■子どもと貧困 生活保護世帯の子どもが平均より高い割合で高校を中退している。背景に貧困の影響を指摘する声があり、中退後の学び直しや中退を防ぐための新たな支援が始まっている。 10月中旬。中退や不登校を…
生活保護費の基準額は物価や生活費の差に応じて市町村ごとに6つの区分が設けられていますが、厚生労働省は自治体の合併などを考慮してこの区分をおよそ30年ぶりに見直す方向で検討を始めました。 ところが、「平成の大合併」などで自治体の広域化が進み、この30年ほどで従来の区分と実態が合わなくなっていることから、厚生労働省の部会は基準額の区分を見直す方向で検討を始めました。 部会では、生活の実態に即して支給できるよう現在の市町村ごとの区分から地域をさらに細かく分けて設定することや、区分の数を変えることなどを検討するということです。 委員の専門家からは、「同じ自治体の中でなら生活レベルに差がないという前提は成り立たない。必需品の費用や消費の動向などのデータを踏まえて慎重に検討する必要がある」といった意見が出されました。 厚生労働省は、年内にも論点を整理するなど今後も議論を進めていくことにしています。
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 「子ど
財務省は27日、財政制度等分科会を開き、都道府県が病床数を抑制しやすくするために、民間医療施設に他の施設への転換などを指示できる権限を与えるべきだと提言した。10万人あたりの病床数は地域によって最大3倍の差があるため、過剰な自治体が病床数を抑制しやすくする。厚生労働省に早期の導入を求める。公費で全額を賄う生活保護受給者の医療費については、過剰受
文部科学省は経済的に苦しい世帯の新入生に支給している学用品費の一人当たりの支給額(単価)を、ほぼ倍額に引き上げる方向で財務省と協議を始めた。生活保護世帯が直接の対象だが、国が定める単価は、自治体が独自の財源で「準要保護世帯」に支給する就学援助の事実上の目安になっており、文科省は自治体が同調することを狙っている。 「新入学児童生徒学用品費」は文房具や辞書、制服やランドセル、通学用自転車など、入学前に学校生活に必要なものを買う費用として支給され、現在の国の単価は小学生が2万470円、中学生は2万3550円。それぞれ倍額をめどに引き上げる方針だ。 保護者の間では、制服など入学前の実際の負担額に対し、支給額が少ないという声が上がっていた。このため、自民、公明両党も今春、この単価の引き上げを提言。文科省は2017年度の予算概算要求に、国が費用の2分の1を補助する生活保護世帯への増額分を盛り込んだ。
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保護を受けていない貧困層とのバランスを考え、生活保護の受給者に配るお金を減らす――。そんな施策がここ数年続いていますが、貧困層全体の暮らしを押し下げる心配があります。 「保護基準の引き下げは、生存権を保障する憲法に反します」。7月、さいたま市内で生活保護受給者らが通行人に呼びかけた。2013年度から、食費などにあてる「生活扶助」の基準額が引き下げられた。物価下落などが理由で、13~15年度に3段階で計6・5%という大幅減だ。 心の病を患い4年前から保護を受ける30代女性は、7万6千円の扶助が約5千円減った。病気で過食と嘔吐(おうと)をくり返し、食費に3万円かかる月もある。築30年超の木造アパートに一人暮らしだが、真夏も「クーラーは2時間に20分」と決め、風呂は使わず1日おきのシャワーでしのぐ。「お金が尽きることを本気で心配します」。全国27地裁で基準引き下げの取り消しを求める集団訴訟が起こ
生活保護を受ける人は200万人を超え、20年前の2・4倍に増えました。その背後には、さらに膨大な「隠れた貧困層」もひかえています。人々が安心して暮らせる手立ては用意されているのでしょうか。 「毎月やりくりしても赤字が出ちゃう…」 埼玉県の女性(77)が、通帳とにらめっこしながらため息をついた。10年前には100万円以上あった貯金は、すでに10万円を切っている。 40代で会社員の夫と別れ、子連れで住み込みの寮母などをして息子2人を育てた。清掃員をしていた70歳のとき、高齢を理由に仕事を辞めさせられた。その後は探しても職がなく、年金頼みの暮らしになった。 女性は厚生年金の加入期間もあり、もらえる年金は1カ月で9万円ほど。うち半分は、一人で住むアパートの家賃にあてる。電話代や光熱費などで計1万円強。食費を切りつめても、長年かけてためたお金が目減りしていく。息子たちが月2万円ずつ援助してくれると言
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生活保護の受給者らに住居を提供する「無料低額宿泊所」のうち4割近くは、厚生労働省が定めるガイドラインの個室面積基準を下回ることが分かった。全国には537施設あり、入所者のうちの受給者は1万4143人だった。厚生労働省が25日に調査結果を公表した。 無料低額宿泊所は、生活保護の受給者を囲い込んで保護費を吸い上げる「貧困ビジネス」の温床とされる。今回の調査は昨年6月末時点で実施。2011年に公表した前回に比べ、施設数は49増え、受給者数は353人多くなった。 個室面積はガイドラインで原則7・43平方メートル以上としており、今回初めて公表した。4・95平方メートル以上7・43平方メートル未満が最も多い156施設(29・1%)で、4・95平方メートル未満も44施設(8・2%)あった。一方、保護費に含まれる住宅扶助の基準額(東京23区は単身で月5万3700円)と同額の宿泊料をとっている施設は416施
末期の食道がんで入院していた大学病院から山谷のホスピス「きぼうのいえ」へ移り、安心した表情を見せる玉ちゃん。壁には元気だった頃の写真や仲間からのメッセージが飾られていた=中村藍撮影 ◆山谷玉三郎の生涯 家業から逃れ漂着 頬の肉はそげ落ち、きゃしゃな体がいっそう小さく見えた。6月14日、通称・山谷玉三郎(さんやのたまさぶろう)さん(66)が余命3カ月と宣告されたと聞き、東京都内の大学病院を見舞った。「玉ちゃん、来たよ」。呼びかけると、かすれ声で「もうすぐ夏祭りだよ」とつぶやいた。「山谷に帰りたい?」と尋ねると、「帰りたいねえ」と目を閉じ、そのまま眠りに落ちた。 玉ちゃんを知ったのは1999年。バブルはとうにはじけ、東京・山谷は仕事にあぶれる人が増えていた。都内の野宿者はこの年、ピークの5798人に達する。当時、記者に転職する前の私が、日雇いの「寄せ場」とされる山谷を訪れたのは、「社会の最底辺
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