音楽はイシグロ作品に大きな影響を与えてきた。作曲家になりたかった時期もあるという。 イシグロはフルタイムで音楽を作ってきたわけではないが、ジャズミュージシャンのステーシー・ケントとその夫でサックス奏者のジム・トムリンソンとともに、曲をいくつか書きおろしている。 最近のイシグロはジャズをメインで聴いているが、これまではボブ・ディラン、トム・ウェイツ、ニーナ・シモーヌなど、数多くのアーティストからインスピレーションを得てきた。 ジャズミュージシャンのチャーリー・ヘイデンとカントリーシンガーのギリアン・ウェルチの曲は、イシグロのロンドンの自宅でひんぱんにかかっているという。「ここ25年ほどの間に活躍する歌手のなかで、ウェルチはもっとも重要なシンガーソングライターです」とイシグロは言う。 ニューヨーク出身の歌手ギリアン・ウェルチ マイルス・デイビス、ビル・エヴァンス、ジョニ・ミッチェルといった「古