――教育システムの課題をどう考えますか。 私が学習指導要領の前文を読む限り、あまり違和感はない。でも、教育現場がなぜかそうなっていないということに大きな問題があって、「こうした人を育てたい」という方針と現実とに激しいギャップがあるのだと思う。 「安宅さん、軍隊チックな教育は認めないというけれど、教育者って何十万人いると思っているんですか、ガイドラインなしで回るわけないじゃないですか」みたいな事を教育関係者から言われたこともある。私は素朴にこう思う。「いや、基本的な倫理だけを大切にして、一人ひとりを解き放ってはダメなんでしょうか」。 学校は、家庭だけでは充たせない生の社会体験を積む貴重な場。そこで個人が山のように体験を積んで意味を考えるということに注力させるべきだ。自分の肌感覚で深く理解し、物事への「知覚」を育てる教育に力を入れるべきだ。 バラバラに交流する中でいろんな反応が起きるというのが