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ブックマーク / reki.hatenablog.com (27)

  • 2023年読んで良かった「ベストブック」10冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    今年読んだのトップ10を選びます 2023年度ももうすぐ終わりですということで、毎年やっていますが、今年度に私が読んだの中で面白かった10冊というのを選んでみます。 今年読んだなので、2023年以前に発売されたも含まれています。あらかじめご了承くださいませ。 また面白かった私のYouTubeチャンネルで紹介している書籍も多く、よろしければそちらも合わせてご覧いただけるとうれしいです。 1. 『越境の中国史』 菊池秀明 講談社選書メチエ リンク こちらは2022年12月初版のです。 黄河流域、長江下流を中心に語られがちな中国歴史ですが、特に近代以降、例えば太平天国の乱やアヘン戦争のように、華南の動向から歴史が動くことがありました。書は特に近現代の華南の歴史から現代中国を読み解くです。 歴史的に北部中国政治・軍事の中心で、南部中国は経済・文化の中心でした。一方で特に福建省や広

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  • 2020年に読んでおもしろかった本10冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    歴史に残る2020年」に読んだものたち 2020年もそろそろお終いです。 今年は新型コロナの影響で 在宅時間が増えて、読書時間が増えた人も多かったのではないでしょうか。そんな私は図書館にしばらく行けなくて、ネット書店でのお取り寄せ頻度が去年比で2倍以上になりました。 図書館にあるやや古いではなく、比較的新しく出たを読む機会が増えたわけです。せっかくですので、2020年に読んだで面白かったものを10冊紹介してみます。 1. 『タイのかたち』 赤木攻 めこん  2019/10/25 ¥2,750 このは今年の1月に書評を書きました。 タイトルの通りタイ王国の歴史に関するなのですが、一般的な通史ではありません。 いかにタイという国が多民族な国家で、異なる地域の集合体であるかが強調され、それゆえ近代以降に歴史文化を「創り上げる」必要があったかが説明されています。 普通に通史を読むだけ

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  • 「反お笑い」の哲学史(後編) - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    近代哲学の中の「反お笑い」 古代から近代までの哲学の中における「反お笑い論」をまとめています。 前編では古代の反お笑いの創始者プラトンからプロテスタントの反お笑い論までまとめています。まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ。 後編は近代哲学編です。 5. ホッブズ「笑いは突然の得意」 近代社会哲学の基礎を築いたトーマス・ホッブズも笑いを否定した人物です。 ホッブズといえば、国家のあり方が論じられた1651年の著作「リヴァイアサン」が有名ですが、このの中で笑いが否定的に論じられています。 ホッブズにとって国家とは国民を素材とする巨大な人造人間であるため、国家の構造を理解するためにはまず人間そのものを理解する必要があると考えました。 リヴァイアサンではまずは演繹法により人間論が展開されます。人間性に関する一般的なカテゴリをまずは定義し、その部分的な下位カテゴリとそれとの関連を定義、そしてさ

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  • 「福祉国家スウェーデン」はどのように成立したか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    「理想的福祉国家」スウェーデン ちょっと前まではスウェーデンやデンマークなど北欧の国々の手厚い福祉政策が「理想的」と喧伝されていました。 今でも教育や人権、福祉、労働条件の問題を語る時に、北欧の国々の取り組みは引き合いに出されることは多いです。何というか北欧諸国は理想郷とお思いの方も多いに違いありません。 確かに北欧諸国の取り組みは先進的で、我々が学ぶべきことも数多くあるのですが、一朝一夕に実現するものではなく、長い歴史的努力を経てこのような社会システムが出来上がっているのです。 今回はスウェーデンの福祉国家成立の経緯を見ていきたいと思います。 1. スウェーデン・モデルとは スウェーデンの福祉国家のコンセプトは「高い経済成長」を維持し「雇用を確保」しながら「福祉を充実」させることにあります。 資主義とも社会主義とも異なり、この両方の良い部分を統合したような仕組みで、市場の競争原理で国際

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  • 【論争】渤海国は中国・朝鮮どちらに帰属するか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    Work by Gzhao 「海東の盛国」と讃えられた中世・北東アジアの国 7〜10世紀、現在のロシア極東・中国東北部・北朝鮮には渤海国が大いに栄えていました。 渤海国はその歴史的位置づけを巡って議論があります。 中国では「中国の地方史」という位置づけで語られますが、韓国では「朝鮮の王朝」と位置づけて語れています。 中国は渤海が中国史の一部でないと、東北部の分離を招きかねず譲れない。一方で韓国では渤海が中国史ということになると北朝鮮中国の領土であることを認めることになり絶対に認められない。 「渤海国帰属論争」は現在の政治・領土論争と直結しており、互いの民族感情を刺激するセンシティブな議論です。 1. 論争のポイント この論争は「渤海は中国の地方国家か、朝鮮の国家か」という点を明らかにしようとするもので、いくつか主要なポイントがあります。 初代国王・大祚榮(だいそえい)は中国化した靺鞨人か

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    rodori
    rodori 2017/03/07
    「中国は渤海が中国史の一部でないと、東北部の分離を招きかねず譲れない。一方で韓国では渤海が中国史ということになると北朝鮮が中国の領土であることを認めることになり絶対に認められない。」勉強になる。
  • なぜアンコール・ワットは密林に埋もれたのか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    なぜ壮大な寺院・都城は忘れ去られたのか アンコールワットの遺跡群は我々を魅了してやみません。 ご覧になっている方の中にも観光で訪れた人もいるでしょうし、いつかは行ってみたいとお思いの方もきっと多いでしょう。 19世紀にアンコールワットを西洋に紹介したフランス人も興奮気味にこう語っています。 西欧の最高の大聖堂と堂々と肩を並べられよう。それに雄大さにかけてはギリシア・ローマ芸術が造り上げた何物にも勝る。 (アンリ・ムオ「シャム・カンボジア・ラオスの諸王とインドシナ中央部の小さな国々」) ではなぜこのような寺院・都城は作られ、そして密林の中に埋もれて忘れ去られてしまったのでしょうか。 1. アンコールの地理と経済 カンボジアは未だに人口の70%が農民でGDPの30%を農業が占める農業国です。 昔から農業はカンボジアの基幹産業であり、いかに農業地と農業インフラを充実させるかが国の重要課題であり、

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  • 2016年に読んで面白かった本&よく読まれた記事 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    歴ログの今年の振り返りをしてみます 年末に今年の振り返りをするのが恒例?になってます。 恒例といっても3回目なのですが。 今年は仕事と私生活がメチャクチャ忙しくて、更新の頻度をガクッと落とした年でした。その分品質を上げようと努力したんですがあんま上がってないので、ただ量が少なくなっただけでした。すいませんでした。 は週2〜3冊のペースで読んでいるんですが、あんまり世界史に関係ないも読んでいました。 ということで、2016年のブログの振り返りと今年読んだ記事をまとめてみます。 2016年度に読んで面白かった 今年は直接ブログのネタになるようなだけでなく、あんま関係のないを結構読んでました。特に辺境作家の高野秀行さんのを凄く読んでました。 1: 「 世界の辺境とハードボイルド室町時代」 高野秀行,清水克行 集英社 世界の辺境とハードボイルド室町時代 作者: 高野秀行,清水克行 出版

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  • イギリスの愛国心とビールの深い関係 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    イングランド人の心を揺さぶる伝統のエールの味 以前「イギリス料理がまずくなった5つの理由」という記事を書いて、大きな反響をいただきました。 「いやいや嘘つけ結構美味しかったぞ!」とか「そうそう当にマズかった!」とか色々なコメントがあって非常に面白かったのですが、 いつどこに滞在して何をべたか個人の経験にも依るので、一概に「まずい」と切り捨ててしまったのは良くなかったなあと思った次第です。 ただし、今回のテーマ「イングランド・エール」はイギリス人も胸を張って「これは旨いぞ!」と言えるのではないでしょうか。 なぜイギリス人はワインではなくビールなのか。なぜイギリス人はビールを愛して止まないのか。その歴史的な理由を「パブとビールのイギリス 飯田操著 平凡社」から抜粋してまとめていきます。 1. イングランドのエール、フランスのワイン 1-1. 主としてのエール イギリスにおいてエールは古代

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  • WW2前の泡沫ファシスト政党まとめ - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    たくさんあったWW2前の泡沫ファシスト党 WW2前は全体主義が「クール」で「最先端」なものでした。 国が全力をかけて「国家の威信」とか「民族の誇り」とやらを内外に喧伝するから、そりゃカッコよく見えたはずだと思います。 全体主義の中では個人の意見なんて虫けら以下だし、絶対にそんな国に生まれたくないと思うのですが、男の子的感覚で、颯爽とした様に心惹かれる部分もどっかしらあります。 ファシストという概念が誕生してから現在まで、世界中に星の数ほどファシスト政党が生まれは消えていきましたが、世界史上特に目立たずにひっそりと生まれてひっそりと消えていった、WW2期のファシスト政党を7つ集めてみました。 1. ユーゴスラヴィア国家運動(ZBOR) ナチス・ドイツの傀儡となったファシスト組織 ユーゴスラヴィア国家運動(ZBOR)は1935年にセルビア人のディミトリェ・リョティッチに率いられたファシスト政党

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  • 「笑い」が禁止された中世ヨーロッパはどんな世界だったか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    「笑うこと」が非難された中世ヨーロッパ おかしな話や映像を聞いたり見たりして、大いに笑うことは普通のコトです。 科学的にも笑いは推奨されてもいます。ストレス発散や免疫力の向上など、様々な医療効果があることが実証されています。 テレビ番組もネットの記事も、基的には「人を笑わせよう」としてますから、現代は歴史上で最も高度に笑いが発達した時代と言えるかもしれません。 ところが中世ヨーロッパでは、笑いは「なるべく控えるもの」であり、大笑いすることは「不道徳なこと」であるとされました。今とは真逆ですね。 笑いが禁止された世界とはどのようなものだったのでしょうか。 記事三行要約 イエス・キリストは笑いを非難したとされ、笑いは糾弾されるようになった 笑いがいかに悪徳かの論理武装がなされ、修道院では笑ったものは厳しく罰せられた 徐々に笑いに対し理解が生まれ「笑いは魂の休息」とみなされるようになっていった

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  • 【WW2】 "戦場のマジシャン" マスケリンのイリュージョン作戦 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    3秒後に街が消えてしまいます。3、2、1…はいっ! ウソのような話ですが、第二次世界大戦にはマジシャンが戦争に参加していました。 そのマジシャンの名はジャスパー・マスケリン。 イギリス人のマジシャンで、軍隊に志願して得意なマジックを通じて国家に貢献することを望みました。 兵士の慰問も大事な任務でしたが、イリュージョンを使って戦闘に参加することもあり、ニセの町や軍隊の幻影を作り出し敵の目をくらましたり、いくつかの輝かしい戦果を上げています。 今回は第2次世界大戦中に実際に行われた、マスケリンのイリュージョンをご紹介したいと思います。 1. ドイツ戦艦イリュージョン Photo by German Federal Archive マスケリンは自分のマジシャンとしてのテクニックが軍に役立つとして、イギリス軍の工兵に志願しました。 彼は自分の手にかかれば「町や軍の幻影を敵の眼前に出現させて敵の目を

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  • 史上最も影響を与えた紀行本10選 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    バッグパックにとカメラを突っ込んでふらりと気の向くまま 他人が海外旅行に行って楽しい思いをしているのを見たり聞いたりするのは、基的にはあまり気持ちいもんじゃないです。 「なんだよ、自慢かよっ!」 って思っちゃう。 でも次に「オレも行きたい!」っていうマインドシフトが起きるのは不思議なもんです。 他人が旅行に行った話を読んで「ああ、旅行きてえ」ってなるのは今も昔も変わらないようで、昔から旅行は人びとを旅情に掻き立ててきました。 ということで、今回は「史上最も影響を与えた紀行」のご紹介です。なお、今回紹介するのセレクションはsmisonianmagからの引用で、ぼくも読んだことがないものが多くあります。 書評ではなく、あくまでご紹介という形でご覧ください。 1. ヘロドトス「歴史歴史 上 (岩波文庫 青 405-1) posted with カエレバ 松平千秋 岩波書店 1971

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  • オクトーバーフェストの歴史 - バイエルン皇太子夫妻の結婚式に起源があった - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    Photo by Markburger83 秋空の下で美味しいビールはいかがですか? ビールが美味しい夏が終わって、ビールが美味しい秋がやってきました。 鍋をつつきながらも桜を見ながらもビールは美味しいわけで、つまるところ一年中ビールは美味しいわけです。 で、やっぱり秋のビールといえばオクトーバーフェストですよね。 気持ちのいい秋空の下で飲むビールはまた格別な味わいです。最近では各地でオクトーバーフェストと名のつくイベントが行われるようになってきました。 あくまでこれはオクトーバーフェスト「ごっこ」にすぎないのですが、何でもいいから理由を作ってみんなでビールを飲もうというミエミエの魂胆は、とってもいいことだと思います。 今回は季節柄のネタで、そんなオクトーバーフェストのイベントの歴史を振り返ってみようと思います。 1. 場ミュンヘンのオクトーバーフェスト Photo by Gutsul

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    rodori
    rodori 2015/10/10
    他の祭りに比べてコスパが悪いとは感じてたけど、地元のドイツ人も同じ気持ちだったみたい。
  • 李氏朝鮮の税制改革100年の歩み - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    「改革の抵抗勢力」とどう戦ったか 以前、「なぜ李氏朝鮮は社会発展が停滞したか」 という記事を書きました。 これは李氏朝鮮の政策の概要を連ね、それがどのような結果になったかを書いた記事です。 この記事の最後のほうに「大同法」について言及しました。 そこで1608年には農産物の代わりに布や銭で税金を治められる「大同法」が成立。戦争によって疲弊した農民層の負担を軽くして生活を安定させることを目的としました。またこれは、農業に適さない土地で商品経済を発展させる狙いもありましたが、農作物を取り立てる中間搾取層が反発し、普及させるのに100年もかかってしまいました。 李氏朝鮮時代の財政の一大改革と言える大同法は、税収をアップさせつつ農民の負担を減らし、なおかつ国内の商品流通の促進をもたらすという優れた制度だったのですが、全国に普及させるのになんと100年もかかっています。 どういう理由から求められた制

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    rodori
    rodori 2015/08/03
    資本主義。ライトゥルギー。
  • 中国武術の発展とその思想について - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    奥深い中国武術の世界 中国の武術と言うと、すぐにブルース・リーかジャッキー・チェンを思い出してしまいます。 なんかこう、激しく動く派手な格闘技、みたいなイメージがありませんか? 一方で、太極拳のようなゆったりと動くものを想像する人もいると思います。 どっちが当の中国武術なのでしょう? 当はゆっくりしてるけど、映画だけ激しいパフォーマスになってるのか? 以外と我々は中国武術について、知らないことが多くあります。 このエントリーでは、中国武術の概要についてざっと、分かりやすく舐めていくことにします。 1. インドから中国に伝わった格闘技 Photo by Leelavathy B.M インドの格闘技カラリパヤットの伝来 中国は宋(960〜1279)の時代、大きく経済的に発展して文化や思想が発達。 同時に物質的にも豊かになり武器や戦闘具が多く作られましたが、この時代にはまだそれを用いて素人が

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  • 【WW2】歴史を変えたかもしれない未遂の計画 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    もしこの計画が実行されていたら、果たして… もし日がハルノートを受け入れていたら。 もし英首相チェンバレンがナチスに毅然とした対応をしていたら。 もし独ソ不可侵条約が守られていたら。 また歴史は違った展開をみせていたかもしれません。 しかしヒト1人の判断や選択は歴史の大きなうねりの中ではほんのさざ波をたてる程度のことで、結局結果は変わらないかもしれません。 歴史を学んでいると、そういう運命論みたいなものを感じる時があります。 今回は海外サイトで紹介されていた、「もし実行に移されていたら果たしてどうなっていたか」を考えさせられる第二次世界大戦の未遂の作戦を紹介します。 1. 日軍のオーストラリア侵攻作戦(1942年) 1942年の早い段階で、日軍はシンガポールやジャカルタなどの戦略拠点を制圧。 陸海軍の首脳は次の作戦を練っていましたが、オーストラリア侵攻も選択肢に含まれていました。海軍

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  • 古代メソポタミアとギリシアの金融取引について - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    生活臭漂う古代人の金融取引 古代の人たちの生活と言うと、何となく理想化されたイメージがあります。 会社も学校も、うるさい上司や先生もいない。ノルマや宿題もない。 朝起きて畑を耕し、日が暮れたら家に帰って家族で卓を囲む。 べ物は100%天然もの・近所で採れた新鮮なものばかり。 近所の人たちとは仲が良く、まるで家族同然の付き合い。 等々…。20世紀初頭の言葉で言う「高貴な野蛮人」の姿です。 ところが、古代も古代、メソポタミア文明の頃から金融取引は存在し、人々は毎日懐具合や将来のことに悩みながら日々を過ごしていたのです。 金融の歴史を見てみると、古代も現代もほとんど変わらない、めちゃくちゃリアルな等身大の人間の営みが見えてきます。 1. 古代メソポタミアの粘度板の記録には Photo by BabelStone ビールに関する法典 上の写真の粘度板(タブレット)は古代メソポタミアで彫られた、

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  • ルネサンス時代のオカルト神秘主義は何を目指したか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    ルネサンス時代に生まれた西洋的神秘主義 「ルネサンス」は「再生」という日語訳が指す通り、 古代ギリシア・ローマ時代の古代文化の復興運動のことです。 我々もルネサンスと聞くと、ダ・ヴィンチの「モナリザ」やボッティチェリの「春」など生き生きとした人間らしい絵画を想像します。 この時代には科学分野も著しく発達。後の啓蒙主義につながり現代の学問やテクノロジーの基礎となっています。 一方で、そのような科学とは対極に位置するようなオカルトや魔術も盛んで、ガリレオが行ったような科学的アプローチとは全く異なる、神秘主義的視点から世界を捉えようという試みがなされていました。 イメージとは違って、実は当時こちらのほうが多数派だったそうです。 ルネサンス時代の魔術とはいったいどのようなものだったのでしょうか? 1. 古代の復興=ルネサンス 異教的文化 冒頭に述べた通り、ルネサンスとは古代ギリシア・ローマ時代の

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  • 【音楽】エチオ・ジャズの歴史とその魅力 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    エチオピア音楽の素晴らしさを知っていただきたい みなさんはエチオ・ジャズを聞いたことはありますでしょうか? まじで、めっちゃいいんですよ!! 我々が普段聞き慣れてるジャズやボサノヴァとは一風違います。 エチオピア伝統の音楽とモダン音楽がフュージョンした、異国情緒に満ちたクールなサウンドなのです。 これから天気のいい初夏の季節にピッタリで、聞いていて気持ちよくなりますよ。 1. エチオ・ジャズとはなにか エチオ・ジャズはエチオピアの伝統音楽アメリカのジャズやラテン音楽をミックスしたもの。 後述するエチオピア人ミュージシャン、ムラトゥ・アスタトゥケによって作られ発展しました。 1950年代〜1970年代には、伝統的なエチオピア音楽を西洋の楽器や音響機器を使って演奏するスタイルが流行。ティラフン・ジェセスやアリ・ビッラのようなフォークミュージシャンが人気になりました。 以下は1970年代のティ

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  • 【絵画】イエス・キリストの顔はどう変化したか - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    「神の子」の顔はどのように表現されたか 我々が想像するキリストの顔と言えば、 肩まで垂れた長髪 面長な輪郭 二重でぱっちりした目 こけた頬 口元とあごに生えたヒゲ のような感じでしょうか。 絵が下手な人に「キリスト描いてみて」って無茶ぶりしても、 だいたいこのイメージに従って書いているような気がします。 それにしてもいつの時代からこのイメージが出来上がっているのでしょうか? 初期キリスト教時代のイエス像 とにかくなんかすげーやつ キリストがゴルコダの丘で十字架に磔にされて死亡してから、イエスの弟子たちはローマ帝国各地にイエスの教えを伝えるべく伝道の旅に出ます。 徐々に信者数は増えていったのですが、どうも最初の頃はキリスト像など特に存在しなかったようです。 ヨハネによる黙示録には、イエスの姿についてこのように記述がなされています。 そこでわたしは、わたしと、七つの金の燭台が目についた。それら

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