そうだな、たしかにあいつは、おれと同じ褪せ人だった。エビが好きなやつに悪人はいねえ。おれはそう思ってる……思ってはいるが、やっぱりものごとには例外ってものがあるんだろうな。……いや……そうだな、悪いやつだというのも違うかもしれねえ。けどやっぱりあいつは……うまく言えねえな。 あいつにはじめて会ったのは、おれがリエーニエの東屋でエビを茹でていたときのことだ。あのときあいつは、たしかに誰かのことを……とあるお嬢ちゃんのことを心配してたんだ。褪せ人なのに誰かのことを心配するなんて、甘っちょろいやつだと思ったよ。だけどとにかく、だからな、悪いやつじゃなかったのさ。なんたってエビも好きだって言うしな。……だけどそうだな、何があったのかってことは、あんまり話したくねえ。この狭間の地でやってくんだったら、そういう後ろ暗いことのひとつやふたつ、あるもんだろう? とにかく、はじめて会ったときのあいつの印象っ