輸入学問の功罪―この翻訳わかりますか? (ちくま新書) 作者: 鈴木直出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 51回この商品を含むブログ (51件) を見るを読んだ。 この本は、カントやマルクスといったドイツ系の哲学書の翻訳が一般読者にまったく理解できないものになっていることを告発しつつ、その背景を、市場から乖離した教養主義に求めたもの。 著者は第一章で、哲学書の翻訳が一般読者にきわめて読みにくいものになっていることを、『資本論』の翻訳を例にして示す。著者は、1924年に刊行された高畠素之の翻訳とそれより二十年遅れて出版された向坂逸郎の翻訳(岩波文庫)を比較し、向坂訳が一般読者にとってきわめて読みにくいものになっているのにたいし、それより二十年前に出された高畠訳のほうが読みやすさという点では上回っていることを例示する。この可読性の低さ