昭和史に残る大疑獄「ロッキード事件」は、米議会上院の公聴会がロッキード社の対日工作を公表した1976(昭和51)年2月4日に初めて明らかになったとされてきたが、それ以前に在米日本大使館が公表内容の概要を把握していたことが分かった。当時の在米日本大使館1等書記官で、後に駐フランス大使も歴任した男性(78)が10日までに信濃毎日新聞に証言した。 米議会上院外交委員会・多国籍企業小委員会は76年2月4日に公聴会を開き、ロ社から対日工作資金を受け取った日本人の名前や証拠資料を公表した。元書記官によると、公聴会の約3カ月前の75年秋から個人の判断で小委員会の関係者らに接触。翌年1月末に公聴会の開催日を知り、上司とも相談の上で外務省に報告した。2月2日に公表資料を入手し、開催前に大使館から外務省へファクスしたという。 日本では2月5日、ワシントン発の報道で疑惑が衝撃的に伝えられた。翌6日の衆院予算
経済産業省が庁舎内の全執務室の日中施錠を始めた。 ドアに鍵がかかると報道機関の取材が制約され、憲法が国民に保障する「知る権利」が損なわれる。経産省は施錠を直ちにやめるべきだ。 原則として、すべての執務室の扉が施錠された。来訪者が各課や各室を訪ねるときは内線電話で連絡して開けてもらう。 施錠に合わせて、メディアの取材にも新しいルールが適用された。記者が各課幹部から話を聞くときは別の職員が同席、内容をメモして広報室に報告する。 今度の措置は一般の人ではなく、記者が自由に入れないようにすることに狙いがある。 経産省には、2006年10月の最高裁決定を思い起こしてもらいたい。NHK記者が法廷で取材源に関わる証言を拒否したことについての裁判だ。 「報道機関の報道は、国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものだ」 判決は以上の通り述べて証言拒否を「正
刑事司法改革の一環として改定された通信傍受法が1日から施行された。電話などの傍受(盗聴)について捜査機関に課してきた縛りを大幅に緩めた。市民の活動や生活に盗聴の網の目が及び、「監視国家」化が進む恐れが強まっている。 憲法は〈通信の秘密は、これを侵してはならない〉と定める。検閲や拷問と並んで厳格に禁じる規定を置いたのは、プライバシーと内心の自由を守り、個人の尊厳を確保するためだ。 コミュニケーションの阻害は表現の自由を損ない、民主的な政治意思の形成も妨げる。盗聴が際限なく拡大し、憲法が支える社会の根幹が崩されないよう、厳しい目を向けていかなくてはならない。 改定法の問題点は二つある。一つは、これまで薬物・銃器犯罪など4類型に限っていた対象犯罪を大きく広げたことだ。傷害や窃盗、詐欺も新たに加わった。 <立法時の「たが」外れ> もう一つは、傍受に際して通信事業者の立ち会いが不要になるこ
安曇野市内の別荘で女性の体を触ったなどとして強制わいせつの罪に問われた市内の男性について、東京高裁(藤井敏明裁判長)は11日までに、「女性の証言の信用性に疑いがある」として一審地裁松本支部の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。東京高検は上告せず、判決は確定。密室での「強制わいせつ」行為の有無を巡り、当事者の証言に頼りがちな捜査、立件にあらためて警鐘を鳴らす判断となった。 男性は同市穂高有明の建設業太田正人さん(67)。昨年4月、市内の居酒屋で知り合った中信地方の20代女性と自らの別荘に行き、体に触ったなどとして強制わいせつ致傷の疑いで安曇野署が逮捕。地検松本支部は強制わいせつの罪で地裁松本支部に起訴した。太田さんは逮捕時から「酒を飲んでいたので覚えていない」と否認していた。 地裁松本支部(本間敏広裁判官)の公判では、女性が無理やり着衣を脱がされ、ソファで体を触られたとする検察側
県弁護士会(高橋聖明会長)は8日、青少年との性行為などへの処罰規定を盛った条例の制定を進めるとする県の方針に対し、処罰規定は「慎重な検討を要する問題で安易に賛成できない」などとする会長声明を発表した。真摯(しんし)な恋愛関係かどうかの判断を警察が適切に行えるか疑問とし、被害者側の一方的な申告だけで処罰されかねないといった問題点を指摘した。一方、性教育や被害者支援などを充実させるための条例制定は必要との見解を示した。 県は1日に条例制定を進めるとする「基本的な方針」を決定。17日開会の県会2月定例会までに条例骨子案を示し、議論を仰ぐとした。処罰規定をめぐっては、法律の専門家から警察の恣意(しい)的捜査や冤罪(えんざい)を生む恐れが指摘されている。県弁護士会は県会開会前に会長声明を発表することで、県会論議を深めるよう求めている。 声明は、県が条例の基にするとしている県検討会の「条例モデル」
記者会見で、青少年との性行為への処罰規定を盛った条例を制定する基本方針を説明する阿部知事=1日午後3時47分、県庁 県は1日、緊急部局長会議を開き、青少年との性行為への処罰規定を盛った条例を制定するとする「基本的な方針」を決めた。県民との意見交換で、条例制定に肯定的な声が多かったことなどを踏まえたとしている。県民から要望があった「性教育の充実」を、従来から続ける青少年育成の県民運動の活性化とともに条例に位置付け、規制との相乗効果を図るとした。県会2月定例会に条例の骨子案を示し、議論を仰ぐとしている。条例案提出の時期は未定。 長野県は47都道府県で唯一、条例を持たず、学校や家庭、地域の県民運動によって青少年育成を進めてきた。基本的な方針はインターネットの普及などによる社会環境の変化を転換理由に挙げ、阿部守一知事は同日記者会見し、「子どもを性被害から守る観点で、新たな一歩を踏み出す必要がある
公文書管理法が施行されてから間もなく5年になる。公文書の扱い方をルール化し、国民に開示することをうたった法律だ。省庁が勝手に捨てたりしないよう、廃棄のときは内閣府の最終チェックを受ける規定も設けた。 今年は施行後5年の法律見直しの年に当たる。 法は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けている。国民への説明責任を果たすために、意思決定の経過も含め記録として残すよう定めた。一定期間が過ぎた文書は保存か廃棄か判断した上で、文書価値の高い「歴史公文書」は国立公文書館などに移す。 施行されて以降も、公文書のずさんな扱いは後を絶たない。 内閣法制局は集団的自衛権の行使容認に関わる憲法解釈の変更について、内部の検討作業の記録を残していなかった。 法制局は「法の番人」として他省庁から一目置かれてきた。法治国家の核、とも言える存在だ。その役所が、長く維持してきた「集団
税務署や法務局、労働局、国立大学など国の機関や独立行政法人には膨大な個人情報が集まる。許認可権や取り締まりの権限を背景にした情報も多く、正確さではこれに勝るものはない。民間ではタッチできない機微な情報も蓄積される。 こうした情報を民間で活用できないか、総務省が検討を進めている。提供する際のルールを定め、法案にまとめて開会中の国会に提出する考えという。 国民が国の機関に情報を出すときは、第三者による利用を想定していない。強制力がからむことからいっても、企業などへの提供には慎重であるべきだ。拙速な法制化には賛成できない。 ネットに接続したりICカードを使ったりするとき、多くの場合電子的な“痕跡”を残す。そうしたデータが集められ、加工されてビジネスに使われている。ビッグデータと呼ばれる。 民間部門のデータについては、昨年の個人情報保護法改正で一定のルールが定められた。氏名を削除するなど個
民主党県連代表の北沢俊美氏(参院県区)が代表を務める政党支部「民主党長野県参議院選挙区第1総支部」が、2009~13年の5年間に葬儀の「香典」88件(計217万円)、「お祝い金」や「祝儀」7件(計29万円)を選挙区内の人に支出したと政治資金収支報告書に記載していたことが13日までに分かった。「見舞い」10件(計20万円)を県内の個人に支出したとの記載もあった。政治家による選挙区内の人への寄付を禁じる公職選挙法に触れる可能性があり、北沢氏の事務所が確認している。 総務省によると、同法は、政治家の関係団体が政治家名義か、政治家を類推できる方法で選挙区内の人に寄付することを禁じており、政党支部は一般的にこの関係団体に含まれる。ただ政党支部でも、特定の政治家を支持する活動が主体の「後援団体」でなければ、寄付が認められると解される規定もある。一方、政治家本人が葬式や結婚式に出席して香典や祝儀を渡し
2度目の信毎主筆時代に悠々が執筆し、信毎に掲載された記事を収めたスクラップ帳。下の2段が「関東防空大演習を嗤(わら)ふ」=金沢市の金沢ふるさと偉人館 戦前の言論統制の時代に軍部批判を貫いたジャーナリストで、信濃毎日新聞主筆を務めた桐生(きりゅう)悠々(ゆうゆう)(1873~1941年)の孫、浩三さん(73)=東京都練馬区=が、悠々の直筆原稿などの遺品約500点を金沢市の「金沢ふるさと偉人館」に寄託する。金沢市は悠々の出身地で、同館は年度内に常設コーナーを設けて公開する予定。親族らから引き継いだり、自身で集めたりした遺品で、「戦後70年の節目に寄託先が決まってほっとしている」と浩三さん。「事実に即して言うべきことを言う姿勢を貫いたジャーナリストの存在を、多くの人に伝えたい」と話している。 寄託する遺品には、2013年に浩三さん宅で見つかり、信毎が同年10月22日付朝刊で報じた直筆原稿も含ま
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