菊地成孔の『スリー・ビルボード』評:脱ハリウッドとしての劇作。という系譜の最新作 「関係国の人間が描く合衆国」というスタイルは定着するか? 「菊地成孔の欧米休憩タイム~アルファヴェットを使わない映画批評~」に次ぐ菊地成孔の映画批評連載「菊地成孔の映画関税撤廃」は、タイトルにある通りこれまでと一転、あらゆる言語を使ったあらゆる国家の、ハリウッド級からギリ自主映画まで、それが映画であればシネコンから百人未満の上映会まで、百鬼夜行の獣道を徒手空拳、「結局、普通の映画評フォームなんじゃないの?」という当然の声も耳に指を突っ込んで突き進む驚異の新連載! 「合衆国の関係国」なんて言ったら、世界中の全部の国じゃね? とネットの口調で言われそうだ。ここでは、ここ数年の映画界の流れとして、第一関係国としての英国、第二関係国としての中南米諸国を仮設する。「英国人が描くアメリカ南部」という意味に於いて、本作は、