さる12月1日の朝日新聞福島版の「記者有論」欄に,岡崎市立中央図書館事件の報道で一躍名を馳せた神田大介記者が「図書館とIT 向き合わねば存亡の危機に」という見出しのもと執筆しています(それにしても,毎日新聞は「記者の目」欄をwebで公開しているのに,朝日は何故「記者有論」をwebで公開しないのか。せっかくの有意義な論考が勿体無いじゃないですか)。これは図書館業界人必読です。 この記事に書かれていることには,ほぼ同意しますが(しかし記事に出てくる「汗をかきます」という話,身につまされます。予算も人手もない図書館にしてみれば「渡りに船」だったんでしょうねえ(sigh)。),外部から指摘されるほどに危機的な現状に至った背景について,図書館の来館者として,また図書館に出仕している者として約30年この業界とつきあってきた人間はいささか説明する必要があると思うので,ひとくさり書き綴ってみようと思います
2010年という年が,日本の図書館業界において,長く記憶に留められる1年になったことは間違いないでしょう。それは日本図書館協会による「認定司書制度」の正式な発足,岡崎市立中央図書館(あるいは三菱電機インフォメーションシステムズ〈MDIS〉)事件(参考。杉谷智宏さんによる労作です),そして高知県立図書館と高知市立図書館の「合築」問題(参考1,参考2)によってである,と僕は見ます。この3つの「事件」は,1970年代より今日にいたるまで日本の国家レベルにおける図書館政策の不在,そして図書館業界(そのナショナルセンターであるところの日本図書館協会と,その有力な構成要素である公共図書館系団体である日本図書館研究会,図書館問題研究会を中心とする)が推し進めてきた,『市民の図書館』(初版1970年,増補版1976年)というひとつの不磨の大典政策文書に基づく,公共図書館運動の最終的な帰結と破綻を,業界に携
そういえば「選書論」の話を書きかけて放擲していたのでした(^^;). 細かい説明は省略しますが,これまで主流だった「要求論」が貸出至上主義の牙城である日本図書館研究会読書調査研究グループにより極限まで推し進められた結果,もたらされたものが片やTRCによる「新刊急行ベル」であり,此方図書館利用者による「選書ツアー」です.面白いことに貸出至上主義を奉じる面々が,ほとんど皆と言っていいくらい,両者を蛇蝎の如く嫌っているわけで(選書ツアーについては,例えばこちら),こーゆうところに貸出至上主義のお役人的なパターナリズムを見る思いがするのですが,それはさておき(このあたり,興味がある方は『図書館は本をどう選ぶか』[安井一徳著,勁草書房]を読んでくださいませ.僕が下手なまとめを書くより面白いはず). 遠からず,「選書論」という枠組みはその有効性を失ってしまうだろう,と僕は考えてまして.それは上に挙げた
先日,教え子が僕を訪ねて来ましたですよ.彼女はダメ講師(僕のこと)の教え子とは思えない優秀なひと.昨今の斯様な情勢下ですから,とある指定管理者だか委託だかの会社が入っている公共図書館にて,その業者の契約社員という立場で勤務しています.僕には時々「専門家としての意見」をお尋ねになります.大概の場合,webで語り尽くされてもなお,一定の同意が得られないような話題に関する質問なので,僕の回答も両論併記の中途半端なものになりがちなのですが,まあそれはさておき. 彼女,何はともあれ「現在」図書館に勤務していることで何か得るところがあったと見えて,学生時代よりも生き生きしているし,実によくしゃべる(^^;).で,その中に現在新築中の某公共図書館の話が出て来てね.詳細は略しますが,その話を聞いていてちと思うところがありましたよ. もう彼女らの世代には,図書館の経営方式が直営も委託も指定管理者も関係ないん
上手いタイトルが思いつかなかったので,取り敢えず仮題を付けておきます. この仕事をする上で何を考えているか,一番大きな視点は「図書館の持続可能性」に尽きると思います.公共であれ,大学であれ,「図書館」という概念なり組織なり容器なりが,今後も現在の形で存続することが可能なのか,あるいは別の概念なり組織なり容器なりにドラスティックに変わるのか,徐々に移行していくのかはわからないまでも,現行の「図書館」が変わってしまう可能性の方が高いのか. 僕個人は,以前知人に「急進的保守派」だの「新し物好きの割には考え方が古い」だの「天邪鬼」だの言われたような性向ですから(^^;),「図書館」という概念の根っ子の部分,と僕が考えている「共同体(Community)の記憶を納め,何時でも引き出せるようにしておく記憶の共同体(Utility)」は,恐らく今後も変化することはないだろう,と踏んでます.ただし,その使
6月に入って,相次いで掲載された【光る本棚・コンシェルジュ…図書館を変える民間委託】【万引き対策に電子タグ構想】という2つの記事で,公共図書館業界(特に指定管理者・委託反対の直営護持派)から総スカンを食っているらしい(^^;)朝日新聞ですが,正直なところ,朝日新聞の公共図書館への理解度は10年以上前からこの程度じゃないかと思うところがあります.その昔,1997年6月1日(これも6月か!)に掲載された連載「列島再見 分権の足音」という記事のことを,みんなすっかり忘れているんじゃないでしょうか.以下に当該記事の公共図書館に関する部分を引いてみましょう. 地方を縛る「必要規制」 宇都宮市近郊にある小さな町の生涯学習係長(四四)が、東京まで二カ月分のJRの定期券を購入したのは、昨年七月中旬だった。朝七時前に自宅を出て、戻るのは早くても夜七時半。そんな生活を週六日続けた。文部省が委嘱している東京の大
このエントリーでは,メキシコとUSAで発生した「豚インフルエンザ」に関する情報サイトを集めています. WHO | Avian influenza http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/ ブタインフルエンザに関するよくある質問 http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/09who04.html CDC - Influenza (Flu) | Swine Influenza (Flu) http://www.cdc.gov/swineflu/ 首相官邸:海外における豚インフルエンザの発生に関する政府の対応状況 http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/index.html 当面の政府対処方針(4月27日掲載)
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