あのころのおれはモテていたというよりも、ただ人畜無害認定されていただけだった。 その後輩女子はたいそうかわいかった。たいそうかわいいということは、もちろんたいそうかわいいということであり、グラディウスのオプションみたいに男子を引き連れて学内を闊歩していた。 そしておれはただ彼女の先輩というだけの立場だった。 彼女にとって幸か不幸かおれは先輩であり、それゆえ彼女はおれに無関心を行使できなかった。かわいいこにはすきときらいで普通はない。 そして彼女はすきをえらんだ。 表面上。 彼女は他の先輩にはしないことをおれにだけした。道のど真ん中で抱きついてきたのだった。おれもまるで彼女を受け入れるかのように両手ひろげたりなんかして、でもそんなのその場の思いつきでやっただけで内心ドッキドキだった。 顔では平静保って彼女と同行してた男子と他愛のない会話をしたりした。彼女を胸元にぶらさげたまま。 おれは裏読み