装丁:川上澄生、坪田譲治『善太と三平のはなし』(版画荘、昭和13年) 川上澄生については、新潟県の美術館で見たりして版画家としての澄生は知っていましたが、装丁家としての仕事は萩原朔太郎『猫街』(版画荘、昭10年)、 『ゑげれすいろは人物』(濤書房、 昭49年)、 平野威馬雄『南蛮幻想』(濤書房、 昭50年)くらいしか知らなかった。限定本の装丁が多いせいか、今まであまり興味を持たなかったのだろう。 川上澄生:装丁、萩原朔太郎『猫街』(版画荘、昭10年)復刻版。装丁は著者自身の考案だが、画は川上澄生による。 川上澄生『ゑげれすいろは人物』(濤書房、 昭49年) 川上澄生は1895(明治28)年、父英一郎、母小繁の長男として横浜紅葉坂(現・横浜市西区紅葉ヶ丘)に生まれた。澄生が3歳のときに、一家は東京へ移り住む。 初めて木版画を制作したのは木下杢太郎の戯曲『和泉屋染物店』の木版刷りの口絵を見て、