伝統的なキリスト教とアメリカ政治との関わりは深く、時に国論を二分する政治問題を引き起こす。それをはっきりと示しているのが、日本でも話題になった「中絶の違法化」である。 当然であるはずの権利が、なぜ今奪い取られることになったのか? その経緯を改めて検証すると、アメリカ政界と宗教団体がお互いの利益のために、強く結びついた結果だということが、はっきりと見えてくる。 6月24日、アメリカ最高裁は「合衆国憲法は、人工妊娠中絶する権利を認めていない」という判断を下した。その直後から、保守色が強い州で中絶が次々に禁止となった。全米で抗議行動が続き、ニューヨークでは1万人規模のデモも行われた。 人気ロックバンド「グリーンデイ」のビリー・ジョー・アームストロングは「もうアメリカ人でいたくない」と怒りをぶちまけ、レディー・ガガ、ビリー・アイリッシュ、オリビア・ロドリゴ、ハリー・スタイルズら、多くのセレブも抗議