版会

                                                    著者 塩川 伸明 著 ジャンル 人文科学 > 歴史 社会科学 > 政治 発売日 2021/03/04 ISBN 978-4-13-036282-5 判型・ページ数 A5 ・ 2394ページ 定価 41,800円(本体38,000円+税) 在庫 在庫あり 1991年12月、ソ連の消滅。冷戦の中心であった特異な大国が、ペレストロイカと呼ばれる改革を経て、国家解体に行き着くこの重大事件を歴史的に解明する。15の共和国の独立にいたる紆余曲折の局面を詳細に分析し、複雑な相互関係がもたらした終焉の総合的な分析を試みる。現代史研究の第一人者による集大成。 【東京大学出版会創立70周年記念出版】 ※本書の一部をこちらから試し読みいただけます(クリックするとPDFが開きます) ※本書に関連する「ブックガイド」を公開しています(クリックするとPDFが開きます)。 【本書の特色】 ◆政権中枢部だけでなく各共和国

                                                      国家の解体 - 東京大学出版会
                                                    • 差異こそはすべて(All you need is difference)|kikumaco

                                                      SFマガジン2009年1月号 『ニューロマンサー』刊行25周年記念 ウィリアム・ギブスン特集収録。 記念すべき時の記念すべき特集に声を掛けていただいて、相当に力を入れて書いた評論。たぶん僕の最高傑作だし、僕にしか書けない「作品」だと思います。ぜひお読みください **** 『ディファレンス・エンジン』を褒め称えよ。この小文はそのために、そしてそのためだけに書かれる。差異(difference)こそはすべてを生み出す源である。 これまで、ことあるごとに『ディファレンス・エンジン』を褒めたたえてきた僕は、手にはいらないと言われては悔しい思いをしてきたものなのだが、ついにハヤカワ文庫版が出て作品の入手が容易になった今、改めて強く言っておこう。『ディファレンス・エンジン』を読まずして、現代SFを語るなかれ。 なお、この文章には『ディファレンス・エンジン』についての若干のネタばらしが含まれる。物語を虚

                                                        差異こそはすべて(All you need is difference)|kikumaco
                                                      • サミュエル・バトラー『エレホン』を読む 反ダイバーシティと反シンギュラリティの世界 - HONZ

                                                        エレホン国はどこにある? このところ、昔の本をいくつか読みました。300年前に書かれたモンテスキューの『ペルシア人の手紙』。100年前に書かれたバージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』。そしてこのたび読んだのが、150年前に書かれたサミュエル・バトラーの『エレホン』です。共通点は、いずれも初訳ではなく新訳だということ。現代の読者のために、われわれに伝わりやすい言葉でよみがえった作品、と言えるかと思います。 この3冊のうち、とりわけバトラーの『エレホン』は、SFのはしりとも言われるらしいのですが、奇妙な力で現代人の心に波を立て、脳みそに負荷をかける、特異な作品だと思いました。そこでこの作品の不思議さについて、私なりに少し書いてみたいと思います。 そもそも「エレホン」というタイトルですが、綴りは Erewhon 。英語のnowhere を、(ほぼ)逆から綴った言葉です。そう、それは「どこでもない

                                                          サミュエル・バトラー『エレホン』を読む 反ダイバーシティと反シンギュラリティの世界 - HONZ
                                                        • 知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン

                                                          変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするふたりの大きな愛の物語。 新刊【長編小説】佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー 書評家・作家・専門家が新刊をご紹介! 本選びにお役立てください。 佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』 評者:川本 直 そのデビューから佐藤亜紀氏は完成された小説家だった。『バルタザールの遍歴』はオーストリア゠ハンガリー二重帝国の公爵家に生まれた一つの体に二つの魂を宿すメルヒオールとバルタザールという貴族の主人公が、ナチス・ドイツの台頭によって荒廃していく黄昏のヨーロッパを流浪しながら第二次世界大戦勃発とともにブエノスアイレスに向かうまでを超絶技巧で描き、「国際舞台にも通用する完璧な小説」と称された。 その登場から圧倒的な完成度を誇る作品を世に問う小説家は稀有だ。そして、『キャッチ=22』で世に出たジョーゼフ・ヘラーのように最初から代表作を書いてしまった作家はデビュー作を超える

                                                            知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン
                                                          • 毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである

                                                            「読書の初心者にお勧めの本」を聞かれることがある。 読書の習慣がない小中学生や、あまり本を読んでこなかった人に向けて、どんな本が良いだろうか、という相談だ。 このとき、『はてしない物語』や『ハリーポッター』といった本を勧めてくる人が、かなりの確率でいる。 おそらく、自分が読んで夢中になったからかもしれぬ。あるいは、自分が初めて一冊を読み通した本だったり、時を忘れて物語の喜びに浸った本だからかもしれぬ。 しかし、考えてみてほしい。本を読みなれていない人に、ボリュームのある物語を渡して、読み通せるだろうか? わりと大変なような気がする。読書を日常にしている人は、本に慣れていない人のハードルを過小評価しがちだ。 だからわたしは、さらりと読める短編集や、じわりと刺さる詩集を勧めている。ぜんぶ読みぬく必要がなく、どこから始めてもいいし、途中で投げ出してもいい。本の重みやページをめくる感覚を愉しむのも

                                                              毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである
                                                            • 一気読みは確実の超面白小説 『ライトニング』 (ディーン・R・クーンツ 著/野村芳夫 訳) | 北上 次郎 | 書評

                                                              2014.09.03書評 一気読みは確実の超面白小説 文:北上 次郎 (文芸評論家) 『ライトニング』 (ディーン・R・クーンツ 著/野村芳夫 訳) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #エンタメ・ミステリ あの熱狂を思い出す。クーンツがいちばん輝いていた時代を思い出す。いまからちょうど二十五年前、一九八九年のことだ。この年、クーンツ作品は、『戦慄のシャドウファイア』『ウィスパーズ』『邪教集団トワイライトの追撃』『ライトニング』『12月の扉』『夜の終りに』『雷鳴の館』『殺人プログラミング』と、各社から合計八作が翻訳された。このうち面白かったのは五作。八分の五ならすごい。クーンツ元年といっていい。それ以前にもクーンツは、『マンハッタン魔の北壁』とか『逃切』とか幅の広い作品を書く器用な作家として紹介されていた。この年突然紹介されたわけではない。だが、一九八九年のクーンツは、まったく新しいクーン

                                                                一気読みは確実の超面白小説 『ライトニング』 (ディーン・R・クーンツ 著/野村芳夫 訳) | 北上 次郎 | 書評
                                                              • シンプルな野蛮|『ブラッドランド』刊行記念|藤原 辰史|webちくま

                                                                世界30カ国で刊行、アーレント賞はじめ12の賞に輝き、米・独・仏など各国でベストセラーを記録した話題の歴史ノンフィクション、ついに邦訳刊行! 人類史上最大のジェノサイドの全貌を初めて明らかにし、歴史の闇に葬られた不都合な真実を暴き出した問題作を、いまどう読むべきか? 藤原辰史氏、武田砂鉄氏、田中克彦氏による緊急書評を3週連続で掲載します。 現在の国名でいえば、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、そして、ロシア連邦の西側国境沿いの地帯。これが、ティモシー・スナイダーが描いた「ブラッドランド」、つまり、ヒトラーとスターリンの時代、ナチスとソ連によって幾重にも蹂躙され、1,400万人を超える生命が失われた「流血地帯」である。 『ブラッドランド』に記述される諸事実について、おそらく、それぞれの専門家は言いたいことが少なからずあるだろう。私もそうだ。しかし、即座に

                                                                  シンプルな野蛮|『ブラッドランド』刊行記念|藤原 辰史|webちくま
                                                                • 施策デザインのための機械学習入門 を読んだ

                                                                  TL;DR 機械学習に基づく施策をサービス改善につなげるためのフレームワークとその実践を提供してくれる本 統一的なフレームワークと一貫した記述で、よく書かれている本だなと感心した 個人的には 4.2 節の Implicit Feedbak を用いたバイアスを考慮したランキングシステムの構築のところは勉強になった タイトルの通り 施策デザインのための機械学習入門 という本を読んだ。 よく書けていて勉強になったのでブログにも残しておく。 本の正式なタイトルは「施策デザインのための機械学習入門 データ分析技術のビジネス活用における正しい考え方」というもの。 本のタイトルからは具体的ににどういう内容が書いてるかは想像しにくいが、内容は機械学習に基づく施策を実際に導入する際に重要となる観点を一連のフレームワークとして提供し、そのフレームワークに基づいた具体的な実践を解説するというものになっている。

                                                                    施策デザインのための機械学習入門 を読んだ

                                                                  新着記事