先日、読者の方から「すべからく」の使い方が間違っている、おかしな日本語を使うな、とのお叱りがありました。外部の先生に頼んでいる連載ものでしたが、それはこうです。「やることが、すべからく思いつきの私」というもので、「すべからく」を「すべて」の意味で使っていました。あーあ、またあの亡霊が出てきたか、という感じでした。 実は、この「すべからく」という言葉、校閲部にとっては鬼門なんです。 もう10年以上も前のことだと思いますが、言葉の知識が豊富な、あるベテラン校閲記者が書いたコラムがありました。その中で、やはり「すべからく」が「すべて」の意で使われ、紙面化してしまったのです。これを読んだのが、あの博覧強記の評論家・呉智英氏でした。 呉氏はさっそく誤用を指摘、公表し、言葉のミスを正す校閲部としては赤っ恥をかいた、というわけです。それ以来、『呉智英』という名前は頭から消えたことがありません。「校閲部の