「広い視野を持て」などと、よく言われる。視野は広いほうがいい、とふつう思われている。いっぽう、「視野が狭い」というのはマイナスの評価である。 しかし、これは正しいのだろうか。 視野を広くすると、ひとつひとつの分野に対する理解は、浅くなるだろう。むしろ、視野が狭いほうが、ひとつの分野を深く理解できる。 私の考えでは、最初はむしろ、意識的に視野を狭くして、深く理解している得意分野をつくったほうがいいと思う。 ひとつでも、深く理解している得意分野を持っていれば、他の分野を見たときに、その深さが類推できる。 逆に、ひとつも得意分野を持っていないと、どの分野を見ても、浅い理解しかできない。これでは、いくら視野を広くしても、皮相的な見方しかできない。 もちろん、視野は広いほうがいいのだが、人生は有限である。有限の人生で、何かを達成しようと思えば、あるていど焦点をしぼるしかない。 かつての私は、このこと