電気自動車(EV)市場を「リーフ」で切り開きながらも、失速してしまった日産。ようやく売れるEVをものにして米テスラや中国・比亜迪(BYD)を追い始めた。生産現場を刷新し、次世代電池の開発を急ぐ。先駆者の意地を見せる時だ。 栃木県南部にある日産の栃木工場。東京ドーム約60個分の広大な敷地に、部品の鋳造から車両の組み立てまで一貫生産の設備を備える。今、そこに活気をもたらしているのがEVだ。 真新しい生産ラインに次々と流れてくるのは、スタイリッシュな多目的スポーツ車(SUV)タイプのEV「アリア」。多くは左ハンドル車で、米国や欧州に輸出する。2021年6月の受注開始から今年4月末までに、欧米を中心に累計で2万台が売れた。 日産がEVの旗艦車種と位置付けるアリア。世界的な半導体不足で生産遅れが続いていたが、「ほぼ毎月、生産台数を増やしている」(栃木工場の菊池英司工場長)。23年中には「最大能力(2