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沙村広明に関するsphynxのブックマーク (2)

  • 深町秋生の序二段日記

    沙村広明氏の連作短編「ブラッドハーレーの馬車」を読んだ。いやあたまらない。サディズムの塊のような妖しさ満点の作品だ。 19世紀のヨーロッパの某国。富豪である貴族ブラッドハーレー家は、その国で知らぬもののいない有名な少女歌劇団を抱え、毎年のように孤児を養女として引き取っているという。恵まれない女の子の誰もが夢を見るブラッドハーレーの馬車。自分たちを迎えにきてくれることを願わないものはいない。ただ歌劇団の舞台に上がれるのはごくわずか。ずいぶんたくさんの孤児を引き取っているらしいが、舞台に上がれない多くの彼女たちは一体どこに消えたのだろう……。 酷薄とも思える冷ややか描写。展開するのはありとあらゆる性的拷問と監禁とリンチの悪夢的光景である。彼女らが連れていかれるのはブラッドハーレー家の豪奢な邸宅ではなく、華やかな舞台でもない。頻発する暴動を抑えるため、凶暴な囚人らの欲望のはけ口となるために監獄へ

    深町秋生の序二段日記
  • 顔を憎んで鼻を切れば、唇も消える: ブラッドハーレーの馬車 沙村広明

    始まりは旅立ちの場面だった。簡素な孤児院の庭で、他の子とは違う上品なドレスを身に纏った少女が、皆に別れを告げている。ダイアナは養女として貰われてゆく。その国第4位の資産を所有する、貴族ブラッドハーレーの家に。幸福に満ちた門出だ。それに選ばれるということは二重の意味を持つ。ひとつめは言わずもがな、資産家の娘になるということ。ふたつめは切符を手に入れたということだ。そういう噂があった。「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」当主が主宰するその歌劇団は、子どもたちの羨望と憧憬の的。年に一度だけ、観ることのできるステージ。夢のような演出に、心躍らせない者はいない。いつかあの舞台に立てたら……と誰しもが願う。そんな豪奢で絢爛なオペラ。その演目の最後に、新人たちのお披露目がある。舞台に上がれるのは毎年たった数人の少女。彼女たちはすべて元孤児だという。そう、そこに立つ切符だ。ダイアナと輝かしい(はずの)その未来

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