京都大学経済学部卒業。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。筑波大学大学院(修士(経営学))、京都大学大学院(博士(経済学))で経営学を学び、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より早稲田大学大学院経営管理研究科教授。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。ハーバード大学客員研究員、東海大学(台湾)訪問教授、京都大学経営管理大学院研究員、組織学会評議員、国際戦略経営研究学会理事などを歴任したほか、ソニー株式会社外部アドバイザー、台湾奇美実業グループ新視代科技顧問、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)日本台湾交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員なども務めた。現在、ビジネス・ブレークスルー大学
この記事で言いたいことは、まとめると以下のような内容になります。 ・「面倒くさくて複雑」といフローは、例外もあるものの、基本的には不適切であるか、そのフローが必要とされる前提の方がおかしい ・けれど世の中には、「面倒で複雑なフロー程正しいし価値がある」と考える人が案外多い ・「面倒くさい」と言える人は貴重なんだけど冷遇されがち ・不要なJOIN句は敵だし、JOIN句の使い回しなど絶対してはならない よろしくお願いします。 さて、言いたいことは最初に全部言ってしまいましたので、後はざっくばらんにいきましょう。 先日、Twitterでこんなことを呟きました。 エンジニアをしていると「面倒くさいやり方は大抵間違っているか、あるいはそのやり方を必要としている前提の仕組みの方がおかしい」という思考は割と普通だと思うんだけど、どうも世間的には「面倒くさければ面倒くさい程正しい、ないし価値がある」と思っ
以前も書いたが、これは、わたしがプロジェクト・マネジメントを学生や社会人に教えるときに、最初に出すクイズの一つである(「Structured Approachができる人、できない人」)。「店を探して予約する」「日取りを決める」「参加者を確定する」、等々、いろんな答えが考えうるし、どれも間違いとは言えない。しかし、わたしがあえてPM講義の最初にこの問いを出すのは、「計画を立てる」という、もう一段抽象度の高い答えが欲しいからだ。 時限的で一過性の取り組み、それも複数の人が関わって、失敗のリスクも伴うような事に取り組む際は、「まず計画を立てる」という思考習慣がほしい。言われなくても、当たり前のことである。そう思う人も多いだろう。ただ、その『当たり前』が、ちゃんと意識され言語化されていてほしいのだ。 ちなみに上記の記事を書いたのは、8年前の2012年7月だ。この年、わたしは東大大学院の柏キャンパス
昔所属していたSI会社で、「職場に居場所がないおじさん」の救済プロジェクトに関わったことがあります。 いや、実際にそういうプロジェクト名だった訳ではなくて、確か 「キャリア再考プロジェクト」とか「スキルリデザインプロジェクト」とか、なんかそんなかっこいい名前だったような気がするんですが、 一緒に関わった先輩が言った「これ、やってることは職場で居場所がないおじさんのサルベージだよな…」という言葉が強く印象に残っていて、私の中でプロジェクト名が上書き保存されました。 まあその先輩、「リストラ前のアリバイ作りじゃねーの」とかひどいことも言ってたんですが。 どんなことをやったかというと、要するに人事部のサポートみたいな話でして、 ・所持スキルが案件に合わず、なかなかプロジェクトにアサイン出来ない人 ・プロジェクト内でスキル不足の為タスクが振れず、PMから扱いにくいとアラートが出ている人 ・要は社内
最近、社内でよく話をする内容についてまとめました。 企業がOSS化するといろいろメリットがあると思っていて、社内でもそこのコンセンサスはうちの技術横断部門のメンバー間では取れていたりするのですが、自社以外の人とかと話をする時もあるので、いろいろまとめておきます。 なお、この文章では本業をOSSにしつつビジネスを回そうみたいなElasticsearchとかMongoDBとかMySQLみたいな話題はとりあげず、本業が別にある会社がOSS化する、という部分に特化した話です。 9/13に追記 よく言われるメリットとデメリット メリットは、公開することで開発が自然と進み、コスト削減になる。一方でノウハウの流出などのデメリットがある、みたいなトレードオフ、という理解をしている人が多いようです。 コストは削減にならない OSS化したら多くの人に使ってもらいたいですよね?というのは考えるわけですが、その「
1.「明日から来なくていい」とは、法的にはどういう意味だろうか 雇い主から「明日から来なくていい」と言われたと相談を受けることがあります。 これを解雇だと認識したうえで、解雇無効を主張すると、使用者側から、 「解雇ではない。退職勧奨だ。出勤していないことから合意退職が成立したと認識していた。」 という反論が寄せられることがあります。 解雇なのか合意退職なのかは、法的にはかなり重要な問題です。 解雇の場合、客観的に合理的な理由・社会通念上の相当性が認められなければ、その効力が認められることはありません(労働契約法16条)。 他方、合意退職の場合、錯誤、詐欺、強迫など、意思表示に何等かの問題が認められない限り、基本的には有効な合意として取り扱われます。 そのため、使用者側としては基本的には退職勧奨とそれに続く合意退職として理解したいのではないかと思います。 ただ、合意があると主張することが事実
6月3日から7日まで、ラスベガスで開催されたAgile+DevOps Westに参加してきました。元々はBetter SoftwareというQA(品質管理)向けのカンファレンスでしたが、10年ほど前からAgile色が強くなり、去年からDevOpsも取り込んでいます。AgileもDevOpsもソフトウェアの品質を上げることで生産性を向上させるわけですから当然の帰結といえましょう。 そのカンファレンスで水曜に発表された基調講演の一つStart Your DevOps Journey on the Right Footで、GoogleのNathen Harveyが重要な指摘をしていました。まずDevOpsには「Agile Manifestoのような、各自が共通に認識できる定義基盤がない」という指摘。 そこで彼は、Lucas A. Welch (当時Chef勤務)の DevOps is a cul
前回の記事から2週間ほど間が空いてしまった。先週から欧州で、製造業系と石油ガス業界系の二つのカンファレンスに立て続けに参加していて、サイトの記事を書く時間がなかなか取れなかったのだ。最初の会議では、わたしの勤務先で最近つくった、2030年の未来を見据えた長期的な「IT Grand Plan 2030」(https://www.jgc.com/jp/news/assets/pdf/20181218_1.pdf)の講演発表もした。それなりに一応、好評だったと思う。 ところで、こういう国際カンファレンスに来るといつも思うのだが、欧米人はハイ・レベルな概念論が大の得意だ(ここでいうHigh levelとは、もちろん「高級品の話」ではなく、視点が高い=抽象的という意味である)。たとえばDigital transformationだとか、Ecosystemだとか、Sustainabilityとか、彼ら
2002年東京大学大学院博士課程修了。博士(工学)。米スタンフォード大学客員教授などを経て19年4月から現職。AI研究の第一人者として知られる。(写真=山下 裕之) 日本企業の間でAI(人工知能)の理解が一向に進んでいない。中身はいわゆるIT(情報技術)化のような話が半分以上ではないか。今までもやっていたことをAIという言葉に換えて、マーケティングに利用しているだけ。意味がまったくないわけではないが、それでは世界で勝てるビジネスは生まれない。だから私は「日本でのAIの盛り上がりは中身のないバブル、いつはじけてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。 今、AIで最も大きなイノベーションが起きているのが深層学習(ディープラーニング)だ。自律的に画像や映像を(人間以上に)認識できるため、新しいビジネスが生まれている。高層ビルが建ち始めているわけだ。 インターネット登場時と同じ ITやビッグデータは
展望2020年のIT企業というシリーズ企画の記事を、たまたまTwitterで見かけました。 japan.zdnet.com この記事で語られるDX(デジタルトランスフォーメーション)ってものすごいオワコン臭で衝撃を受けました。汎用機をお守りする時代は終わった、これからはオープンなWeb技術を駆使して基幹システムではなく顧客の売上を支えるITを作るのだ、SO!それが!DX時代! みたいなノリで書いてあって、1ミリも次世代感が無い。 生きている時間軸が違うんだなと思いました。 DXの妨げは社内システムにあるらしい 色んな定義をされているDXですが、ここでは経済産業省の提唱する「DXレポート」のサマリー版に書いてある問題点とDX推進のためのシナリオみたいなのを引き合いに出します。 DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省) 簡単に言うとこうい
シンゴジラにおいて、庵野総監督は現場にダメ出しをしまくりすべての現場を敵にし四面楚歌の中で映画を完成させたが、その映画の評価が高かったことによって、批判していた現場は手のひらを返したという。 ダメ出しというのは、出すのは簡単、それをやり続けるのは困難。出される方は地獄。 スケジュールを鑑みないダメ出しは、万死に値する。といったものである。 しかし必要なダメ出しというのはある。 『この方向でこのまま進んではダメだ』 というようなものは、ダメ出しを入れねばならない。 『このクオリティでこのまま進んではダメだ』 ではない。 ゲームは、総合力勝負であり、単体のクオリティを追い回すことには大した意味はない。 全体的に印象に残る部分のクオリティがずぬけていれば、全てのパートが同じようにクオリティを保つ必要はない。 複数の船頭が居るプロジェクトでは、船頭がそれぞれの思い入れ部分のクオリティを上げたがり、
以前、「英国史上、最も偉大な技術リーダーに学ぶべきこと」https://brevis.exblog.jp/24622591/(2016-08-28)と題する記事で、イザムバード・ブルーネルのこと書いた。19世紀前半のイギリスで活躍した、傑出した技術者だ。たまたまロンドンに来る用事があったので、ブルーネルが作ったパディントン駅を見た。とても美しく、かつ機能的な、優れた建物である。改良の手は入れているだろうが、建築物としての骨格は、おそらく最初のままだと思われる。実物を見て、あらためてブルーネルという人の天才的なセンスを感じた。 そのパディントン駅から多少歩いた公園・ハイドパークの南側に、「アルバート記念碑」が立っている。大英帝国の最盛期を作ったビクトリア女王が、亡き夫君のアルバート公を記念して建造を命じた、巨大なモニュメントだ。こちらはネオ・バロック様式で、すごく美的だと思うかどうかは、見る
喧嘩したけれど勝てなかった話をします。 随分昔の話なんですが、責任範囲がぐっちゃぐちゃになっていた業務に関して、 「ちゃんと責任範囲の明確化をしましょう、責任分界点をきちんと決めましょう」という説得をしようとして、結局できなかったことがありました。 当時私がいた会社は、そこそこ大きな規模のSI会社でして、複数の部署で色んな開発をしていました。 請負でシステムを作る部署もあれば、パッケージ製品を開発する部署、それを販売する部署、自社のASPの保守・運用をしている部署もありました。 で、当時、web上で動作するグループウェア的なサービスがありました。 自社でも利用しているし他社にもASP利用してもらっている、そこそこ利用者の多いサービスでした。 請負で開発しているサービスに比べると、そこそこ自由にアイディアを出すことも出来、開発時期にも予算にも比較的融通が効く、面白い案件が多かったように記憶し
駐車場を出たとき、車の後ろの席で、P社の社長はそうつぶやいた。わたしは関西にあるPという株式会社を訪問して、工場を見学させていただき、そこの社長さんと何人かの方と一緒に、車で新幹線の駅へと向かう途中だった。車は途中で一旦、とある屋外駐車場による必要があった。 駐車場の入り口には、昔の電話ボックス位の大きさの小屋があり、そこに番人が座っていた。顔にシワの刻まれた、中高年だったと思う。彼はそこに来る日も来る日もたった1人で座り、車の出入りや場所の移動等の作業をしていくのだ。同僚との会話もなく、明確な休憩時間もない。暑さ寒さも厳しい。自動ゲートの機械を入れれば済むのだが、駐車場のオーナーは単純労働者の低賃金で済ましているのだろう。 後ろの座席でのP社長のつぶやきを聞いて、わたしは、「人が働くとはどういうことか、人をどう使うのが良いのか」について、つねに自問している方だと思った。わたしは今、見てき
旅先ではいつも、その土地のものを食べるのが習慣だ。だが、ときおり、外国で日本料理屋に入ることもある。そして、たまに面食らうような体験もする。いつだったか、アメリカの日本料理屋で食事を頼んだら、まっさきに味噌汁だけが出てきた。ふつうの街にある店で、来客はアメリカ人が多い。どうやら彼らの概念では、味噌汁はスープだから(Miso soupとよばれる)、真っ先に出すのが当然だということらしい。味噌汁を飲み終えたら、メインのおかずとご飯が出てきて、妙な気分だった。 汁物をsoupと訳するのは、もちろん正しい訳だ。だが日本語で言う汁物と、英語のスープは微妙に違う。たとえば英語では、スープは食べる(eat)という。日本人で、「味噌汁を食べる」という人は滅多にいるまい。ふつうは飲む、を使う。そして、当たり前だが、ご飯と一緒にいただくものだ。
先日、「記事を読みました!」と旧知の町田龍馬さんから連絡がありました。「現在開発中のビジネスモデルに関して、一度ご意見をいただきたい」とのことで、さっそく本業(編集業)の合間、平日のランチタイムを利用して会いました。実に4年半ぶりの再会です。 町田さんのビジネスは、いわゆる「民泊(空き部屋に有料で旅行者を宿泊させる)」の代行業務です。彼の経営する「Zens株式会社(ゼンス)」は2013年9月の創業。米サンフランシスコまで行ってAirbnb共同創業者にプレゼンをして、その後も日本に招き接待するなど、町田さんの行動力はハンパないです。今や社員とスタッフを合わせ49名の大所帯で、2015年12月には『Airbnb空室物件活用術』という本も出してます。「しばらく会わないうちに、立派になったなぁ」と、1987年生まれの町田さんを目の前に、親戚のオジサンになった気分でした(笑)。 相談内容は何だったか
九州・佐賀県の唐津市。玄界灘に面した市のはずれに、名護屋という場所がある。Google Mapの航空写真で見ると、緑の多い、人家の少ないのどかな土地だ。かつてここに、一里四方の広さを持ち、10万人以上が居住する一大都市が、ごく短期間だが存在していたことを知る人は少ない。 その都市をつくるよう命じたのは、太閤秀吉である。彼が晩年、大陸支配をねらった戦争(後に文禄の役とよばれることになる)をはじめるにあたり、出陣の基地としてこの名護屋港を選んだのだ。彼は全国の諸侯・武将に、この辺鄙な港へ集結し、各人の負担をもって、都の聚楽第に遜色がないほど豪壮な城と館を築くよう言い渡した。そして数万の人力を投入し、半年ほどの短期間のうちに完成させた。 全国の大名武将たちは、たとえ些細な手落ちでも関白に訴えられ、無能者として俸禄を没収されかねないので、「自ら家臣を率いて森や遠方の山に出かけ、材木を切ったり、城壁
いすみ鉄道のようなローカル線は、鉄道会社といっても零細企業です。 こういう小さな会社は、社長が何を考え、どういうポリシ―や方向性で進んでいるのかを皆さまに直接お伝えし、ご理解いただくことが大切だと考えています。 このブログでは、地元の情報やイベントなども併せて、「いすみ鉄道の今日」をお伝えいたします。 どうぞお付き合いくださいますようお願い申し上げます。 赤組でもなく青組でもなく、アイスクリームの飛行機が車いすのお客様を乗せる乗せないでもめたようですね。 私も長年航空の現場で働いてきましたが、車いすのお客様がスムーズにご利用できることは、ふつうに考えたらあたりまえのことで、今回のアイスクリームさんは、搭乗ブリッジのない沖止めスポットに飛行機を駐機しているにもかかわらず、階段を上れないお客様のための手段を用意しておかなかったというのが、会社側としての敗因でしょうね。 これは言い訳ができないと
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