きがついたらずっとゴムを着けることなく、している。もう一年以上前になるが、付き合い始めた当初はちゃんと着けていた。気がつくと、半年以上外に出すにしても生のまま行為に及んでいる。お互いに或る低い可能性を暗黙に感じているのに口にはしない。ただ行為にふける。私は飽和する。 「今外4度しかないみたいだよ。」さむいさむい、と口をぱくぱくさせてコートを着る。あのひとがふかふかした毛糸のマフラーを巻いているのを見ると私はゆっくりやわらかく首を絞めてやりたいと思う。まだ唾液にまみれたあの首をどうにかしてやろう。どうかしてるのは私だけれど私はいつまでも正気だ。空返事をしてまたあのひとから何かへと志向を移す。私たちはこのまま終わりかけているような何かを見ない振りしてぼんやり続いていく。冬が来て、低い天井のアパートの窓からオリオン座が見えた。私は冬の星座をそれしか知らない。