【香港=吉田健一】中国雲南省昆明市郊外にある安寧市の当局が今月、同市内の薬局などに対し、マスクを購入する客の氏名や身分証番号、購入数などの登録を義務づける「実名制」導入の通知を出した。 だが、25日になって中国紙・南方都市報(電子版)が報道したのを機にインターネット上で批判が広がり、同市当局は同夜、通知を撤回し、市民に謝罪すると発表した。 同市の複数の薬局店員らによると、通知は21日付。実名制の理由には触れず、当局が実施状況を調査し、順守していない場合は処罰する、としていた。 昆明では今月、安寧での石油化学工場建設計画に反対する大規模デモが2回発生。多数の参加者がマスクを着用して環境汚染反対の意思をアピールしたことから、実名制導入で参加者を特定するとともに、デモを抑え込む圧力としたい狙いがあったとみられる。