室町時代の1498(明応7)年に九州で発生したとされる「日向灘地震」は、実際には存在しなかった可能性が高いとする調査結果を、東京大地震研究所の原田智也特任助教らがまとめた。理科年表などにも掲載されている地震だが、根拠となった軍記は「記述の信頼性が非常に低い」という。 マグニチュード(M)7~7・5の日向灘地震があったという説は、江戸時代の読み物「九州軍記」に描かれた地震被害に基づいて1987年に提唱された。九州で山崩れ、地面が裂けるなどの現象が起き、民家はすべて壊れ死者多数とされた。 原田さんらは今回、九州軍記の信頼性について、改めて調べ直した。軍記は1601年に書かれ、別の人が修正を加えて1607年に完成。地震後100年以上経ってから、できていた。被害地域の名や人的な被害数などの具体的な記述がないうえ、同じ時刻に地震が起きたという記録は、ほかの史料には見当たらないことが分かった。