はじめにアニメに対する評価として「作画が良い」あるいはそれに類する作画への称賛の表現はよく用いられる。作画の良さなるものは、アニメを評価する上で一つの重要な軸となっているようである。しかし「作画が良い」とは一体いかなる意味で使われているのだろうか。本論では、この点に哲学的な考察を与えることを試みる。特に、「良い作画」という概念を分析することで、その定義を与えることを目指す。アニメというシステムにおける作画の位置や、実際の作画に対してなされた評価の例を取り上げ、これに迫る。 そもそも作画とは、アニメの映像のうちアニメーターの仕事による部分である。キャラクターを中心とした動くものの絵を描くのがアニメーターであり、背景などは別のセクションのスタッフの仕事による。またアニメーターの仕事は原画と動画に大別される。アニメは静止画を連続で映すことで動いているように見せるが、原画とは動きのポイントとなる絵