1945年9月2日、米戦艦ミズーリ号の甲板上で降伏文書に署名する重光葵・日本政府全権、右は随員の加瀬俊一・外相秘書官。見守るのはサザーランド米陸軍中将(米陸軍撮影) 8月ジャーナリズムと「歴史のメディア化」 戦後80年は、あの戦争を実体験した世代自身が何かを語り残すことができる最後の周年ジャーナリズムである。逆に言えば、十年後の戦後90年、2035年における百歳の語り部たちはすべて元「少国民」となる。原爆などの戦災体験はともかく、戦闘経験をもつ語り部はいない時代となる。戦争報道が戦災に偏することは、これまでの8月ジャーナリズムでも指摘されてきた。8月ジャーナリズムとは、8月6日(ヒロシマ原爆忌)から8月15日(終戦記念日)の間に戦争報道を集中させる日本特有のメディア現象である。今後はますます戦災、つまり被害の語りがその中心になっていくはずだ。 ◇重視されるのは内容の真偽よりも宣伝効果 歴史